Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

『芦屋釜の名品』

2007年11月16日 08時45分30秒 | 美術館・博物館etc.
五島美術館(東京都世田谷区)
※12/2まで。

茶道をたしなむ人か、古美術に興味がある人しか楽しめないかもしれない、非常にマニアックな展覧会。

『特別展』と銘打つだけあって、展示してあるのは秀作揃い。
「芦屋」とは現在の福岡県にあり、室町期に大内氏の庇護を受けて、釜作りで栄えたのだそうだ。
中国(明)の技術的な影響も多分に受けていたと思われる。

どれも、でっぷりとして、なだらかな肩のカーブの型。
肌合いの細かい霰模様も見事。
(添え状のついた利休愛用の釜もあり)
また、菊紋が散らしたデザインや細かい細工のカンなど、展示してある約50点の釜一つ一つに見所があった。

釜には風炉用と炉用の2種類がある。
形や大きさ、カンのついている位置でだいたいの判別がつくのだが、昔の書院の茶は道具そのものが大ぶりだったようで。
切掛風炉が合わせなかったなら、炉用かと勘違いするような茶釜も少なくなかった。

鉄製品で数百年前のものだから、錆びて観賞用にしかならないのかと思いきや、殆どがお湯を沸かして使えるのではないかと想像できるほど、保存状態がいいのには驚いた。

隣で観賞していた年配の方がため息まじりで「ウチの茶釜もよいものだったけど、戦時中に供出しちゃったから~」と話されているのが印象に残った。

ここにある茶釜たちは供出を免れて残ったんだねぇ。
今も昔も、金持ちはズルいナ。

なお、今回は京都の細見美術館とのタイアップ。
来年1/2~2/11まで、開館10周年記念展として、京都で開催される予定。
(出展数も若干多いらしい)

目録かわりに同名の書籍も出版されている。(2,000円くらい)
これは淡交社が版元なので、書店でも購入可能。

なお、芦屋釜そのものは江戸時代になってから京釜におされて衰退したのだそうだ。
最近になって、芦屋の地で復興の取り組みがなされている。
展覧会でも芦屋釜の里の全面的なバックアップが感じ取れた。
とくにロビーの片隅で上映されていたビデオは見応えがあり、釜作りの過程がよく理解できた。
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