★野村美術館 サイト
2020年春季特別展「懐石のうつわ」 ※6月7日(日)まで
前期:4月19日(日)まで 後期:4月21日(火)~6月7日(日)
新型コロナウイルスの感染防止で多くの美術館と博物館が臨時休館する中、
事前にサイトや新聞で開館を確認の上で展覧会初日(3月7日)の朝10時に訪問した。
私以外のもう一人、開館を待っている男性がいた。
無意識に距離を取りながら、それぞれの鑑賞の世界に没頭した。
今回のテーマは懐石道具。
懐かしい。初めて野村美術館を訪れた時(2007年11月)も懐石道具だったから。
当時の展示リストを参照してみると、重なる道具もあるけれど、
春と秋の違い、前後期の差で前回観たものと同じものはほとんどなかった。
もっとも、もう12年以上前だから、内容はほとんど覚えていないんだけど。
なので、実際には真っ新な目線で展示品と向き合った。
目を惹いたのは左ケース。
青貝の桜蒔絵の懐石道具がすらっと並ぶ。
まず、お膳に飯椀と汁椀と向付のセットが2つ。
向付が違う。一つは古染付の半開扇。もう一つは織部の開扇。
同じ扇の向付なのに、印象があまりにも違う。
違うのは向付だけで、お膳もお椀も春らしい螺鈿の桜が散らしてあるのは同じなのに、
お膳の印象がガラッと変わる。不思議だなぁ。
古染付は柔らかな日差しの亭主や女性のお客さまの茶事のイメージ。
織部は男性ばかりの茶事のイメージ?
驚くのは青外桜蒔絵のセットが延々続く。
飯器に杓子、煮物椀、小吸物椀(←箸洗いと違って、そこそこ大きい)
湯斗に盆、湯の子掬い。
まぁ、セットだから当然なんだけど、贅沢なというか、豪華そのもの。
これに合わす陶磁器は南京赤絵の馬上杯や南蛮内渋甕蓋、呉須赤絵菊竹小鉢。
織部の手付四方鉢も迫力だった。
右ケースは陶磁器。
絵高麗の草花文鉢。磁州窯。
この前、静嘉堂文庫で展覧会を観たばかりだったから嬉しくなった。
乾山の百合絵鉢がピカソみたいな複雑さでびっくり。
正木焼俵形鉢。「正木?」尾張藩士が焼いたものだそうで。
梅絵の扇地紙形向付。形が面白い。
扇に貼り付ける紙を扇に貼ったように折り目をつけて縦の広げて丸くした意匠。
たぶん、京焼だと思う。
中央ケースは漆器。
酒井抱一の下絵による原羊遊斎の蕨蒔絵膳と椀。
「初めて見るのでは~」と思わず見入ってしまった。
あとで確認すると、12年前は前期展示で、私が訪れたのは後期で見損ねていた。
佐野長寛と永楽和全の合作という桐文重箱や長寛の伊勢物語絵替吸物椀など雅。
茶室のところは紅毛の結文香合が印象に残った。
阿蘭陀の焼き物で結文香合? 国産で阿蘭陀ぽく焼いたのか、あちらに注文したのか。
わからないなぁ。
菓子器をみて「これは存星!」。目録をみて確認して、にやり。
地下展示は「煌めきのギヤマン・バカラ ガラスの懐石具」。
これは何度となく見たので、サラーっと流して鑑賞。
秋季展の予定は
『得庵茶会再現(仮称)』 9月5日(土)~10月18日(日)
『高麗茶碗の不思議(仮称)』 10月24日(土)~12月13日(日)
ここまでハッキリと出し物が変わるのなら、2回行かないとねぇ。
実は最近、「前後期」とあると展示品が総取り換えされるとわかっていても
つい「後期はパスするか~」という気持ちになって、行ってなかった。
★バックナンバーリストはこちら
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます