あんなに嫌いだったのに

平成29年10月に夫がすい臓がんで先に逝ってしまいました。
定年したら離婚しようと準備していたのに・・・

癌との毎日 その16(タイトルかえました)

2017-12-03 16:49:52 | 主人のこと
タイトルをかえてしまったけど、今までの続きです。


その日はその後お互いメールのやりとりはしなかった。
宴会には参加しないとは言ってたけど、誘われて行ったのかもしれないし、入院以外で夜主人がいないのは久しぶりで、私ものんびりしていた。

楽しくみなさんと過ごしているのかと思っていたんだ。

次の朝7時前には「おはよう、ちょっと足をのばして〇〇(毎年私がリクエストしていたお土産、今年はリクエストしなかった)を買ってから帰るね」とメールが来た。
具合が悪いとか、いいとかそんな報告はなく、そんなメールだったから「無理しないでいいよ。」と返すも「大丈夫。俺も行っておきたいから」と戻ってくる。
やめとけとは言えずに「わかった、くれぐれも無理はしないように」と返し朝のメールは終わった。

そのままメールもなく家のことをしていると「新宿からちょうどいいロマンスカーに乗れたから2時前には帰るよ」とメールが来て予告通りに帰ってきた。

顔を見てとりあえず安心していると、「ちょっとこれ見てよ。」と荷物を置くなりジーパンとパンツをおろして陰部を見せられた。
左鼠径部から陰嚢が腫れていて触ってみるとぶよぶよとしている。少しだけ熱ももっており、昔病院に勤務していた頃に見たことのある鼠径ヘルニアのようになっていた。

「なにこれ?いつから?」とびっくりして聞くと「ゆうべみんなと挨拶を終えて、ひとりでホテル帰ってシャワー浴びようと思ったらこうなってた。」と言う。
無事に帰って来たと安心してたところにそんなものを見せられて動揺していたんだと思う、「すぐ、病院行こう、なんで〇〇なんか買いに足を延ばしてんのよ」ときつい口調で言っていた。
すると主人は「大丈夫だよ、昨夜のうちに病院に電話して症状を話したら明日来てくださいって外来の予約入れてあるから。」とケロッと言う。
落ち着いて話を聞けば陰部自体は少し熱くなってるかな?程度で本人に発熱はなく痛みもないし、裸になるまで気がつかなかったから違和感もなかったと言う。
そんな症状を説明したら明日の診察でも大丈夫でしょうとのことだった。
実際本人も面白がってるかのように(下半身丸出しで)「こんなになるんだな」なんてブヨブヨになったところを揺すって見せていた。

その夜は不調を訴えるわけでもなく、疲れたと早く寝るわけでもなく家族と食事をしていつもの夜を過ごしていた。