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第93回全国高校野球選手権大会 予選展望≪中国・四国≫

2011年06月29日 | 高校野球

第93回全国高校野球選手権大会 予選展望5


【岡山】(参加57校)
絶対本命から混戦に巻き込まれた関西。4連覇狙う夏に強い倉敷商

◎ 関西
〇 倉敷商 岡山学芸館
△ 創志学園 作陽
▲ 玉野光南 岡山理大付

エース堅田に強打の水原。堅い守備と鋭い攻撃力。センバツを迎える時点までは、『夏も関西で決まり』のムードが漂ったが、選抜でまさかの初戦大敗を喫してから、関西の足取りがおかしくなった。春の県大会では不覚を取り、その間に有力校が続々と台頭。大きく広がっていた差を一気につめてきて、夏は大混戦の様相だ。それでも本命には関西を推すのが妥当だろう。それだけの力は持っている。攻守ともに持っているポテンシャルは全国レベル。厳しい戦いをどう勝ち抜いていくのか。追う勢力で一番手には、春の中国大会を制した倉敷商が名乗りを上げた。春はライバルの関西を破り、中国大会では3試合で26得点と打線が爆発した。もとより4連覇を狙うほど、夏の大会への入り方は抜群のものを持ち、本命に推しても遜色ないチームだ。岡山学芸館はもともと打線が看板のチームだが、春季中国大会では2試合でわずか3失点と投手陣が奮闘。夏に希望が持てる戦力になってきた。春の県大会で優勝も中国大会で倉敷商に大敗した作陽は、甲子園常連の角田監督が昨年辞任。出直しの年となったが、辛島新監督のもとでチームは勢いを取り戻してきた。全国への道が開けてきた。1年生だけのチームで甲子園へ出場した創志学園は、定評のある二本柱の投手陣には自信あり。しかし本格化はまだ先だとみるが、どうであろうか。キラ星のごとく好選手が揃う玉野光南、名門の岡山理大付、岡山城東、岡山東商あたりも虎視眈々と代表の座を狙う。


【広島】(参加95校)
何と言っても広陵が筆頭候補。強打の丸子が連続出場を引き寄せる。

◎ 広陵
〇 総合技術
△ 如水館 
▲ 山陽 広島国際学院 広島商

今年は秋、春ともに準決勝敗退の憂き目にあったが、夏はやはり広陵を中心に大会が回っていくだろう。去年の甲子園で話題をさらった主砲・丸子はプロが注目する強打者。大事なシーンで彼の力と経験が生きると予想しているが、いかがなものか。エースの上原は昨年の有原に追いつけ追い越せと総合力をアップさせてきた。守備の安定も大きな武器で、破綻することのない広陵の夏が、再現されそうだ。選抜出場の総合技術は、攻守に評価の高いチーム。選抜好投の伊田、台頭するエースの土肥など、投手陣の層の厚さは県内でも屈指。あとは弱点と言われる打線が、大事なところで一本を出せるかどうか。夏に強い如水館も、当然巻き返しを狙っている。今年は大型の選手はいないものの、まとまって総合力で勝負する好チームだ。そのほかでは、春準優勝の山陽、秋準優勝の広島国際学院あたりが有力候補。左腕エースの中川がしっかりと試合を作る山陽、広島国際学院もエース今井の速球にかける。名門の広島商は長く遠ざかっている聖地への帰還へ、桑原監督で歩みだしたところ。一定の成果の欲しい夏だ。秋優勝の尾道は展開がはまれば一気に駆け上がる力を持つ。


【山口】(参加60校)
今年も本命なき大混戦。片手では足りない候補乱立の中、宇部鴻城がややリード。

◎ 宇部鴻城
〇 南陽工
△ 岩国 桜ヶ丘 華陵
▲ 柳井学園 宇部商 柳井 徳山商工 下関商

今年もまた、本命なき大混戦の様相だ。春の大会では宇部鴻城が優勝。その勢いで中国大会も決勝まで駆け上がった。県大会決勝、中国大会の1・2回戦のようにロースコアのゲームに持ち込めれば、何とか逃げ切れるという自信をつけたのが収穫だ。笹永と金丸という2本の安定した投手を上手くつないで相手の反撃をそいでいく。もともと打てるチームだったが、冬を越してかえって得点力が落ちた印象なのがやや心配なところ。昨夏エース岩本で甲子園に出場した南陽工は、今年は3人の投手の継投が軸。捕手の安達が投手陣を牽引し、いい味を引き出している。昨秋優勝の岩国は、もともと夏には自信を持つチーム。春に実績を残した桜ヶ丘、柳井学園に2年ぶりの出場を狙う華陵。他では伝統校の宇部商、柳井あたりが大きな差なく上位を追い込む。徳山商工、下関商などにもチャンスは広がっている。


【鳥取】(参加25校)
全国最少の出場校。4勝で届く夏には、”絶対エース”を持つチームが圧倒的に有利。

◎ 鳥取西
〇 八頭
△ 鳥取城北
▲ 鳥取育英 倉吉東

参加25校と、今年も全国最小の出場校により争う大会となった。春の結果によりシード権を獲得しているチームにとっては、4勝で甲子園に届くという先を見据えた戦いとなる。例年他の地区に比べて、あまり投手陣のつなぎを考えなくてもいい大会になるため、絶対的なエースを持つチームの上に栄冠が輝くことが多い。そんな中、春に実績を残した鳥取西を本命にあげる。エース広沢が春に急成長して、完全に夏へのめどが立ったことがなんといってもチームの大きな自信につながっている。4年ぶりの夏に大きく近づいた。追っていく一番手は、連続出場を狙う八頭。昨年は甲子園の初戦で大敗したが、今年は聖地での1勝を目標に掲げチームを整備。もともと全員でくらいついて勝利をもぎ取るしぶといチーム。その伝統が発揮されれば、今年も覇権争いで一歩リードできる。追っていくチームは、秋優勝の鳥取育英と春ベスト4の鳥取城北。万全で戦えれば、両校ともに上位校に引けは取らない。久しぶりに名前の挙がる倉吉東も有力候補。鳥取商や米子東といった伝統校にもチャンスありの大会となる。 


【島根】(参加39校)
野々村監督復帰で意気上がる白根の開星が、連続の夏に挑む。

◎ 開星
〇 石見智翠館
△ 立正大淞南
▲ 大社 松江商 矢上 出雲

野々村監督の本格復帰で、開星に勢いがついてきた。山陰大会を圧倒し、力の違いを他校に見せつけつつある。エースは昨年も活躍した白根。MAX149キロの剛速球は、他校の脅威の的。精神的に成長できていれば、県内では”難攻不落”だろう。監督復帰でモチベーションも上がり、甲子園へもはや障害となるものは何もない。2番手には春優勝の石見智翠館があがる。打線の破壊力は折り紙つきで、白根と力勝負のできる唯一の打線だ。反面泣き所の投手陣にはまだ柱と呼べるような存在はいない。しかし夏は、何としても打倒白根を誓っている。立正大淞南は、一昨年に初めて全国デビュー。いきなり8強入りし、その名前を全国のファンの頭に刻み込んだ。今年も総合力は上位だが、開星を倒せるだけの何かを持っているとは言えない。夏の大会中にその何かが見つけられれば…。公立勢では矢上が春4強と最上位。小粒であることは否めないが、若い監督が何かを起こしそうな気配は、ある。決め手のない各校だが、大社、出雲、松江商などが暴れると盛り上がる大会になりそうだ。


【香川】(参加40校)
香川西、寒川、英明が3強。勢力図はここ数年で激変した。

◎ 香川西
〇 寒川 英明
△ 尽誠学園
▲ 丸亀城西 観音寺中央 

数年前まで、夏の県大会と言えば尽誠学園が本命、それを高松商や観音寺中央などが追うといった展開が続いていたが、ここ数年で勢力図は激変した。今、県の高校野球を引っ張るのは、香川西、寒川、英明の3チームだ。この3チームのつばぜり合い、今年も展開されそうな気配だ。先ずはセンバツ出場を果たし、その後の春季四国大会でも優勝を飾った香川西が本命。エース宇都宮が春から夏にかけてかなり安定感を増した。全国の強豪と戦っても見劣りしないエースの安定感をベースに、もともと力のある攻撃陣が相手投手を粉砕するという戦い方が板についてきた。今年の県大会を連覇している寒川も、香川西に劣るところのない本命。宮武監督率いる安定感抜群の戦いぶりを見せるチームだが、ここ一番の壁を破れていないのもまた事実。しかしながら、エース五十嵐の安定感は県内屈指。香川西との対戦になった時、どう力を発揮するか。昨夏代表の英明は、豪打で粉砕の豪快なチームカラーが売り物。昨年の甲子園メンバーが5人残り、スラッガー中内の本塁打は50号を超えた。今年も甲子園で見てみたいチームだ。カラーの違う2強との戦いは、果たしてどんな展開になるのか。 追っていく名門校の尽誠学園、丸亀城西、観音寺中央はそれぞれに戦力をアップさせて逆転を狙う。例年以上に熱いバトルが期待できそうな県予選だ。

【徳島】(参加32校)

結果を残せてはいないが・・・・・名門・徳島商を本命に推す。

◎ 徳島商
〇 城南
△ 鳴門工
▲ 城東 生光学園

小松島を何度も甲子園に導いた森影監督が就任して1年。徳島商が満を持して、甲子園へのキップを取りに行く。エース龍田はMAXが140キロを超え、本格派として一皮むけた。このエースに、横手投げの元木が台頭して2本柱を形成。投手陣は問題が解消されつつある。打線は鋭い打球を連発。上位、下位切れ目のない打線が出来上がり、監督を強気にしている。追っていく一番手は、選抜で強豪・報徳に競り勝った城南だ。打線の破壊力は県内1。打ち合いになれば負けない打線だ。心配はエース竹内一人に頼らざるを得ない投手陣。竹内の疲労が蓄積してくるようだと、上位との対決で苦戦は免れない。高橋監督が現校名として最後の夏に挑む鳴門工(鳴門第一と合併して、鳴門渦潮高校変更の予定)には、この思い出のいっぱい詰まった名前で全国へ、という思いが強い。ケガもありまだまだ仕上がっていない戦力だが、そこは名将・高橋監督のこと。きっちりとしたチームで夏の覇権を狙いに来るだろう。徳島商にとっては最も怖い相手だ。春優勝の城東は、エース幸浦が投打の大黒柱。暑い夏を乗り切る体力をつけ、いざ春夏連覇を狙う。生光学園は『公立優勢』の県内にあって奮闘する私立学校。私立初の甲子園も視野に入ってきた。付属の中学を硬式野球部に転向させた1期生で臨む夏、注目度が高い。そのほかでは昨年代表の鳴門、小松島に池田の台頭はあるのか。興味は尽きない。


【愛媛】(参加59校)

新鋭・名門入り乱れての大激戦。果たして戦国大会を制するのは?!

◎ 済美 川之江
〇 新田  今治西 三島
△ 宇和島東 松山商
▲ 西条 八幡浜 

本命なき戦国大会だ。久しぶりにセンバツに代表を送り込めなかった今年、なんとなく県勢に勢いがなく感じたが、夏の戦いはまた別物だ。四国最多の出場校を誇る、熱く燃える夏になりそうだ。本命には済美をおす。上甲監督から威勢のいいセリフは全く飛び出さないチームだが、混戦になればなるほど力が出てくるのがチームの伝統。むしろ”絶対”と言われている大会よりも、選手はノビノビと戦える気がする。チームは打撃中心の打ち勝つチーム。済美の伝統は生きている。春優勝の川之江は、2002年以来の夏を目指す。四国NO1と言われる大西翼を擁しており、全国4強入りした”あの夏”以来の大活躍を誓う。あの時も大黒柱を中心にした今年に似たチーム構成。果たしてその再現がなるのか。総合力の高い新田も有力候補。夏の連戦を戦うには頼もしい戦力の充実ぶりだ。春準優勝で、四国大会で強豪の高知に土をつけた三島は今大会のダークホース。打線の力は本物だ。毎年センバツ後の夏に力を発揮できなかった今治西だが、今年は4年ぶりに選抜なしの春を過ごし、コンディション的に問題はない。一昨年の代表、西条には本藤の右腕にかける期待が大きい。好投手菊池を擁する八幡浜の戦いぶりは、夏将軍と呼ばれる松山商とともに注目の的だ。


【高知】(参加32校)

今年も高知vs明徳のガチンコ勝負で夏は決まる。何とか追いかけたい高知商にはベテラン監督が復活。

◎ 高知
〇 明徳義塾
△ 高知商
▲ 土佐 追手前 室戸

今年も高知、明徳義塾の2強の力が抜けており、よほどのことがない限り2強の決勝での対決が濃厚だ。戦力的に今年は明徳義塾が上回るとみられるものの、ガチンコの直接対決となると話は別。高知は、明徳義塾戦の戦い方を熟知しており、自信を持っている。こと県大会ということで考えれば、やはり1番手は高知ということになろうか。高知は、宮本、西川、細川と3人の投手を場面によって使い分けることができるのが強み。明徳の強打線の目先をかわすという意味からは有効な戦い方ができそう。そして打線も”尾松攻略”に自信を持っているようで、島田監督も直接対決での秘策を練っている。対する明徳は、どうも高知との対決の分が悪い。尾松、北川の投打の軸ががっちりしている今年のチームは全国でも上位を狙う力を秘めるだけに、どうしてもこのライバル対決を制して全国への道を切り開きたいところ。右サイドの2番手投手、福永が意外なキーパーソンになる可能性もあり、すべての面で高知を研究し尽くしている現状だ。追ってくる他校と2強の間には、埋めることのできないほどの差が広がっていると思われるが、それでも最後まであきらめずに夢に向かっていきたい後続組。その筆頭格は、すっかりこのところ影が薄い高知商だ。あれだけ毎年甲子園へコマを進めていたのは昔の話。藤川を擁した97年の夏以降、常に2強の後塵を拝し夏の出場はわずか1回のみ。この現状に腰の重かったOBがついに動き出し、ベテランの正木監督が昨年10年ぶりに復帰し、今夏も指揮を執る。しかしながら戦力の差は埋めがたく、今年も『準決どまり』の可能性は高い。名門・土佐は新監督で勝負。春準Vの追手前が初めての夏に挑めば、室戸や岡豊もわずかなスキを狙っている。


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