崩壊する地域医療に立ち向かった実践者の各地の分析と記録, 2010/2/8
By 歯職人
本体の自治体の財政破綻で注目された夕張、地域政治の政争に発展した銚子市立総合病院、救急車が患者の受け入れ先を求めてさまよい続けたと伝えられた奈良県。ここ数年、全国各地から地域医療の崩壊が伝えられる。
著者の伊関友伸氏は、埼玉県職員として通常の人事移動の中で病院関係の職場を経験し、自治体病院の運営や地域医療を考える機会を得て、現在様々な地域医療再生のアドバイザー的な立場に至り、現場を歩き医療者の働く意欲の湧く「物語」のある地域づくり、地域医療のあり方、病院経営に立ち向かう人々の応援団であり理論家でもある。
「第1章 なぜ自治体病院の経営は崩壊するのか-銚子市立総合病院の経営破たん」では、詳細な病院の経営分析と時系列に沿った経過説明の上で、なぜ自治体病院は破綻するのかと問い、1.官僚主義の病理 2.お任せ民主主義 ア.政治リスク イ.「人任せ」の住民と、正面からの原因分析を試みる。
「第4章 夕張希望の杜の地域医療再生-地域医療のこれからのかたち」は、大量報道された「夕張倒産/自治体倒産」の影に隠れ医療と福祉そして地域のあり方、住民が医療・福祉とどの様に向き合い、どの様な自治を行うかという踏み込んだ議論が展開されている。
また、夕張の医療とまちの再生を担う「夕張希望の杜」の村上智彦医師の実践と苦闘が詳細に描かれている。村上智彦医師と伊関氏は、ともすれば不採算部門として真っ先に閉鎖される歯科部門にも光を当てている。見落とされがちな「医科と歯科の連携」の効果として、夕張での肺炎の急減。「夕張希望の杜」に腕の良い歯科技工士が居ることによる、夕張の「高齢者の口腔ケアの質への貢献」が語られる。
やや専門的な内容を含む部分もあるが、各地で起こり得、実際に起こっている「地域医療の崩壊」「病院が消える」事態の中、多くの読者を獲得し「地域医療再生」に着手するための第一歩の指針として活用して欲しい一冊です。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4324089116/ref=cm_cr_mts_prod_img
地域医療 ― 再生への処方箋
伊関友伸
ぎょうせい (2009/11 出版)
318p / 22cm / A5判
ISBN: 9784324089118
NDC分類: 498.021
価格: ¥2,299 (税込)
全国で、自治体病院の経営破たんや地域医療の崩壊が起きています。
これは過去に例を見ないものであり、その再生には教科書的な答えはなく、
現場での実践の中から解決策を模索することが求められています。
そうした状況を受け、自治体医療政策・病院改革の専門家として注目を集める著者が、
自治体病院経営や地域医療再生について、現場での実体験に基づき、
自治体や医療関係者、地域住民はどう行動したら良いかを明示します。
医療再生に向けた行政・医療機関・住民の協働をテーマに、
千葉県銚子市・山武地域、奈良県、沖縄県、北海道夕張市、兵庫県丹波市を具体例として、
医療再生の「秘訣」をドキュメントとして解説します。
自治体首長、議員、担当職員、医療・福祉関係者、地域住民など、
地域医療の崩壊に頭を悩ませている全ての方の必読書。
-------------------
目次
・はじめに
1 なぜ自治体病院の経営は崩壊するのか――銚子市立総合病院の経営破たん
2 奈良県の自治体病院の課題――「過小投資」が自治体病院にもたらすもの
3 沖縄県立6病院の医療再生――自治体病院の経営形態のあり方について考える
4 夕張希望の杜の地域医療再生――地域医療のこれからのかたち
5 住民も「当事者」の医療再生――兵庫県丹波市・千葉県山武地域
6 「まちの病院(医療機関)」をなくさないために必要なこと
7 自治体病院の「赤字」について考える
・おわりに
著者紹介(肩書は発刊当時、敬称略)
伊関友伸…いせき・ともとし/城西大学経営学部准教授、NPO法人ハンズオン埼玉代表理事
http://iseki77.blog65.fc2.com/
By 歯職人
本体の自治体の財政破綻で注目された夕張、地域政治の政争に発展した銚子市立総合病院、救急車が患者の受け入れ先を求めてさまよい続けたと伝えられた奈良県。ここ数年、全国各地から地域医療の崩壊が伝えられる。
著者の伊関友伸氏は、埼玉県職員として通常の人事移動の中で病院関係の職場を経験し、自治体病院の運営や地域医療を考える機会を得て、現在様々な地域医療再生のアドバイザー的な立場に至り、現場を歩き医療者の働く意欲の湧く「物語」のある地域づくり、地域医療のあり方、病院経営に立ち向かう人々の応援団であり理論家でもある。
「第1章 なぜ自治体病院の経営は崩壊するのか-銚子市立総合病院の経営破たん」では、詳細な病院の経営分析と時系列に沿った経過説明の上で、なぜ自治体病院は破綻するのかと問い、1.官僚主義の病理 2.お任せ民主主義 ア.政治リスク イ.「人任せ」の住民と、正面からの原因分析を試みる。
「第4章 夕張希望の杜の地域医療再生-地域医療のこれからのかたち」は、大量報道された「夕張倒産/自治体倒産」の影に隠れ医療と福祉そして地域のあり方、住民が医療・福祉とどの様に向き合い、どの様な自治を行うかという踏み込んだ議論が展開されている。
また、夕張の医療とまちの再生を担う「夕張希望の杜」の村上智彦医師の実践と苦闘が詳細に描かれている。村上智彦医師と伊関氏は、ともすれば不採算部門として真っ先に閉鎖される歯科部門にも光を当てている。見落とされがちな「医科と歯科の連携」の効果として、夕張での肺炎の急減。「夕張希望の杜」に腕の良い歯科技工士が居ることによる、夕張の「高齢者の口腔ケアの質への貢献」が語られる。
やや専門的な内容を含む部分もあるが、各地で起こり得、実際に起こっている「地域医療の崩壊」「病院が消える」事態の中、多くの読者を獲得し「地域医療再生」に着手するための第一歩の指針として活用して欲しい一冊です。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4324089116/ref=cm_cr_mts_prod_img
地域医療 ― 再生への処方箋
伊関友伸
ぎょうせい (2009/11 出版)
318p / 22cm / A5判
ISBN: 9784324089118
NDC分類: 498.021
価格: ¥2,299 (税込)
全国で、自治体病院の経営破たんや地域医療の崩壊が起きています。
これは過去に例を見ないものであり、その再生には教科書的な答えはなく、
現場での実践の中から解決策を模索することが求められています。
そうした状況を受け、自治体医療政策・病院改革の専門家として注目を集める著者が、
自治体病院経営や地域医療再生について、現場での実体験に基づき、
自治体や医療関係者、地域住民はどう行動したら良いかを明示します。
医療再生に向けた行政・医療機関・住民の協働をテーマに、
千葉県銚子市・山武地域、奈良県、沖縄県、北海道夕張市、兵庫県丹波市を具体例として、
医療再生の「秘訣」をドキュメントとして解説します。
自治体首長、議員、担当職員、医療・福祉関係者、地域住民など、
地域医療の崩壊に頭を悩ませている全ての方の必読書。
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目次
・はじめに
1 なぜ自治体病院の経営は崩壊するのか――銚子市立総合病院の経営破たん
2 奈良県の自治体病院の課題――「過小投資」が自治体病院にもたらすもの
3 沖縄県立6病院の医療再生――自治体病院の経営形態のあり方について考える
4 夕張希望の杜の地域医療再生――地域医療のこれからのかたち
5 住民も「当事者」の医療再生――兵庫県丹波市・千葉県山武地域
6 「まちの病院(医療機関)」をなくさないために必要なこと
7 自治体病院の「赤字」について考える
・おわりに
著者紹介(肩書は発刊当時、敬称略)
伊関友伸…いせき・ともとし/城西大学経営学部准教授、NPO法人ハンズオン埼玉代表理事
http://iseki77.blog65.fc2.com/