
今回レビューするのはDAREDEVIL Cold Day in Hell 2号。添付画像は本編の画も担当しているSteve McNiven。横綱相撲とはこのこと。多数のバリアントがある中McNivenがぴか一。そのMcNivenがなんとMarvelからDCに移籍してしまった。そりゃないよ。
今回の2号も筋書をChales SouleとMcNivenが。画をMcNivenが担当。
粗筋を紹介。一時的に嘗ての特殊能力や俊敏さを取り戻したDAREDEVIL (“DD”) ことMatt Murdock。その力を爆破事件の捜査に使う。そして爆破事件の主犯Bulleseyeは、特殊能力を持つ少女を拉致すると共に、政府から奪った放射性物質を何かに使うつもりだ。
前回書いたように、この作品は1986年にFrank Miller描いたBATMAN The Dark Knight Returns (“DKNR”)へのHomage。細かいコマ割りや女性の描き方はMcNivenがMillerに寄せて描いているように感じる。両方の作品を読んだことのある人のみが感じることのできる幸せだな、こいつは。
まずは、Electraの登場。Mattは年老いたのに、彼女は昔日の若さを失っていない。自分自身に置き替えてみて考える。昔好きだった女性が若いままの姿で現れたら、自分自身の老いに精神的に叩きのめされるだろうな。前提として彼女は死んだ筈だったのかもしれない。彼女のなぞは3号までのお楽しみとしよう。その昔の彼女の復活は忍者集団The Handのお陰。今回もThe Handが彼女を再度生き返らせ、さらに若さも与えたかもしれない。Electraとチンピラとの戦闘シーンは無茶苦茶カッチョ良い。
一時的に力を失ったDDにかけた彼女の応援の声。”Stand up, old man. It’s not your time.” 彼女らしい台詞ではあるな。
前述の通りボスはやはりBulleseyeだったわけだが、彼が指揮官という設定はどうもピンと来ない。Mattが力を失ったのに、彼は力を失ってないのもちょっと違和感あり。
もう一つ、この号で良かったのはFoggy Nelsonとの再会。どうやらFoggyは弁護士を続けていて、Mattとは没交渉だったようだ。
この話の好きなところは、Mattが手にした力は時間とともに失われる運命だというところ。その緊張感が、単なる暴力の描写でないもう一つの味付けになっている。次号は最終話だ。最終回が楽しみだ。