皆さん、かつて、レーザーディスクという記録媒体があったことを御存知ですか?
CD(コンパクトディスク)と同じ時期に、世に出たメディアでした。
しかし、たった十年ほどで、市場から消え去りました。
見た目は、CDのようにキラキラしています。
ただし、大きさは、レコードのLP盤と同じなのです。
ぼくには、どうしても忘れられない、レーザーディスクの名盤があるのです。
それが
カラヤンの『ウィーンフィルニューイヤーコンサート1987』
なのです。
たしか1990年から91年のころ。僕は名古屋で営業の仕事をしていました。
毎日のお得意先周りをする、そのとちゅう。
大手家電ショップで、僕の足は必ず止まるのです。そのテレビやオーディオの売り場に、
このカラヤンの名盤が、レーザーディスクのプレーヤーとともに展示されていたのです。もちろん展示だけではありません。
大きな液晶テレビの画面と、素晴らしい音響で、なんとカラヤン指揮、ウィーンフィルの演奏が、リピート再生されていたのですよ‼️
このプレーヤー、LP盤と同じ大きさの盤を再生するので、結構大きな機械です。
しかも、なんと、レーザーディスクは、CDプレイヤーのように、ディスクを機械の中へ収納するため、大きなトレイが開閉するのですよ。直径30センチ以上あるトレイが、ペロッとね‼️😯
このプレイヤー、正確なお値段は忘れました。
しかし、僕はその時、後先考えず、無謀にも、えいやっと、買ってしまったのです、このレーザーディスクプレイヤーを‼️
😯ワオッ、ですよね。
しかもですよ。
ぼくは、カラヤンのニューイヤーコンサートのレーザーディスク、ただ、それ一枚を再生するためだけに、この装置を買ったのです、大枚はたいてね😂😁
でも、結果から言うと、
『思い切って買っといてよかったなぁ〜‼️』
と、思えました。
この年の『ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート』は、後世に語り継がれるほどの、音楽史の大事件であり、名演奏だったのです。
あの、帝王カラヤンが、ついに、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートを指揮する‼️
このニュースは、それこそ、全世界を駆け巡りました。
もちろん、この演奏は、衛星生中継で、元旦にNHKでも放送されました。
僕は、このときの放送をVHSのビデオデッキに録画しておいたのです。
僕は、このときの演奏があまりに素晴らしすぎて、何度も何度も、くりかえし聴き、鑑賞しました。
♫♫
やがて、僕は、この時の放送のカット割りのタイミングにまで、考えが及びました。
これ、生中継で一発勝負なのです。
♫♫
しかし、むこうの放送局のキャメラの切替タイミングは、本当に素晴らしかったのです。完璧でした。
♫♫
キャメラは最初、カラヤンのアップを撮っています。
その後、カラヤン先生は、両手で抱きかかえるようにオーボエに合図を送ります。
そのオーボエの音が出る、ほんの0,2から0,3秒前に、キャメラが切り替わり、オーボエのアップになるのです。
あとになって、本で知りましたが、向こうのテレビ局の音楽ディレクターたちは、楽譜がラクラク読めるそうなんですね。
もちろん、その前に、暗譜するほど聴き込んで、本番に接しているに違いありません。そのため、信じられないような、奇跡のキャメラワークが成立したのです。
♫♫
僕はこのコンサートで、『こうもり序曲』が大好きになりました。
翌年のクラウディオ・アバド指揮のニューイヤーコンサートでも、こうもり序曲は演奏されましたし、のちに、小澤征爾さんがウィーンフィル・ニューイヤーコンサートを初めて指揮したときにも、演奏されました。
後者2つのバリエーションは、快活で、テンポよく、軽やかな印象。
しかし、カラヤンの『こうもり序曲』だけは
『格の違い』
というものを見せつけられたようでした。
喜歌劇、オペレッタ、という軽妙な音楽劇であっても、
その音楽のいたるところに、
『音楽の美』
『音楽の深み』
『格調の高さ』
を感じさせたのです。
僕は思いました。
『ああ、この世には、永遠に美しいものが、存在するんだ』
いま、久しぶりに、ほこりまみれのレーザーディスクを引っ張り出してきて、改めて感慨にふけっているところです。
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