「サバニのある風景」展
幼い頃に見た風景は、記憶の片隅に残り
私は、過ぎ去った時間に漂いながら残片を拾い集めた。
失われたものは、はかなく、そして眩しかった。
デジタル世界の激流は、私のアトリエも呑み込んで行く。
数字化された無味無臭な平面でも、嫌いにはなれなかった。
むしろ多くの平面の可能性を思う。
拾い集めた残像は、仮想現実として再び蘇える。
そして…。
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最近の母は、より認知症が進んでいる。
母は私を呼ぶときは「トシ坊」と言う。
いつもの様に、夕食の補助を終え、ベットへ寝かす。
好物の棒アメを舐めながら言った。
母「きぬ、トシ坊がいんからくーったん」(昨日、トシ坊は海から来なかった)
私「のーてぃぬばーりゃー」(どうゆうこと)?
母「みーつからー、んーななきゅうたー」(見たら、皆、泣いていた)
私「のーすうてぃ」(どうして)?
母「 . . . 本文を読む
今年もサガリバナの季節になる。
母は、去年も行ったサガリバナの夜間観賞を今年はキャンセルした。
長時間の車イスに耐えられそうもないと言う。
確実に体力の衰えを知る。
花が好きな母は、写真でいいと呟いた。
大雨の今日、いつもの様に食事の介護が始まる。
母「きゅうや、だいずだたあ」(今日は大変だったよ)
私「のうがすたりゃ」(なにかあったの)
母「ふすのいでぃかにし、んにゃてぃすっ . . . 本文を読む
最近の母は、穏やかになってきた。
認知症は残っているが、攻撃的な言葉が減っている。
常に訴えていた何処かの痛みも小さい感じだ。
しかし、いつも飲みかけの水を盗みに来る子供は、今でもやってくるらしい。
母「かいたがきしばどぅ、ウトゥルスむぬさい」(彼らが来るのが、こわいさあ」
私「ばが、いじゅうかでぃ」(私が、叱っておくから)
母「うわんな、いざいん」(あなたには、叱れないよ)
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