アメコミとラーメン

1981年にFrank Millerの描いたSPIDER-MAN


大分前にMilehigh Comicsで半額セールをやっていたのに合わせ購入したThe Amazing SPIDER-MAN (“ASM”)Annual15号についてレビュー。半額とは言え$26はちょっと高い。しかし、状態はVery Fineということで、すごく良い。この時代のアメコミでNear Mint(新品同様)はちょっと考えられないから、納得。

筋書きをDennis O’Neil、画をFrank Miller、インクをKlaus Jansonが担当。O’Neilと言えば1970年代にNeil Adamsと組んでBATMANの筋書きを担当した人。この頃のBATMANはちゃんと謎解きしていた。

粗筋を手短に紹介。Turhamなるインチキ魔術師がPUNISHERに殺された。SPIDER-MANことPeter Parkerの目の前で。インチキの犠牲になった少女の命は風前の灯。それを救おうとするSPIDER-MANだが、その前にDr, Octopus ("Doc Ock”)が立ちふさがる。Doc Ockの目的はニューヨークの市民の命をインチキ魔術師の使用した毒で脅かそうとするもの。

今回もいつものように、気に入ったシーン、台詞等を紹介。最初に挙げるのはMillerの画。大好きな画家の一人。好き嫌いがわかれる画家だと思う。今回はMillerのインクをよく担当しているJansonとコンビのため、危なげない。Doc Ockの機械触手の使い方が効果的。例えば水中で容器を回収するシーン等は、タコ壺から触手を伸ばすタコのよう。また、SPIDER-MANとの新聞社での戦闘シーンは、輪転機や新聞紙のロールを使って面白いシーンに仕上がっている。

O’Neilの筋書きも古き良き時代のアメコミっぽくて好きだな。誇り高い新聞社の社長J Jonah Jameson (“JJJ”)の性格をしっかり把握した上で演じさせている。彼がDoc Ockを退治したかのような一面記事が、逆にそれを読む読者の不安を煽り、発行部数が落ちることに繋がるってオチも面白い。編集長のRobertosonの諦めろって台詞は”kill it.”と物騒。結局彼はいつものSPIDER-MANがニューヨークの敵だといういつものキャンペーンを一面に使うが、最後に新聞スタンドの従業員に批判される二段オチもすばらしい。Doc Ockの触手への依存が命取りとなる最後も好き。

O’Neilらしく謎解きも忘れていない。5百万人の命が危ないというDoc Ockの台詞を元に、JJJの新聞Daily Bugleの読者数と結び付けるあたりはやるね。O’Neilの担当したBATMANを彷彿とさせる。O’Neil以外の作品でも、昔のアメコミはこういうのが沢山あった。今の作家もそういうのやってほしいな。もっと。

SPIDER-MANは彼らしくお喋りだ。悪人だけが自分から逃げるという台詞が好き。そしてPUNISHERが最後に警察に捕まった後の台詞も良い。”There are lots of criminals. Lots of them.”つまり、刑務所には彼が処刑すべき犯罪者が沢山いるってこと。転んでもただでは起きない彼らしい台詞だ。

最後にAnnualらしく、オマケがついている。SPIDER-MANの力がどれくらいだとか、Peterの部屋の構造とか、悪人のピンナップとかね。当時活躍していたBob LaytonやMarie Severin等が画を担当している。懐かしい。
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