あんなに嫌いだったのに

平成29年10月に夫がすい臓がんで先に逝ってしまいました。
定年したら離婚しようと準備していたのに・・・

癌との毎日 その20

2017-12-08 17:45:24 | 主人のこと
土曜日に退院して次の外来は木曜日の予定だ。
帰るなり発熱もしたが処方されていた解熱剤で下がったのでそのまま予定の外来までは受診はしなかった。

しかし腹水は増えるばかり、とうとう左下腹部や臀部腰部の痛みも言い出すようになり、体を動かすことは減った。
朝のお散歩も行かず、自転車なんて「行きたい」とも言わなくなり一日中ベッドで過ごすようになった。以前なら痛みがなかったり調子が悪くなければ自分から積極的に体を動かしていたが、「なんだか体を動かせば動かすほど腹水が溜まっていくような気がする」と言ってパソコンの前にも座らなくなっていた。

癌が見つかってすぐに仕事を休職扱いにしてもらっていたのだが、一ヶ月に一度くらいは職場に必要な書類を届けに行かなければならないことがある。
腸閉塞で入院しているときは私が行ったが、それ以外は自分で自転車やバイクで行っていた。

外来予定の2日前に提出書類があったらしく「職場にいかなくちゃ行けないんだけど連れてってもらえるかな?」とお願いされた。もちろん連れて行くけど、「辛いなら私が届けに行ってくるよ?書類渡すだけでしょう?」と聞くと「休職して〇〇日(何日か忘れた)経つと、△△(現場)扱いなのが総務の人事課預かりになるんだ。みんなに挨拶したいから乗せて行って」と言う。断る理由もないし心配だから了承し、では行きましょうとなるが助手席ではなく後部座席に座った。そしてそのまま上半身は横にして「これが楽だからここでいい?」と言う。
だいぶ辛かったようだ。座っていると臀部に電気が通ったような痛みが走ると言っていた。

元気な時なら裏道使って最速のルートで行くのだが、この時は混んでも路面のいい大きな道路を選んで使って行った。
職場に着き私は車で待機していたが、20分ほどで戻ってきた主人は久しぶりに上司や同僚部下の方々に会えたのがうれしかったようだ。

2日後の外来はいつもの通り採血から始まるが、主人が自分から「先生、僕今日は抗がん剤を入れる自信がありません。とにかく(腹水のせいか)お腹が苦しくてろくに食べてないんです。」と訴えた。ドクターは「そうですか、じゃあ今日は(お薬は)無しにして腹水を少し抜きましょう」と言った。
入院中には腹水を抜いて欲しいと言っていた主人だが、退院してネットでいろいろ調べたのだろう、腹水を抜くと急に弱ることがあるのを懸念していたようで「え?腹水抜いたら俺死んじゃったりしませんか?」となんとも無礼なことを口にした。隣で聞いていた私は内心(おいおい、言い方ってものがあるだろう)と思いながら「ほとんど絶食に近い状態でだいぶ体力が落ちているのを心配してるんです」とフォローを入れた。
ドクターがムッとしたのは見逃さなかったが「大丈夫です、僕は医者ですよ」と言われ主人は「はい・・」と恐縮していた。