カプアン通信

パブリックコメント第2弾の要点



締め切りまであと8日と迫りました
環境省パブリックコメント第2弾ですが
内容が難しそう、とか、何を書けばいいかわからない
とお悩みの方もいることでしょう。

「動物愛護管理のあり方について」の案は
見出しだけで13項目あります。

しかし、すべての項目について意見を寄せなくてもいいと思います。

ちばわんなど多くの動物保護団体が望んでいるのは
「殺処分をゼロにしたい」と「不幸な犬猫をなくしたい」
ということだと思います。

たとえば、「収容施設の管理」と「不妊去勢の義務化」だけに
意見を寄せるのでもいいでしょうし、

地域猫の問題に悩んでおられる方は、極端なはなし
「飼い主のいない猫の繁殖制限」についてだけ
意見を寄せる、というのもアリだと思います。

きょうは、
犬猫保護に関わる方にとって、特に重要と思われる
問題点、課題を復習します。


「虐待の防止」

以下のようなポスターをご覧になった方もいらっしゃると思います。


これは、以前、動物愛護法の改正によって法が変わり
動物の遺棄や虐待は「犯罪」ですよ。と訴えるポスターです。
※動物を殺傷(虐待)した場合は、1年以下の懲役または
100万円以下の罰金。

しかし、「あかりちゃん」の記事に書いたとおり
充分に効果が出ている、とは限りません。

ひとつには「犯罪」であるにも関わらず
警察が積極的に取り締まらないことがあると言われています。
警察に「動物虐待の具体例」を伝えて、積極的に取り締まるよう
注意をするべきです。

また、「虐待」を見つけた市民が気軽に通報ができる
「相談所」を作ることや
獣医師に「通報の義務」を義務づけることも大事だと思います。


「多頭飼育の適正化」

ちばわんは、現在、主に動物愛護センターの犬猫保護(引き出し)と家族さがし
がメインの活動になっていますが、この取り組みは2008年以降のことで
もともとは、多頭飼育現場の問題に取り組んでました。
我が家のカプアも「多頭飼育現場」の出身です。

先日の八王子いぬ親会では、毎回、山梨の多頭飼育現場の問題に
取り組んでいる学生さんたちが参加します。



山梨県・犬の多頭飼育問題

渡辺眞子さんのブログによると
適切ではない環境で飼育しながら、動物にも人間にも問題があることを
自分で認識することができない病的な飼い主のことを
アニマルホーダ―(ホーダー)と言い、精神疾患であると紹介してます。

そういえば、上記の山梨の現場を管理している小林さんの記録によると
多頭飼育をはじめた飼い主は、1,000頭の飼育を目標にしていて
不適切な飼い方にもかかわらず
「日本で一番、犬・猫を大事にしている人間は自分しかいない」と考えていた
そうです。

解決には、より専門的な知恵が必要なのかもしれません。

ひとつ気になるのは、不適切な多頭飼育はもちろん届け出や勧告が必要ですが
保護ボランティアには、10~20頭の犬猫の飼育をする場合も珍しくありません。
頭数だけでなく、不適切か適切か、の判断をきっちり分ける必要があると思います。


「自治体等の収容施設」



収容施設の問題は、愛護センター・レポートを見れば
よくわかると思います。

いろんな問題がありますが
収容室の冬の寒さ、夏の高温多湿。
感染症の蔓延が防ぎきれないこと。
フードについては、成犬用のものしかないので、仔犬や高齢犬が
食べられないで衰弱する、という問題もあります。
きめ細やかな管理基準を作れば、どれも解決できそうなことばかりです。

そして、収容期間が短いため、命の期限がすぐ迫ってしまうこと
これは、たとえば、千葉県では多数の犬猫が処分されていても
市の管轄や、隣の東京都、神奈川県では処分数が少ない
という格差があります。
たとえば、迷子犬の飼い主をさがす一定期間だけは県の施設に収容し
一般譲渡可能な犬猫は他の施設に移動可能になれば
格差はかなり改善できるのでは、と考えます。


殺処分については、
ほとんどのセンターでガスによる窒息致死処分が行われています。
これは、苦痛を与えるため安楽死とは呼べないという説があります。

最近では、下関市が麻酔薬を応用した処分施設を作り話題になりました。
紹介されたブログ

下関市動物愛護管理センター訪問

麻酔薬注射による処分も行っている自治体も少ないですがあります。
熊本市や、最近の横浜市など

横浜市の紹介は猫の手さんのブログをご覧ください。

横浜市動物愛護センター訪問

収容数が多いうちは、注射による安楽死は困難かもしれませんが
下関方式を参考にするなど
動物愛護法の精神と照らして、窒息死は早急に改めるべきです。


「犬のマイクロチップの義務化」



やはり、先日の八王子いぬ親会で、よしださんが講演した
マイクロチップの必要性の話が為になりました。
よしださんは、迷子になってしまった卒業犬を2年間探し歩いた経験から
具体的なマイクロチップの必要性を説明してくださいました。

犬や猫の身体に異物を入れるのはどうも、
と考える方もいるかもしれませんが、
生体適合ガラスに覆われたチップは犬猫の身体に害はありません。
長年、使用されている欧米でも事故・副作用の報告はありません。
チップ内には電池など有害物質もなく生涯効力があります。



迷子札でいいのでは、と考える人もいますが
取れる場合もあり、書かれた文字が経年劣化で読めないケースも多いのです。

いまはすべての収容施設にマイクロチップリーダーがあります。
大震災で飼い主と離れてしまった場合にも有効です。
このため兵庫県では、大震災後マイクロチップの普及率が高くなりました。
価格を下げたり、リーダーの設置を普及させるためにも
義務化するべきと考えます。

しかし、最近問題になっていることがあります。
生体販売店などで販売犬猫にマイクロチップを入れることがありますが、
飼い主が「登録」をしないケースが増えているようです。
登録がないと全く意味がありません。
データは、マイクロチップ内ではなく、登録センターに保管されます。
「狂犬病予防注射」のように、行政への届け出を義務づけるべきでしょう。


「犬猫の不妊去勢の義務化」



千葉県では、殺処分される犬猫のうち、かなり高い割合が
不妊去勢を怠って産まれてしまった仔犬仔猫です。

犬猫の不妊去勢を義務化すれば、殺処分数が一気に減るのは確実です。

しかしすべての犬猫への不妊去勢手術義務は現状では難しいと思われ、
その部分は啓発活動に委ねるとし、
多頭飼育者や、繰り返し繁殖させては遺棄する飼い主に対しては、
動物の不妊去勢手術を義務化することが、現実的な案ではないか
と前出の渡辺さんらは考えています。


「飼い主のいない猫の繁殖制限」

すこしずつですが、TNR活動などによって成果が現れてますが
まだまだ猫の殺処分は減少していません。

みみ先カット猫のお話 地域猫(公益財団法人どうぶつ基金)

以下の図は、ことし8月に拙ブログに掲載したものです。



千葉県の場合、コンスタントに犬の一般譲渡は増え、殺処分が減少しています。
このペースが続けば、あと数年で殺処分はかなり少なくなる見込みです。

しかし、猫については・・・



平成16年度頃までは、犬と猫の処分数はあまり差がなかったのですが、
犬の殺処分は減ったのに、猫の処分数はあまり減少していません。
これは、繁殖制限がうまくいってないことを表します。
猫は犬と違い「狂犬病予防法」による捕獲義務がありません。
センターに収容される大部分の猫は、
人間に持ち込まれた所有者不明の仔猫です。

このままだと、センターは猫の処分問題ばかりになってしまうかもしれません。

地域猫の問題は、住民やボランティア団体だけでは解決できません
自治体が主導して、TNR活動などの具体策に注力することと
餌やりだけなどの、不適切な猫飼いを指導する必要があります。


以上6項目が重点課題と思いますが、もうひとつ加えれば


「災害対策」

およそ8割の自治体が地域防災計画等に
災害時における犬猫の取扱いについて言及しているそうですが
現在、動物愛護管理法には災害対応に関する条文はありません。

以下のニュースは本日のものです

動物愛護団体に警戒区域立ち入り許可へ 犬猫1千匹まだ区域内に?(産経新聞)

震災から8ヶ月以上たって、まだ被災地の犬猫保護について
有効な手だてがとられていません。
行政と民間が協力できるようなルール作りが急がれます。


どうぞ、犬猫たちの将来のために
パブリックコメントの提出をお願いします。


パブリックコメントを集めるコーナーは
今週末の湘南いぬ親会(鎌倉)会場がさいごになります。
集めさせていただいたパブリックコメントは即日環境省へお送りいたします。

会場に来られない方は、下記バナーをクリックして
ちばわんサイトから「意見提出用紙」をダウンロードしていただき
環境省へ、郵送またはFAXをよろしくお願いいたします。






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ちばわんいぬ親会のおしらせ

ちばわん湘南いぬ親会


12月4日(日)10:30~14:30 鎌倉市海浜公園由比ヶ浜地区にて開催!
詳細は↑バナーをクリック!


◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎
パブリックコメントへの参加をお願いいたします。


締め切りまであと8日!

パブコメについての環境省のお知らせ↓
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=14414
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=14412

12月4日湘南いぬ親会会場で
パブコメを集めさせていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。

コメント一覧

カプアンパパ
ka-さん
コメントありがとうございます。
アンジェロとしつけ教室でお会いしましたか。
赤坂のですか?? アンジェロがしつけ教室に通っていたのは
子犬のときですので、違う機会でしょうか?

パブリックコメントの拡散ありがとうございます。
バナーもどうぞよろしくお願いいたします。
ka-
http://ameblo.jp/anneriku/
初めてコメントいたします。
ず~っと以前にアンジェロくんとしつけ教室でご一緒したことがあり、すっかりファンになりブログを拝見させていただいておりました。

パブリックコメントの締め切りまであと僅かですが多くの意見が集まる事を願っています。
バナーお借りいたします。
カプアンパパ
しじみ姉さん
こんばんは。
環境省の案の文章を読んで、自由に意見を書きなさいと言われても、とても大変だと思います。
今回は、なるべく多くの人に意見を出して欲しいので、チェックだけでも意見が提出できる用紙を作りましたが、その他の案や意見を加えたいときは、作家渡辺眞子さんのブログが助けになります。
http://www.mako-w.com/
わたしも勉強しながら、パブコメを書いている最中です。
週末の湘南いぬ親会で私もパブコメを出します。
ブログリンクどうぞよろしくお願いいたします。
カプアンパパ
りこさん
いつもコメントありがとうございます。
動物愛護について、欧米諸国と日本は何が違うのか、文化の違いなのか、道徳教育の違いなのか、よくわかりませんが日本の現状は異常だと思います。
おっしゃるとおり、行政は力がありますし、民間ボランティアは経験や知恵があります。片方だけでは問題解決の限界がありますので、官民一体となって虐待の防止や、殺処分の減少に取り組んでいくべきです。
国の偉大さ、道徳水準は、その国の動物の取り扱い方でわかる。とガンジーさんも言ってます。
人にも動物にも優しい国になって欲しいです。
しじみ姉
パブリックコメント、出そうと思っても
難しくて(><)
カプアンパパさんのはすごく分かりやすくて簡単なので、すごく助かりました!
ありがとうございますm(__)m
早く、動物先進国日本と言われるくらいにしたいです!
ブログにリンクさせていただいても宜しいでしょうか?
よろしくお願いします☆
りこ
カプアンパパさんのおっしゃる通りです。本当に本当に、何とかこの現状を変えたいです。どうして捨てるのか、どうして虐待するのか、どうして異常に増やすのか、どうして大事にしないとかと私には理解出来ない事ばかりです。

やはり、まずは法律を変えて、官民一体となって取り組むべきだと思います。アメリカには確かアニマルポリスがあって、虐待の疑いがあると通報出来るし、保護も出来る権利が与えられていたと思います。

物言わぬしっぽ達の為により良い世の中にしたいです。
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