医療と福祉の経済システム (新書) 西村 周三 (著)
新書: 218ページ
出版社: 筑摩書房 (1997/06)
ASIN: 4480057110
小泉政権以前に存在した、日本の医療・福祉への医療経済学者からのもう一つの処方箋
2006/12/11
レビュアー: 歯職人
小泉構造改革政権による日本社会のセーフティーネットの動揺が、「ワーキングプア」「自治体破産」等々の形で、振り返られる時期を迎えている。
本書は、その小泉政権登場以前の1997年、介護の社会化と何らかの医療改革の必要性が近々の課題として取組に向かう時期に著された。
国民の医療への不満、財政当局が医療・福祉・介護に向ける不満、医療従事者が制度向ける不満等々、それらの不満を生み出す根源を、医療経済学者西村周三が日本社会の文化的伝統を踏まえ尚且つ欧米の医療経済学の知見と各国の医療制度の得失を咀嚼した上で、「市民の教養としての新書」の型式により国民に示し、素人である市民へ選択肢を提示している。
西村は最後に、「いま必要なことは、医療と福祉との共同研究の場を、研究機関でも、また実践の場でも広げることである。」「いまもっとも欠けているのは消費者の満足と専門家の知識のギャップを埋める努力なのである。」と説く。
本書は、既存のイデオロギーにも組せず、官におもねることなく医療経済学者の志の高さを示している。
目次
第1章 医療と福祉―いま何が問題か?
第2章 高齢社会の見通し―経済社会の変貌と医療・福祉の将来
第3章 医療保険制度と福祉制度
第4章 医療保険制度の改革―長期積立型医療保険制度の提唱
第5章 国保問題をどう解決するか―地方分権と医療・福祉
第6章 規制と医療・福祉
第7章 薬価問題と医薬品産業
第8章 医療・福祉の技術進歩―結びに代えて
新書: 218ページ
出版社: 筑摩書房 (1997/06)
ASIN: 4480057110
小泉政権以前に存在した、日本の医療・福祉への医療経済学者からのもう一つの処方箋
2006/12/11
レビュアー: 歯職人
小泉構造改革政権による日本社会のセーフティーネットの動揺が、「ワーキングプア」「自治体破産」等々の形で、振り返られる時期を迎えている。
本書は、その小泉政権登場以前の1997年、介護の社会化と何らかの医療改革の必要性が近々の課題として取組に向かう時期に著された。
国民の医療への不満、財政当局が医療・福祉・介護に向ける不満、医療従事者が制度向ける不満等々、それらの不満を生み出す根源を、医療経済学者西村周三が日本社会の文化的伝統を踏まえ尚且つ欧米の医療経済学の知見と各国の医療制度の得失を咀嚼した上で、「市民の教養としての新書」の型式により国民に示し、素人である市民へ選択肢を提示している。
西村は最後に、「いま必要なことは、医療と福祉との共同研究の場を、研究機関でも、また実践の場でも広げることである。」「いまもっとも欠けているのは消費者の満足と専門家の知識のギャップを埋める努力なのである。」と説く。
本書は、既存のイデオロギーにも組せず、官におもねることなく医療経済学者の志の高さを示している。
目次
第1章 医療と福祉―いま何が問題か?
第2章 高齢社会の見通し―経済社会の変貌と医療・福祉の将来
第3章 医療保険制度と福祉制度
第4章 医療保険制度の改革―長期積立型医療保険制度の提唱
第5章 国保問題をどう解決するか―地方分権と医療・福祉
第6章 規制と医療・福祉
第7章 薬価問題と医薬品産業
第8章 医療・福祉の技術進歩―結びに代えて