実家の両親と、今の家に同居することになり
実家で飼われていたシェルティのサリーも
両親と一緒に引っ越してきました。
サリーはそれまで、庭に放し飼いにされてましたが
引っ越しにともない、室内で一緒に暮らすことになりました。
すでに12歳近い年齢で、10歳を越えるころから、子宮蓄膿症や、
皮膚病、からだにできる脂肪の固まりや、まぶた内のおできなど
さまざまな病気を経験してました。
しかし、サリーはマイペースで、とても穏やかな性格だったため
新天地では大人気で、我々家族にはたくさんのワンコ友だちができました。
●
サリーの引っ越しから2ヶ月ほどたった、夏の休日
我々が家事をしていたとき、ひとりでリビングにいたサリーが
キャンキャンキャンキャンと、聞いたこともないような悲鳴をあげました。
あわてて駆けつけると、サリーは尻餅をついたような姿勢で
一生懸命立ち上がろうと、もがいていました。
しばらくして、サリーは落ち着きましたが
片方の後足を浮かせていて、びっこを引くようになってしまいました。
それまでかかっていた動物病院で、診てもらいましたが
骨折等の異常はなく、しばらく鎮痛剤を飲ませて様子を見ましたが
ひと月ほどたっても、びっこが治ることはありませんでした。
●
ある日、散歩中に、バイクで通りかかった近所のおじさんが
サリーの様子をじっと見て、「鍼治療をしてみたら」と言いました。
ウワサには聞いてましたが、どういうものかよくわからず
インターネットで調べると、品川区にいる、浦野先生という獣医さんが
鍼治療の名医だと知り、一か八か、治療を受けることにしました。
予約をした日、浦野先生の小さな病院に行くと、高齢の先生と
チャイナ・ドレスのような格好のアシスタントの女性が待ってました。
先生は、我々の話を聞くと、すぐにサリーにやさしく話しかけながら触り
針をうちはじめました、沢山の針が刺さる様子に我々は緊張しましたが
サリーはとくに嫌がりもせず、身を任せてました。
鍼治療を受けていた頃のサリー(当時12歳)
浦野先生は、先生のお話によると、若い頃、西洋医学を勉強し
ベテランの獣医師として活躍してましたが
熱が出たら解熱剤、下痢をしたら下痢止めをという対処療法型の
西洋医学に疑問を感じ、中国での東洋医学の研修に参加しました。
中国では、牛や馬への鍼治療は、それこそ数千年の歴史があるそうですが、
犬猫など愛玩動物への治療法はなく、ペットへの応用を思いついた先生は、
診療のかたわら研究を続け、
ついに世界ではじめて、ペットの鍼灸治療法を確立しました。
いまから40年近く前のことです。
また、浦野先生は気功師でもあり、
治療のあと、いつも飼い主の手を握り、気を送り
帰宅後に「良くなるように念じながら、犬に手をあててください」
と言われました。
気功の効果はわかりませんでしたが、
具合の悪い犬にさわってあげることの大切さに気付きました。
サリーは2日続けて治療を受けた結果、徐々に足がつくようになり
数回通うと、完全に元通りになりました。
椎間板ヘルニアだったそうです。
とくに胴体の長いワンコに多いそうで、先生の病院には
いつもダックスフントの患者が、時には、宮城県や静岡県といった
遠方から通院してました。
その後も、サリーの体調を整えるために、毎週、先生の治療室に通いました。
治療室での先生のお話は、ちょっと独特で、
西洋医学では、足が悪い時は、運動を控えるように言われますが
先生は逆に、運動を勧めます。動物がもつ自然治癒力を引き出すそうです。
また、サリーが下痢をして血便が出たとき、食べ物について質問すると
犬のからだに一番いい食事は
牛の生肉と、ふかしたサツマイモだ。と教わりました。
また、長期間常温保存できるドライフードは、保存料が入っているので
からだにいいはずはなく、どんなドライフードも
食べさせてはいけないと説かれました。
先生は有名人でしたが、獣医師会の一部では、
異端者のような扱いがあり、他の先生とあつれきもあったそうです。
しかし意外にも、テレビ出演などで有名な野村獣医師とは
ウマがあうとおっしゃってました。
その後、知人のワンコが、サリーと同じような状態になり
紹介してあげて、よくなったりしましたが
サリーの20回目の通院のとき、先生の体調が悪くなり
休院することになりました。
しばらくして、診療を再開されるという連絡を受けましたが
サリーの体調がよくなっていたのと
当時、我々は車がなく、タクシーでの通院が辛くなっていたので
しばらく治療はお休みすることにしました。
しかし、知人から、また休業されたという話を聞き
後日、病院の前を通ると、別の店舗に変わっていて
先生の体調が悪く、もう廃院されたのだろうと思いました。
今年、カプアが足を悪くし、
鍼治療についてインターネットで調べていたとき、
日本獣医師会のサイト上で
先生が、昨年の元旦に、お亡くなりになったことを知りました。
享年80歳でした。
いまや、ワンコたちは、多くの病院で
東洋医学にそくした鍼治療を受けることができますが
浦野先生の功績は大きいと思います。
ご冥福をお祈りします。
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