今年の5月に4年ぶりのニュー・アルバムをリリースしたビセンテ。
私が最後に彼のコンサートに行ったのは2006年10月の終わりのリスボン公演。
その年はビエナルにも出演していたし、いろいろなところでコンサートもしているようだった。
でもその後日本にも来なければ、Webで検索してもほとんど彼の記事には辿り着かなかった。
ビセンテはどこにいってしまったの?
その疑問に答えてくれたのが、今回のパセオに載ったビセンテのインタビューだ。
正直、たった3年で人はこんなに変わるのかしら?と最近の写真を観て思っていた。
ビセンテはいつも自信に満ちてオーラを放ち輝いている人だった。
カリスマとかヘニオ(天才)とかいう言葉がぴったりな人。
その印象とはかけ離れた気さくで暖かく陽気な人柄を垣間見てさえも、やっぱり彼は特別な光を放つ人だった。
でも最近の写真のビセンテはどことなく寂しげで年取ってしまったようにみえた。
永遠とも思われた若さが感じられず、ちょっと疲れているようにさえみえた。
単に「年を取った」などということではなく(だってまだ42歳!)もっと内面に変化があったのかな?と思わせるような雰囲気を感じていたのだ。
このインタビューでビセンテはアルバムのことのみならず、自らの内面の苦悩を語っている。
「落ち込みのどん底」にいたというビセンテ。
彼の口からそんな言葉を聴くとは夢にも思わなかった。
長年彼を見つめ続けてきたファンとしては、とても衝撃的な発言だ。
もちろん彼自身が語っているように「どんな人間にもおそってくる」という感情なのだけど。
この数年の空白の間、ビセンテは人知れず苦しんでいたんだなぁと思うと胸が痛くなる。
それでも新しいアルバムを創造できた、ということは彼の復活の兆しなのだ。
苦しんだ末に生まれた新しい彼の音楽。
そう思って聴くと、またいろいろなことを想う。
つい最近、ステファンが競技生活に復帰したように、ビセンテも苦しみを超えて私たちの前に戻ってきてくれたのだ。
二つの復活は内容はちがうけれど、私にとっては本当にうれしい復活だ。
ビセンテの心の再生に想いを馳せながら、またひとしきり新譜を聴こう。
彼の心にもっともっと触れるために。
私が最後に彼のコンサートに行ったのは2006年10月の終わりのリスボン公演。
その年はビエナルにも出演していたし、いろいろなところでコンサートもしているようだった。
でもその後日本にも来なければ、Webで検索してもほとんど彼の記事には辿り着かなかった。
ビセンテはどこにいってしまったの?
その疑問に答えてくれたのが、今回のパセオに載ったビセンテのインタビューだ。
正直、たった3年で人はこんなに変わるのかしら?と最近の写真を観て思っていた。
ビセンテはいつも自信に満ちてオーラを放ち輝いている人だった。
カリスマとかヘニオ(天才)とかいう言葉がぴったりな人。
その印象とはかけ離れた気さくで暖かく陽気な人柄を垣間見てさえも、やっぱり彼は特別な光を放つ人だった。
でも最近の写真のビセンテはどことなく寂しげで年取ってしまったようにみえた。
永遠とも思われた若さが感じられず、ちょっと疲れているようにさえみえた。
単に「年を取った」などということではなく(だってまだ42歳!)もっと内面に変化があったのかな?と思わせるような雰囲気を感じていたのだ。
このインタビューでビセンテはアルバムのことのみならず、自らの内面の苦悩を語っている。
「落ち込みのどん底」にいたというビセンテ。
彼の口からそんな言葉を聴くとは夢にも思わなかった。
長年彼を見つめ続けてきたファンとしては、とても衝撃的な発言だ。
もちろん彼自身が語っているように「どんな人間にもおそってくる」という感情なのだけど。
この数年の空白の間、ビセンテは人知れず苦しんでいたんだなぁと思うと胸が痛くなる。
それでも新しいアルバムを創造できた、ということは彼の復活の兆しなのだ。
苦しんだ末に生まれた新しい彼の音楽。
そう思って聴くと、またいろいろなことを想う。
つい最近、ステファンが競技生活に復帰したように、ビセンテも苦しみを超えて私たちの前に戻ってきてくれたのだ。
二つの復活は内容はちがうけれど、私にとっては本当にうれしい復活だ。
ビセンテの心の再生に想いを馳せながら、またひとしきり新譜を聴こう。
彼の心にもっともっと触れるために。
実際ビセンテも軽い鬱だったようです。
私たち凡人とは次元の違う高みにいるアルティスタですから、その精神状態は単純なはずはありません。
一生落ち込んだり苦しんだりすることなく生きていける人などいないでしょう。
ビセンテ自身もインタビューでそう言ってますね。
自分自身との葛藤、ファンや周囲の期待。
才能があって、注目されればされるほどそのプレッシャーの大きさは並大抵のものではないだろうことは、察することができます。
パコと丁度20歳ちがうビセンテ。
パコにもそんな時があったんですね。
天才と呼ばれる人も生身の人間なんですよね。
ビセンテももう若者ではありません。
人生は波乱万丈。彼にもそんな嵐の季節が通り過ぎたのでしょう。
今までのビセンテの音楽は最高に素晴らしいけれど、これからのビセンテの音楽はどんどん深くなっていきそう。
さらに深く、苦しんだ分だけもっと深く、彼の音楽は豊かになるのだと信じています。
ビセンテのデビュー作「我が心に風を解き放てば」を聴いた時の衝撃は今でも忘れることは出来ません。パコ以降のギタリストで、パコを越える可能性のあるギタリストはまず出ないだろうと予想していた大半のフラメンコ・ギター愛好家はみんな驚愕とともに彼の名を胸に刻むことになりました。同時に、最初にこれ程クオリティの高い斬新なアルバムを作ってしまって今後大丈夫なのか?と危惧したことも否めません。でも、ビセンテはそれを易々とクリアしてその後もクオリティの高いアルバムを創り続けていますね。
これは大変なことです。我々ファンとしてはどんどんアルバムを出して欲しいと願ってしまいますが、ギタリスト本人は当然次のアルバムは今まで以上にクオリティの高いものを創らなければならないプレッシャーと常に戦わなければなりません。
天才的なアルティスタとは言っても我々と同じ人間ですから、落ち込むこともあるでしょう。でもビセンテのことですから、それらも糧にしてこれからも「あっ!」と言わせるアルバムを世に出してくれるでしょう。