『
日本語の歴史』を読み終えました。
面白かったです!
* 日本人の、漢字との出会いと漢字の導入、それに伴う苦労話。
(なにしろ、中国の漢字をやまとことばに当てはめるのですから、相当の試行錯誤があったようです)
* 漢文とひらがなを使う背景にある思想とは?
* 係り結びの崩壊と日本人の思考の変化とは。
* 江戸時代のことばが現代ことば遣いの源流だと言える根拠って?
* 明治時代以降、言文一致体に至るドラマはどんなものだったのか。
本書前半は、高校時代の古典授業が思い出されて「読むの止めようかな^^;」と迷ったこと数回(苦笑)。でも、これがどのように現在の日本語に繋がっていくのか どうしても知りたかったので、「係り結び」あたりはジッと耐えて読みました。しかし面白いことに、一通り読んでみると、実はこの「係り結び」あたりが一番の掘り出し物だったようです。まさか、係り結びの崩壊が日本人の思考を論理的なものにする第一歩だったなんて、だれが教えてくれたでしょうか。高校時代にこういう話を聞いていれば、もっと古典が面白く感じたかもしれないなぁ。。。
「言文一致体」にしても、たしか文学史の、「暗記すべきキーワード」くらいの認識しかなかったです。なのに・・・実はすごく面白いドラマだったんじゃないですか~(笑) 言文一致のきっかけは西洋文化の流入で、「書き言葉の進化の遅れが一国の時代遅れ」であることを実感しながらも、少し時間が経つとまた元に戻ったりして・・・一進一退を繰り返した結果に ようやくたどり着いた「言文一致」。そのおかげで私は今、こうして「話すように」ブログ記事(文章)を書けるのですネェ。言文一致に半世紀も費やした昔の人々に感謝、感謝です。
著者は、当時の文学作品などを例にあげて当時の言葉事情を説明しています。説得力があるし、「今度この作品を読んでみようかな」という気にもさせます。実際、私は今、二葉亭四迷の『浮雲』を読んでみたくなってます(笑) 話すように書くことを勧めた坪内逍遥のアドバイスどおり、四迷が「(ともかく逍遥の)仰せの儘にやッてみた」のが『浮雲』なんだそうです。
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今日の記事は「副読本」カテゴリーに入れましたが、この『日本語の歴史』は日本語教師を目指すなら是非一読しておきたい本だと思います。検定試験に役立つからとか、そういうのではなくて、日本語が一層面白くなるだろうから。こういう面白みを知っていて生徒に教えると、授業中の空気が変わってくるのではないでしょうか。まだ教壇に立ったことのない私が言うのは変ですが、なんとなく、そう思えるのです。
とにかくオススメの一冊です!^^
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