S:買付けの仕事が早めに終わったので、右岸にあるオテル・ド・ビル辺りからサンルイ島、シテ島を抜けて、散歩がてらホテルのあるオデオン広場まで歩いてみました。パリは残暑厳しい日本とは違い、歩き回っても汗ばむこともないぐらい爽やかな気候が続いていました。絶好の散歩日和ってわけです。地下鉄の駅がなくて普段は静かなサンルイ島もなぜかツーリストで溢れていました。サンルイ橋を渡ってシテ島に向かうと、ちょうどノートルダム大聖堂の裏手に出ます。道なりに左岸を目指して歩いていってアルシュベシェ橋に差し掛かったところ、欄干の金網に何やら南京錠が沢山取り付けられている光景が目に飛び込んできます。
これは愛し合う二人が、永遠の愛を誓うためにお互いの名前を彫り込んだ南京錠を欄干に取り付け、その鍵をセーヌ川に放り投げるのだそうです。元々ルーブル美術館に程近いポンデザールに沢山取り付けられていて景観を破壊すると社会問題にまで発展していたそうで、周囲の橋にまで拡がってきているみたいです。なんだか神社の境内に結わえられたおみくじみたいに見えなくもないです。
これがなんだか知らなかったサカザキに教えてあげると、「永遠の愛?そんなことあるわけないじゃん!ガハハハハッ!」と高笑いされてしまいました。確かにそうかもしれませんけど、永遠の愛を誓おう!という気分が盛り上がった若者?がパリには溢れるほど沢山いるみたいですねぇ。
M:この中でひときわ大きくて立派だった鍵には“Yuko et Marco(ユウコとマルコ)2010 Mai”と刻まれておりました。Yukoといえば日本人のユウコさんに違いありません。思わずイタリア系の浮気男のマルコに騙されているユウコさんの姿が思い浮かんで、「ユウコ!大丈夫か!?悪い男に騙されてないか?」と心の中で叫んでしまいました。
S:そうです!永遠の愛なんてあり得ないのです。来年の今頃にはもしかしたら「Shinobu et Julia 2011」なんて南京錠がこの場所に取り付けられているかもしれません!(笑)