あんなに嫌いだったのに

平成29年10月に夫がすい臓がんで先に逝ってしまいました。
定年したら離婚しようと準備していたのに・・・

癌との毎日 その28

2017-12-22 19:40:50 | 主人のこと
ドクターに聞いたり言ってやりたいことはたくさんあったはずなのに、言葉にすることはできないままなんと言葉にすればいいのか考えていると、「では、他に何か聞きたいことはありますか?」とドクターから面談を終わらせるそぶりのことを言われた。

聞かなきゃいけない事も言いたいこともあるはずなのに頭の中は「面会時間になってお父さん(主人)の顔を見たときに平静を保てるだろうか???」とそればかりが気になってしまって、今まで感じてきた不信感の文句も言えず「いえ、あとは夕方の主人と一緒の時に聞きます」と答えていた。

ドクターも「そうですね、なによりご主人が一番気になっていると思うので、今後のことは夕方にしましょう」と、面談が終わった。

「では、また夕方よろしくお願いします」と頭を下げ診察室を出るが、心臓はバクバクしたままふわふわと駐車場までいく。

車に乗りエンジンをかける気力もなく「大丈夫か私?」と放心していると、どこかで見られていたのか?と思うタイミングで主人からメールがきた。
「リハビリ行ってきたよ、自転車を5分ばかり漕いできた。楽しかったけど体力が全然ダメで息があがったよ」と。

とりあえずは自分(主人)の状況報告で、見られていたわけではないとほっと一安心し、「ここのところあまり食べてないから体力も落ちるよ。今日5分なら明日は6分を目標に」と療法士さんが言いそうなことを返し、これから一度自宅に戻るのに「そろそろそっちに出る準備をするね、何か欲しいモノある?」と、しらじらしいことを返した。

体を動かしたこともよかったのか、暇つぶしにもなったのか、私が一度自宅に戻っている最中にも他愛のないメールはちまちまと送られてきた。

ふわふわとした気持ちで一度自宅に戻るが、30分もしたらまた病院に向かわなくてはいけない。
主人からのリクエストや着替えを準備して再度病院へいく。
運転しながら「絶対泣かない」「泣いたらばれる」「私は大丈夫」と心の中で繰り返しながら車を走らせていた。