時には目食耳視も悪くない。

読んだ本、観た映画、聴いた音楽、ふと思ったこと、ありふれた日常・・・

【動画紹介】ヒトコトリのコトノハ vol.9

2023年06月02日 | 動画紹介
☆本記事は、Youtubeチャンネル『本の林 honnohayashi』に投稿された動画を紹介するものです。
 ご興味を持たれた方は是非、動画の方もチェックしてみて下さいね!

 ●本日のコトノハ●
  男性は戦争によって人類を減らし、女性は教育によって人類を減らします。

  『ラインから来た妻と息子 体験的比較文化論』湯浅慎一(1988)中央公論社


 この言葉は社会における男性と女性を考える時に、よく引き合いに出される考え方です。
 しかし、戦争と教育は同等に扱える事柄でしょうか?

 男でも女でも、戦争はしてはいけないことですが、教育は男でも女でもした方がいいことだと世間でも認められていると思います。
 女性が教育を受けたことにより社会進出して、出産や子育てがしづらい状況になってしまうことと、人と人同士が殺し合うことを同じ重さで言及すること自体がおかしいと思うのです。

 戦争は非難されるべき事態ですが、それと同様に社会進出した女性は責められるべきなのでしょうか?
 女性が仕事をしながら、子育てをしやすい社会へといつまで経っても変わらないことの方に問題があるのではないでしょうか?
 あるいは、仕事をせずに、家事や子育て、家庭内のことを主体的に行う専業主婦に対して、ネガティヴなイメージを無理矢理押し付ける価値観がなくならないことの方が、よっぽど酷いことだと思います。

 この本が書かれたのは今から30年以上も前のことです。
 ジェンダー平等が叫ばれている現代ですが、果たして、女性の社会的な立場は変わっているでしょうか?
 確かに、ある一部では女性が働きやすい環境が整ってきていると感じますが、やはり男性と同等の報酬がもらえる人は限られていますし、専業主婦に対するネガティヴな言葉を見聞きすることがなくなることはありません。
 
 近い将来、人間がしている仕事のほとんどはAI(人工知能)に取って代わられると言われています。
 正規雇用の社員として働くことが社会的に優位に立つことに繋がっていた価値観が、何の意味もなくなる時代が来るのかもしれません。
 その時になってもまだ、男性の社会的地位は安泰なのにも関わらず、女性は謂れのない貶めの言葉を押し付けられ続けるのでしょうか?

 どんなにテクノロジーが進歩しても、社会を形成するのは人間です。
 一人一人の考え方が変わらない限り、いつの時代でも女性は損な役回りをせざるを得ないのでしょう。
 


ヒトコトリのコトノハ vol.9


コメントを投稿