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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

記録から振り返る高校野球 ⑥近畿  ~過去36年の戦績による、近年の傾向~

2015年09月18日 | 高校野球名勝負

シリーズ第6回は、いよいよ近畿勢の登場です。

高校野球の聖地ともいえる甲子園球場があるのが兵庫県西宮市。
高校野球は、創生期からこの関西の地で、
その歴史を積み重ねてきました。

高校野球の歴史は、この関西を抜きにしては絶対に語れません。
数多の強豪チームが出現して、甲子園を盛り上げてきた関西勢。
近年も、その勢いはいささかも衰えを見せてはいません。


≪近畿勢の記録≫

*記録の見方;春⇒選抜大会の成績  夏⇒選手権大会の成績
          勝敗; 〇勝〇敗〇引分 勝率 優勝-準優勝-ベスト4-ベスト8



◇滋賀地区戦績 

2010~2015  春  2-2  .500 0-0-0-0  夏   5-6  .454 0-0-0-0   合計   7-8  .467 0-0-0-0 
2000~2009  春  6-7  .462 0-0-0-1  夏   6-10 .375 0-1-0-0   合計  12-17 .414 0-1-0-1 
1990~1999  春  3-5  .375 0-0-0-1  夏   3-10 .231 0-0-0-0   合計   6-15 .286 0-0-0-1
1980~1989  春  0-9  .000 0-0-0-0  夏  13-10 .565 0-0-2-1   合計  13-19 .406 0-0-2-1
  36年合計   春 11-23 .324 0-0-0-2  夏  27-36 .429 0-1-2-1   合計  38-59 .392 0-1-2-3 


◇京都地区戦績 

2010~2015  春  7-8  .467 1-0-0-1  夏   3-6  .333 0-0-0-0   合計  10-14 .417 1-0-0-1 
2000~2009  春  8-8-1.500 0-0-1-2 夏  15-10 .600 0-1-0-2   合計 23-18-1 .561 0-1-1-4 
1990~1999  春  5-9  .357 0-0-2-2  夏  16-10 .615 0-2-0-1   合計  21-19 .525 0-2-0-3
1980~1989  春  8-8  .500 0-0-1-1  夏  11-10 .524 0-1-0-1   合計  19-18 .514 0-1-1-2
  36年合計   春 28-33-1.459 1-0-4-6 夏  45-36 .556 0-4-0-4   合計 73-69-1 .348 1-4-2-10 

 

◇大阪地区戦績 

2010~2015  春  18-7  .720 1-1-2-0 夏  16-4  .800 2-0-0-0   合計  34-11 .756 3-1-2-0 
2000~2009  春  15-16 .484 0-0-2-2 夏  15-10 .600 1-0-1-0   合計  30-26 .536 1-0-3-2 
1990~1999  春  37-14 .725 2-1-5-3 夏  20-10 .667 1-0-0-4   合計  57-24 .704 3-1-5-7
1980~1989  春  38-17 .691 3-2-2-3 夏  28-7  .800 3-1-0-1   合計  66-24 .733 6-3-2-4
  36年合計   春 108-54 .667 6-4-11-8 夏 79-31 .718 7-1-1-5   合計 187-85 .688 13-5-12-13 



◇兵庫地区戦績 

2010~2015  春   3-7  .300 0-0-0-1  夏  9-6  .600 0-0-1-1   合計 12-13 .480 0-0-1-2   
2000~2009  春  24-15-1.615 1-0-5-1 夏 12-11 .522 0-0-1-2  合計 36-26-1.580 1-0-6-3 
1990~1999  春  17-20-1.459 0-0-1-5 夏 12-10 .545 1-0-0-1  合計 29-30-1.492 1-0-1-6
1980~1989  春  11-15 .423 0-0-0-2  夏  19-9 .679 1-0-1-1   合計 30-24 .556 1-0-1-3
  36年合計   春  55-57-2.491 1-0-6-9 夏 52-36 .591 2-0-3-5   合計 107-93 .535 3-0-9-14 

 

◇奈良地区戦績 

2010~2015  春  4-8 .333  0-0-0-0   夏   5-6  .455 0-0-0-2   合計  9-14 .391 0-0-0-2 
2000~2009  春  5-7 .417  0-0-0-2   夏  13-10 .565 0-0-0-1   合計 18-17 .514 0-0-0-3 
1990~1999  春 14-11 .560 1-0-1-1    夏  18-9  .667 1-0-1-1   合計 32-20 .615 2-0-2-2
1980~1989  春  4-7 .364  0-0-0-2   夏  13-9  .591 1-0-1-0   合計 17-16 .515 1-0-1-2
  36年合計   春 27-33 .450 1-0-1-5   夏  49-34 .590 2-0-2-4   合計 76-67 .531 3-0-3-9  

 

◇和歌山地区戦績 

2010~2015  春  4-6 .400  0-0-0-1   夏   2-6  .250 0-0-0-0   合計  6-12 .333 0-0-0-1 
2000~2009  春 12-9 .571  0-1-0-3   夏  22-9  .710 1-1-1-1   合計 34-18 .654 1-2-1-4 
1990~1999  春 12-8 .600  1-1-0-0   夏  13-9  .591 1-0-1-0   合計 25-17 .595 2-1-1-0
1980~1989  春  5-10.333  0-0-0-2   夏   8-10 .444 0-0-0-2   合計 13-20 .394 0-0-0-4
  36年合計   春 33-33.500  1-2-0-6   夏  45-34 .570 2-1-2-3   合計 78-67 .538 3-3-2-9 

 

 【近畿地区戦績】

2010~2015  春  38-38 .500 2-1-2-3   夏  40-34 .541 2-0-1-3 合計 78-72 .520 4-1-3-6 
2000~2009  春  70-62-1.530 1-1-8-11 夏 83-60 .580 2-3-3-6  合計 153-122.556 3-4-11-17 
1990~1999  春  88-67-1.568 4-2-7-12 夏 82-58 .586 4-2-2-7  合計 170-125.576 8-4-9-19
1980~1989  春  66-66 .500 3-2-3-10  夏  92-55 .626 5-2-4-6  合計 158-121.566 8-4-7-16 
 36年合計  春 262-233-2 .529 10-6-20-36  夏 297-207 .589 13-7-10-22  合計 559-440 .560 23-13-30-58 

 

高校野球といえば関西。
これはもう、お約束です。

野球という文化自体が、この関西を中心に発展を遂げてきた歴史は、振り返るまでもありません。
新世紀に入るころから、野球人気の衰退が叫ばれ、テレビの視聴率も落ちて、世間の話題に野球の話が上ることも少なくなりました。
特にワタシが住む東京では、その傾向が顕著だと感じています。
しかしながら関西に出張などで行くと、朝からニュース番組やワイドショーで、
まず取り上げられるのが『昨日のタイガース』の話題。

ワタシはっきり言ってタイガースのファンではありませんが、
このワイドショーなどを朝の時間帯に見るのが、大変に好きです。

キャスターや解説者などが、タイガースの帽子をかぶり、法被を着て、メガホンを持って昨日の試合をあ~だこ~だと語る姿に、
『あ~いいな~~~~』
と感じ入ってしまいます。
やっぱり関西は、野球文化が根付いている土地なんだなあと、感じることができますね。


そんな関西で、タイガースとともにいつも話題の中心になるのが高校野球。
『おらがチーム』の関西代表への熱烈な応援っぷりは、今も昔も変わりません。
そして時代ごとに見ていくと、
その中心には『高校野球界の盟主』と言われるチームがで~んとすわり、
その周りを名門・強豪と言われるチームが固めているという構図。これが関西の高校野球界だと思います。

80年代、その盟主の座にはPL学園が、
で~んと座っていました。

今更語るまでもない甲子園での実績。
最終回で次々に逆転を決める【逆転のPL】の時代から、
圧倒的な強さの【KK時代】を経て、立浪・片岡らの【春夏連覇】へ。

PLはまさに、『負けたことが大ニュースになる』存在でした。
そして90年代から00年代初頭にかけては、
『智弁和歌山の時代』がやってきます。

PLとは違った取り組みで、
少数精鋭で鍛えに鍛えた選手たちが次々に強打で相手を粉砕するという、
ド迫力の野球を展開して3回の全国制覇、3回の準優勝に輝きました。

00年にPLを甲子園で打ち破った試合は、
『高校野球の盟主交代の試合』とも言われました。

そしてその智弁和歌山に変わって、
現在『高校野球の盟主』の座をガッチリと掴んでいるのは、大阪桐蔭です。

大阪桐蔭の野球は、シンプルな中にも鍛え上げられた技を見せるという、
『進化形の野球』ということが言えましょう。

エース辻内・4番平田・5番中田となんと3人のドラ1を抱えていたチームが4強に進出した05年に、
それまでなかなか勝てなかった歴史を払しょくして以来、
08年夏、12年春夏、14年夏と4度もの日本一を達成。
『甲子園に出れば優勝候補』の、
いわゆる『ユニフォームで相手をビビらせる存在』に上り詰めています。

現在がまさに『チームのピーク』であると考えられる大阪桐蔭、
どこまで優勝回数を伸ばしていくことでしょう。

近畿全体での36年間の勝率は.560、そして優勝回数は実に23回を数えます。
これに準優勝の13回を加えると、36年間で36回決勝に進出。
要するに、毎年どこかが決勝に進出しているという計算になっています。

ちなみに今夏の全国予選参加3906校のうち、近畿の学校数は553校。
占有率にすると、わずか14.1%です。
この参加校数にしてこの実績。やっぱりすごいとしか、言えませんね。


各県で見ていくと、まずは滋賀です。もう覚えている方もほとんどいないかもしれませんが、この滋賀県、全国で最も夏の甲子園で勝利を挙げたのが遅かった県です。79年に比叡山が初勝利をあげるまでは、全国唯一の『甲子園未勝利県』。前年の78年には、春の選抜では比叡山が前橋の松本投手に完全試合を達成され、夏には膳所が0-18の完敗と散々なことがありました。79年に夏の初勝利を挙げた比叡山は波に乗って8強に進出。翌80年には、瀬田工が4強、82年には比叡山が再度の8強、85年には”源さん”率いる甲西が4強進出と、滋賀勢は解き放たれたように実績を重ねました。その後は01年に近江が決勝に進出。しかしその実績以外には、ここ30年では見るべき実績がありません。そろそろ近江、北大津らの強豪が、甲子園で実績をあげてもよさそうな気がしています。

京都は、平安(現龍谷大平安)と京都商が覇を競っていた70年代、80年代から、群雄割拠の90年代を経て、今また龍谷大平安が頭一つ抜け出すという時代が到来したと言えるでしょう。80年代~00年代の30年間で、4度の決勝進出がありながらどうしても届かなかった優勝に、14年龍谷大平安が輝き、新しい時代への第一歩を踏み出しました。大阪などには及ばないものの、常に5割を超える成績を残す京都代表は、甲子園では安定した戦いぶりを続けていると言えるでしょう。しかしながら、『夏に強い』イメージのあった京都代表が、ここ6年ではあまり実績を残せていないところは気にかかります。今年の夏は鳥羽が2勝して気を吐いてくれましたが、その前は5年間で1勝しか挙げられず、強いチームが代表になっているというイメージの割には、甲子園で戦績を残せなかった年が続きました。今度は龍谷大平安を中心として、ぜひ夏の覇権を奪回したいところです。

大阪の実績は、いまさら言うには及びません。78年に初めての全国制覇を成し遂げたPLは、81・82年の選抜を連覇。83~85年にはKKを擁して優勝2回、準優勝2回の実績を残します。86年を挟んで87年には、立浪らで春夏を連覇。この【最強の80年代】でのPLの甲子園での戦績は、なんと44勝4敗。勝率は.917!!!  まさに『高校野球の盟主』にふさわしい、ものすごい実績です。この当時は、春の選抜に大阪からは毎年2チームが出場するのがお約束。10年で20チームが出場しました。PLのほかには、近大付、上宮などの活躍が目立ちます。90年代は群雄割拠の時代。PLが相対的に力を落とすと同時に、たくさんの新興勢力が甲子園出場を果たしました。80年代、90年代の大阪代表の甲子園での勝率はいずれも7割を越し、素晴らしい実績を残しています。しかし00年代になり、PLが力を落とし、大阪桐蔭の台頭にはまだ少し早いという時期には、さすがの大阪代表も苦戦が続き、勝率は.536にとどまりました。優勝、いや、決勝進出も08年の大阪桐蔭1チームにとどまって、大阪勢としてはやや低迷した時期ととらえることができるでしょうか。ちなみに大阪桐蔭以外の学校での00年代の夏の戦績は4勝7敗。春は9勝13敗と、大きく負け越しています。10年代に入り、履正社が実績を出し始め、大阪桐蔭と並んで大阪の2強の座をガッチリと手中に収めています。

大阪と並んで、高校野球の創生期から活躍をしてきた兵庫。しかし記録をひも解いてみると、優勝を含めた決勝進出は、36年間でわずか3回にとどまっており、大阪の18回と比較すると、大きな差がついてしまっているのは意外でした。しかし決勝進出3回、そして優勝3回と決勝に進出すると必ず優勝しているところにその矜持が感じられます。勝率では80年代と00年代に.556、.580と高い勝率を残しています。この年代での全国制覇はいずれも報徳学園。群雄割拠の県内の勢力図にあって、やはり報徳が戦績を残している時の兵庫県は強い・・・・ということが言えそうですね。東洋大姫路、神戸国際大付、滝川二、育英、神戸弘陵、神港学園など、全国で戦えるだけの力を持った学校は多く、全体の印象としては、勝率以上の強豪県、という位置づけです。それだけに、さらなる実績が欲しいところではあります。

奈良は長く天理、智弁学園の2強の時代が続いています。そこに郡山、大和広陵、奈良大付などのチームが続いていますが、過去4つの年代、36年間で両校以外が夏の甲子園に出場したのはわずかに3回だけ。2強のつばぜり合いは、今日に至るまで連綿と続いています。天理は大柄な選手を揃えた強打のチーム、それに対して智弁学園は好投手を中心とした総合力で戦うチームという印象ですが、智弁も最近は天理同様、大型化を推進している感じに変化しつつあります。さて、両校の戦績ですが、天理が3度の全国制覇をはじめ2度の4強、6度の8強進出と、全国の強豪の名をほしいままにしているのに対して、智弁は4強、8強が1度ずつあるだけで、甲子園では戦績を残せていません。その差はなんなのかと問われれば、明確な答えはありません。しかし、智弁が天理ほど勝負強さを聖地で見せていないことは、確かなことです。

和歌山の高校野球の歴史は、高校野球の歴史と言ってもいいぐらいの戦いの歴史を刻んできた和歌山代表。その時代時代に強豪校を生んだ土壌はいまだ衰えを知らない『野球強豪県』です。和歌山中、海草中から、時代を経て箕島が甲子園を席巻。その箕島が力を落とした80年代後半に新興勢力として智弁和歌山が登場。この智弁和歌山、本家である奈良の智弁学園の名将・高嶋監督を監督の座に据えて野球部の強化にまい進。当初は甲子園5連敗から始まった智弁和歌山のビクトリーロードですが、93年夏の選手権で歓喜の初勝利を挙げて以来、優勝3回、準優勝3回、4強2回、8強4回と強豪の名をほしいままにして、積み上げた白星の数はなんと56勝。90年代から和歌山県勢の甲子園勝利数は65勝なので、この期間、なんと県勢の勝利の86%が智弁和歌山の手によるものです。『智弁の前に智弁なし』まさに智弁和歌山の『絶対王朝』と呼べる時代ですね。しかし今後はやや不透明。智弁和歌山はこのところ甲子園で3連敗。10年代は8強に1度進出しただけと、かつての威光を失いつつあります。そして今夏、降ってわいたような高嶋監督の辞任にまつわる報道。かつて甲子園で絶対の強さを誇ったPL学園が表舞台から消えつつある昨今、智弁和歌山の動向は、和歌山県の高校野球ファンならずとも、気になるところではあります。


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