素足で泥に入って苗を植える。
鎌を使って稲刈りをする。
束ねて天日に干す。
せんばこきで脱穀をする。
耕うん機とかコンバインとかいう機械ができる前は、きっと普通だったんだろうな…。
これがちょっと昔の、この子たちのおじいちゃんおばあちゃんが子どもの頃にあった、日本の風景なのかもしれません。
今やアジアのほかの国でも、機械化の波がどんどん押し寄せて、こうした風景はあんまり見られないのかもしれません。
効率よく収穫して、たくさんのお金を得て、豊かな生活をするために。
そして本当の貧しさを知らない世代が親となりました。
空腹が満たされても何かが足りない。
日本人が忘れてしまった風景の中に、その答えがあるのかもしれません。
[はさがけ解体。子どもたちも頑張ります。]
11月の初旬、馬来田の田んぼで脱穀作業を行いました。
脱穀とは、稲穂をもみ(実の部分)とわら(穂の部分)に分ける作業。
わたしたちが普段食べている白米や玄米はもみを精米して作っているので、もみを選別していくというのは、また一歩食べられるものに近づける作業ということになります。
前回稲刈りでは稲穂の束をはさがけするところまででしたので、今回はまずそのはさがけを解体して、稲穂の束を取り出すところから始まりました。子どもたちがいっしょうけんめい重たい束を運んでくれました。
[足踏み脱穀機]
脱穀に使った機具は2つ。昨年と同じ、足踏み脱穀機と原始的なせんばこきです。
足踏み脱穀機は歯の部分が回転してあっという間にもみを稲穂から取ってくれる、すごく画期的な機具。昨年の脱穀では途中からこれを借りて来て、すごく大活躍したので、今年は初めからバッチリ使いました。
ただ回転する部分に巻き込まれると非常に危険なので、こちらは大人専用。
[せんばこき]
子どもたちはゆっくりペースでせんばこきによる脱穀を楽しみました。せんばこきは鉄製のすきのような機具でシンプルですが誰でも安全に脱穀を体験できる優れものです。
足踏み脱穀機にしてもせんばこきにしても、大ざっぱに「もみ」と「わら」を分けていくことができますが、「もみ」の中には小さなわらやゴミなどがたくさん含まれている状態です。
精米をするためにはここから更に、限りなく「もみ」だけの状態に近づける必要があります。
[とうみ]
そこで登場するのが、この機械。「唐箕」と書いて「とうみ」と読みます。
今となっては非常に珍しい機械になってしまい、わざわざ君津にお住まいの方から借りて来たのだそうです。
さて混ざってしまった「もみ」と「ごみ」を分けるにはどうしたらいいのでしょう。
昨年はこの「とうみ」という機械がなくて、手作業での選別となり、非常に大変だった思い出があります。
手作業で選別していると気がつくのですが、「もみ」と「ごみ」は重みが全然違うのです。「もみ」の方が断然重いです。たまたま風が吹いた時に上からサラサラ…と「もみ」「ごみ」混合体を落としてみると、「もみ」は真っすぐ下に落ち、「ごみ」は風に運ばれて行きました。
唐箕はまさに、この原理を利用した画期的な機具なんです。
大きな箱の中でプロペラを回して風をおこし、そこに落ちて来る「もみ」と「ごみ」を吹き飛ばします。重みの違う2つがそれぞれ別のところに集まることで「もみ」と「ごみ」を分けるんですね。
レバーをまわすと、ビューッビューッと風がおき、面白いように「もみ」が抽出されていきました。
唐箕の登場でどれだけ作業効率が上がったことでしょう。救世主現わる!という感じだったでしょうね。昔の人の知恵は素晴らしい。
1回で取りきれなかったごみも、2回唐箕にかけてみると結構きれいになります。
実は昨年、唐箕体験のときに参加できなかったので、今回は絶対に見たいと思っていました。うれしいです。
唐箕は周りが木の板で囲ってあり、杉のような軽くて柔らかい素材でできていました。
ほのぼの、あったかい感じのする機具で子どもたちにも人気がありましたよ。
唐箕の作業を経て、1.5袋分のもみが取れました。
これが精米され、ごはんになるなんてすごいですね。
そうそう…それから前回の反省を活かして、今回の脱穀では軍手を使いませんでした。もみが、くっつき虫のようになってしまうので。ホームセンターで色々探して、ショーワグローブの「ピッタリ背抜き」という手袋を使ってみたところGoodでした!
[いもほり]
午前中で脱穀作業を終わらせ、午後はみんなでいもほりをしました。
前回のプレいもほりの時は小さかったおいもも、2週間ほどのあいだに大きく育っていました。
ゴロンゴロンした大きなおいもが、出て来る出て来る!
面白くてみんな無言で?夢中になって掘っていましたよ。
[いきもの]
すでに数日前木枯らしが吹いて、冬が到来していましたが、馬来田はとても暖かかったです。
馬来田のいきものたちも、まだまだ活動していました。
たっくんは今回、ほとんど虫取りをしていました。これでもか、というくらいバッタがたくさんいましたよ。
カエルや、野ネズミ(すでに死んでましたが)を発見した人もいました。
農薬を使っていない田畑には、いきものたちが沢山くらしているのですね。
こういうのを見るとホッとします。
馬来田のお米は、このあと川崎のお米屋さんで精米されるそうです。楽しみです!!
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
※参考…今年の馬来田の様子「お田植え」「稲刈り」
昨年の馬来田の様子「お田植え」「草取り」「稲刈り」「脱穀」