イケメン王宮のバレンタインイベント、「Sweet&Bitter」
ユーリvsアルバートルート アルバート編の第2話です
以下ネタバレ
------------------------------
(さっきは、驚いたな…)
チョコレートクッキーを取りにキッチンに戻ると、
私は指輪を褒めてくれたアルバートの事を想い、頬を染める。
(でも本当は、優しい人だって知ってた…)
そっと瞳を閉じると、私は先日シュタインにお邪魔した日の事を思い出した。
―(どうしよう、迷ってしまったみたい…)
お城の庭を散歩していた私は、いつの間にか深い森に迷い込んでしまっていた。
辺りを見回していると、不意にアルバートが姿を現す。
アルバート「…何をしているのですか」
(よかった…)
「あの、お城の庭を散策していたら、迷い込んでしまったみたいで…」
ほっとしてアルバートの方へ駆け寄ると、アルバートが微かに眉を潜める。
アルバート「こんな夜更けに一人で散歩とは…」
アルバート「ウィスタリアのプリンセスは、よほど危機感がないと見えますね」
(確かに…自覚だ足りなかったかもしれない)
アルバートの言葉に足を止めると、私はそっとまつげを伏せた。
アルバート「……」
アルバートは、そんな私にすっと手を差し出す。
「……?」
アルバート「何をしているのですか」
アルバート「夜通しそこにいたいのなら別ですが」
「あ、はい…」
戸惑いながらもついていくと、私はふとアルバートの足下に目をとめる。
(あれ…アルバートのズボン、ずいぶん泥がついてる…)
(もしかして、通りかかったんじゃなくて、探してくれたのかな…?)―
(あの日のお礼をしたいけれど…)
(ジルは、次期国王選出を意識してと言っていたし…)
チョコレートクッキーの包みを握りしめると、私はそっとため息をつく。
(…渡さない方がいいのかな)
(チョコのことは置いておいて、お礼はきちんと伝えよう)
部屋までの道を歩きながらそう思っていると、
(あれは…)
私は、庭に見覚えのある人影を見つけた。
「アルバート?」
庭に出て声をかけると、雨が上がりかけた空を見つけていたアルバートが振り返る。
アルバート「ああ、プリンセスですか」
「何をしていたのですか?」
アルバート「少し…考え事を」
静かに答えると、アルバートは私の手の中の包みに目を向ける。
アルバート「渡しそびれたのでしたら、頂きますよ」
「え…っ」
(チョコレートクッキー…アルバートに渡すって、どうして分かったんだろう)
返事に困り、微かに頬を染めていると、アルバートが静かに続ける。
アルバート「ゼノ様には、私からお渡ししておきましょう」
アルバート「どうしました?早くお渡しください」
首を傾げる私に、アルバートが言い募る。
(どこでそんな勘違いを…)
言葉を見失い、瞳を瞬かせていると、
アルバート「もしかして…ゼノ様の他に誰か心に決めた方がいらっしゃるとでも?」
アルバートは、なぜだか不快そうに眉をしかめた。
(この状況…一体どうしたら…)
思わず口を開いたまま言葉を探していると、
アルバートは私に尋ねるような視線を向ける。
(良くわからないけど…)
(ゼノ様以外の人にお渡しするのは、アルバートを不快にさせてしまう事なのかな?)
(それだったら…)
アルバートを見つめると、私は考えながら口を開いた。
「実は…」
「アルバートに試食をして頂こうと思って」
咄嗟に口をついて出た嘘に、私は思わずまつげを伏せる。
アルバート「試食…?」
「はい…ご迷惑でなければ、お願いできませんか?」
重ねて言うと、私はまつげを伏せたまま、チョコレートクッキーを差し出す。
アルバート「……」
素直にそれを受け取ると、アルバートは一つ取っておもむろにかじった。
アルバート「…悪くありませんね」
表情を変えずに言ったアルバートに、私はにっこりと笑顔を向ける。
「よかった…ありがとうございます」
お礼を言うと、アルバートは包みを私に返した。
アルバート「用が済んだのでしたら、俺はこれで失礼します」
そっけなくそう言って、アルバートは再び考えに耽りはじめる。
「え…」
(どうしよう…まだ、お礼も伝えられてないのに…)
困った私は、咄嗟の思いつきに声を上げた。
「あのっ」
アルバート「まだ何か?」
「えっと…もし考え事をするのでしたら、良い場所が…」
アルバートを書斎へと案内した私は、ほっと息をついた。
(良かった。気に入ってもらえたみたい)
興味深げに古書を手に取るアルバートを見て、私は読みかけの古書を手に取る。
(そういえば、考え事って何だろう…)
アルバート「さっきから、何を見ているのですか」
アルバートに言われ、私は慌てて視線を本に落とした。
「いえ…何を考えているのかと思って」
しどろもどろに言うと、アルバートは呆れたようにため息をついた。
アルバート「そんなの決まっているでしょう」
アルバート「ゼノ様をどうお守りするかとか、シュタインのこれからについてとか…」
(決まってるんだ…)
とうとうと語り始めたアルバートを、少し驚きの目で見つめていると、
アルバートは腕を組んで、私を見つめた。
アルバート「それで、あなたは一体何を考えているのですか?」
「え…?」
アルバート「試食をわざわざ作ったり、書斎へ案内したり…」
アルバート「仮にもプリンセスともあろう方が、そんな事に時間を割く理由が分からない」
言い終えると、アルバートは微かに首を傾げる。
(どうしよう…きちんと言わないと伝わらないよね…)
チョコレートクッキーの残りが入った包みを握ると、私は心を決めた。
「私は…」
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アルバートから告白→プレミアエンド
私から告白→スウィートエンド
ユーリvsアルバートルート アルバート編の第2話です
以下ネタバレ
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(さっきは、驚いたな…)
チョコレートクッキーを取りにキッチンに戻ると、
私は指輪を褒めてくれたアルバートの事を想い、頬を染める。
(でも本当は、優しい人だって知ってた…)
そっと瞳を閉じると、私は先日シュタインにお邪魔した日の事を思い出した。
―(どうしよう、迷ってしまったみたい…)
お城の庭を散歩していた私は、いつの間にか深い森に迷い込んでしまっていた。
辺りを見回していると、不意にアルバートが姿を現す。
アルバート「…何をしているのですか」
(よかった…)
「あの、お城の庭を散策していたら、迷い込んでしまったみたいで…」
ほっとしてアルバートの方へ駆け寄ると、アルバートが微かに眉を潜める。
アルバート「こんな夜更けに一人で散歩とは…」
アルバート「ウィスタリアのプリンセスは、よほど危機感がないと見えますね」
(確かに…自覚だ足りなかったかもしれない)
アルバートの言葉に足を止めると、私はそっとまつげを伏せた。
アルバート「……」
アルバートは、そんな私にすっと手を差し出す。
「……?」
アルバート「何をしているのですか」
アルバート「夜通しそこにいたいのなら別ですが」
「あ、はい…」
戸惑いながらもついていくと、私はふとアルバートの足下に目をとめる。
(あれ…アルバートのズボン、ずいぶん泥がついてる…)
(もしかして、通りかかったんじゃなくて、探してくれたのかな…?)―
(あの日のお礼をしたいけれど…)
(ジルは、次期国王選出を意識してと言っていたし…)
チョコレートクッキーの包みを握りしめると、私はそっとため息をつく。
(…渡さない方がいいのかな)
(チョコのことは置いておいて、お礼はきちんと伝えよう)
部屋までの道を歩きながらそう思っていると、
(あれは…)
私は、庭に見覚えのある人影を見つけた。
「アルバート?」
庭に出て声をかけると、雨が上がりかけた空を見つけていたアルバートが振り返る。
アルバート「ああ、プリンセスですか」
「何をしていたのですか?」
アルバート「少し…考え事を」
静かに答えると、アルバートは私の手の中の包みに目を向ける。
アルバート「渡しそびれたのでしたら、頂きますよ」
「え…っ」
(チョコレートクッキー…アルバートに渡すって、どうして分かったんだろう)
返事に困り、微かに頬を染めていると、アルバートが静かに続ける。
アルバート「ゼノ様には、私からお渡ししておきましょう」
アルバート「どうしました?早くお渡しください」
首を傾げる私に、アルバートが言い募る。
(どこでそんな勘違いを…)
言葉を見失い、瞳を瞬かせていると、
アルバート「もしかして…ゼノ様の他に誰か心に決めた方がいらっしゃるとでも?」
アルバートは、なぜだか不快そうに眉をしかめた。
(この状況…一体どうしたら…)
思わず口を開いたまま言葉を探していると、
アルバートは私に尋ねるような視線を向ける。
(良くわからないけど…)
(ゼノ様以外の人にお渡しするのは、アルバートを不快にさせてしまう事なのかな?)
(それだったら…)
アルバートを見つめると、私は考えながら口を開いた。
「実は…」
「アルバートに試食をして頂こうと思って」
咄嗟に口をついて出た嘘に、私は思わずまつげを伏せる。
アルバート「試食…?」
「はい…ご迷惑でなければ、お願いできませんか?」
重ねて言うと、私はまつげを伏せたまま、チョコレートクッキーを差し出す。
アルバート「……」
素直にそれを受け取ると、アルバートは一つ取っておもむろにかじった。
アルバート「…悪くありませんね」
表情を変えずに言ったアルバートに、私はにっこりと笑顔を向ける。
「よかった…ありがとうございます」
お礼を言うと、アルバートは包みを私に返した。
アルバート「用が済んだのでしたら、俺はこれで失礼します」
そっけなくそう言って、アルバートは再び考えに耽りはじめる。
「え…」
(どうしよう…まだ、お礼も伝えられてないのに…)
困った私は、咄嗟の思いつきに声を上げた。
「あのっ」
アルバート「まだ何か?」
「えっと…もし考え事をするのでしたら、良い場所が…」
アルバートを書斎へと案内した私は、ほっと息をついた。
(良かった。気に入ってもらえたみたい)
興味深げに古書を手に取るアルバートを見て、私は読みかけの古書を手に取る。
(そういえば、考え事って何だろう…)
アルバート「さっきから、何を見ているのですか」
アルバートに言われ、私は慌てて視線を本に落とした。
「いえ…何を考えているのかと思って」
しどろもどろに言うと、アルバートは呆れたようにため息をついた。
アルバート「そんなの決まっているでしょう」
アルバート「ゼノ様をどうお守りするかとか、シュタインのこれからについてとか…」
(決まってるんだ…)
とうとうと語り始めたアルバートを、少し驚きの目で見つめていると、
アルバートは腕を組んで、私を見つめた。
アルバート「それで、あなたは一体何を考えているのですか?」
「え…?」
アルバート「試食をわざわざ作ったり、書斎へ案内したり…」
アルバート「仮にもプリンセスともあろう方が、そんな事に時間を割く理由が分からない」
言い終えると、アルバートは微かに首を傾げる。
(どうしよう…きちんと言わないと伝わらないよね…)
チョコレートクッキーの残りが入った包みを握ると、私は心を決めた。
「私は…」
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アルバートから告白→プレミアエンド
私から告白→スウィートエンド