イケメン王宮のバレンタインイベント、「Sweet&Bitter」
ルイvsシドルート シド編の第2話です
以下ネタバレ
------------------------------
ユーリ「これ、カレン様のでしょ?」
ユーリの手には、私のブレスレットが握られていた。
「あ、そういえば…」
(昼間、ダンスのレッスンのときに外して、そのまま忘れてきちゃったんだ…)
「ありがとう、ユーリが見つけてくれたの?」
ユーリは首を横に振ると、困ったように眉根を寄せた。
ユーリ「ハワード卿とシドが、どっちが届けるか二人で喧嘩してて…」
ユーリ「収拾がつかないから、俺が預かってきたんだよね」
「ブレスレットで喧嘩?どうして?」
私がそう尋ねると、ユーリはため息をついて苦笑いした。
ユーリ「ほんと、カレン様ってある意味罪な人だよね…」
ぽつりとつぶやくユーリから、ブレスレットを受け取って、
私は部屋を後にしようとした。
ユーリ「あれ、カレン様。どこか行くの?」
「うん。明日不安だから、もうちょっと練習してこようと思って」
(明日の公務は、大公のお屋敷でパーティーなんだよね…)
私は一人、部屋へ急いだ…―。
(やっぱりこのステップが上手くできない…)
城中が寝静まった夜中、昼間のレッスンを思い出しながら、一人ステップを踏んでいると、
不意に、背後から聞き覚えのある声がした。
???「…おい」
シド「もっと下手くそかと思ったらまだ見れるじゃねえか」
「シド?」
ステップを止めて、私はシドの方へ向き直る。
(それって、褒めてるの…?)
シド「けどこんな夜中までやることか?」
「明日、大公のパーティーがあるから、練習してるの」
シド「へえ…」
大公、と聞いてシドは若干目を丸くした。
シド「そういや俺も呼ばれてたな」
「大公に?」
シド「大公は俺の顧客の一人だ」
「シドもパーティーに出るの?」
シド「さあな。気が向かなきゃ行かねえ」
「そっか…シドはそういうの興味なさそうだもんね」
(シドが正装してるところ、ちょっと想像がつかないから見てみたかったな…)
私が少し、残念な気持ちでいたら、シドはからかうように私の顔を覗き込んだ。
シド「なんだ」
シド「お前、俺に来てほしいのか?」
「そ、そんなこと…」
(なくもないけど…)
口ごもっていると、パーティーにはあの人も来る予定だったと、
私は不意に思いだした。
(そういえば…)
「そういえば、大公のパーティーに、ルイも来るって言ってた…」
ルイ、という名前を聞くと、シドは目を見開いて口角を上げてみせた。
シド「へえ、そいつは面白えな」
(もしかして……言わなきゃ良かったかな…?)
(ルイとシド、ほんと犬猿の中なんだよね…)
私が少し後悔していると、シドは面白そうにニヤリと笑った。
シド「ひとつ、良い情報教えてやる」
シド「最近、とある良家の子女がルイに迫ったらしいが」
シド「気になっている奴がいると、振られたんだと」
シド「美人で有名な令嬢なのに、もったいねえ」
どこが良い情報なのか、シドの意図がいまいち分からずに私は首を傾げた。
「それがどうしたの?」
シド「お前だろ」
シドは、馬鹿にしたように私のことを顎でしゃくってみせた。
シド「ルイの奴、お前のこと満更でもねえみたいだからな」
「…まさか」
思いもしなかったことを言われて、私が驚いているとシドは私に詰めよってきた。
シド「まあどう思うかは勝手だが…」
シド「情報をくれてやったんだから報酬をよこせ」
「ほ、報酬……?」
(頼んでもいないのに…!)
シド「俺は情報屋だからな。聞き逃げは許さねえ」
シドは更に顔を近づけて迫ってきた。
シド「今から付き合え」
「ええっ?」
私はシドに無理やり手首を掴まれて、
そのまま、引きずられるように外へと連れ出されてしまった。
シドに連れてこられたのは、町中にある小さな酒場だった。
「…もう、シドったら強引すぎるよ」
酒屋の席に無理やり押し込まれて、私が少しごねると、シドは私のショートブーツを指差して笑った。
シド「ハイヒールからそれに履き替えて、お前も結構乗り気じゃねえか」
「だってハイヒールじゃ石畳を歩けないから…」
シド「いつまでもふくれてんじゃねえよ、酒は楽しく飲むもんだろ」
そう言ってシドは私の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「ちょっと…シドっ」
シドの大きな手で触られて、思わず鼓動が速くなってしまう。
店主「仲がいいねえ」
そんな私たちの様子を見て、店主がにこやかに話しかけてきた。
どうやら、カップルと勘違いされてしまったらしい。
「ち、ちがいます」
私はムキになって否定したけれど、
シド「だろ?まあ、こいつが俺に惚れてんだけどな」
シドは面白がって、店主の話に乗っている。
「…シド!」
私がたしなめると、シドは悪戯っぽく笑って私の耳元に顔を寄せた。
シド「あんまり騒ぐと周囲にプリンセスだってバレるぞ」
(うっ…)
シド「店も薄暗えし普通にしとけばわかんねえんだから」
シド「大人しく、恋人らしくしとくんだな」
シドに言われて、恋人同士の振りをしている私に、
店主が微笑みながら、何か小さな包みを差し出してきた。
店主「サービスだよ、どうぞ」
「これは?」
店主「ボンボン。中にウィスキーが入ってるチョコレートだよ」
(でも、明日も公務だから…私は…)
私は、包みを受け取って、こっそり脇によけておいた。
店主「バレンタイン。お二人には、楽しみなイベントでしょう?」
店主はすっかり、私たちを恋人同士だと勘違いしているようだった。
(バレンタイン……)
―ジル「チョコレートを渡すのは、心を決めた方だけにしてください」
その時、ふとジルに言われた言葉が蘇った。
(私の本命って…)
無意識に、傍らで杯を呷っているシドを見る。
シド「なんだ」
私の視線に気づいたシドが、怪訝そうに顔を寄せてきた。
「シドは…好きな人とかっていないの?」
シド「あ?いきなり何言ってんだ」
「その…バレンタインにチョコレートをもらいたい相手とかいるのかなって…」
(どうしよう…話の流れで思い切って聞いてしまったけど…)
(そもそもシドが答えてくれるわけないよね)
シド「つまんねえこと聞いてんじゃねえ」
シドは脇においてあったボンボンを手にとって、包みを開けると、
私の口にずいっと突っ込んできた。
「ちょっと…!」
無理やりお酒を飲み込んでしまって、喉がかあっと熱くなる。
シドは慌てる私を見て、ただ笑うばかりだった。
(結局、教えてもらえなかった…)
私は熱くなっていく頬を水で冷やしながら、
しばらくシドの横顔を眺めていた…―。
大公パーティーの当日。
私は大公の屋敷のホールで
さまざまな貴族たちを相手に、ダンスを踊っていた。
(シド、いるかな…?)
さりげなくシドの姿を探してしまうが、見つからない。
(…気が向かないと行かないって言ってたし、やっぱり来てないのかも)
少し、椅子に座って休憩しようとしたところ…
???「カレン…?」
不意に背後から、誰かに声をかけられた…―。
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ここで分岐
シドから告白→プレミアエンド
私から告白→スウィートエンド です
ルイvsシドルート シド編の第2話です
以下ネタバレ
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ユーリ「これ、カレン様のでしょ?」
ユーリの手には、私のブレスレットが握られていた。
「あ、そういえば…」
(昼間、ダンスのレッスンのときに外して、そのまま忘れてきちゃったんだ…)
「ありがとう、ユーリが見つけてくれたの?」
ユーリは首を横に振ると、困ったように眉根を寄せた。
ユーリ「ハワード卿とシドが、どっちが届けるか二人で喧嘩してて…」
ユーリ「収拾がつかないから、俺が預かってきたんだよね」
「ブレスレットで喧嘩?どうして?」
私がそう尋ねると、ユーリはため息をついて苦笑いした。
ユーリ「ほんと、カレン様ってある意味罪な人だよね…」
ぽつりとつぶやくユーリから、ブレスレットを受け取って、
私は部屋を後にしようとした。
ユーリ「あれ、カレン様。どこか行くの?」
「うん。明日不安だから、もうちょっと練習してこようと思って」
(明日の公務は、大公のお屋敷でパーティーなんだよね…)
私は一人、部屋へ急いだ…―。
(やっぱりこのステップが上手くできない…)
城中が寝静まった夜中、昼間のレッスンを思い出しながら、一人ステップを踏んでいると、
不意に、背後から聞き覚えのある声がした。
???「…おい」
シド「もっと下手くそかと思ったらまだ見れるじゃねえか」
「シド?」
ステップを止めて、私はシドの方へ向き直る。
(それって、褒めてるの…?)
シド「けどこんな夜中までやることか?」
「明日、大公のパーティーがあるから、練習してるの」
シド「へえ…」
大公、と聞いてシドは若干目を丸くした。
シド「そういや俺も呼ばれてたな」
「大公に?」
シド「大公は俺の顧客の一人だ」
「シドもパーティーに出るの?」
シド「さあな。気が向かなきゃ行かねえ」
「そっか…シドはそういうの興味なさそうだもんね」
(シドが正装してるところ、ちょっと想像がつかないから見てみたかったな…)
私が少し、残念な気持ちでいたら、シドはからかうように私の顔を覗き込んだ。
シド「なんだ」
シド「お前、俺に来てほしいのか?」
「そ、そんなこと…」
(なくもないけど…)
口ごもっていると、パーティーにはあの人も来る予定だったと、
私は不意に思いだした。
(そういえば…)
「そういえば、大公のパーティーに、ルイも来るって言ってた…」
ルイ、という名前を聞くと、シドは目を見開いて口角を上げてみせた。
シド「へえ、そいつは面白えな」
(もしかして……言わなきゃ良かったかな…?)
(ルイとシド、ほんと犬猿の中なんだよね…)
私が少し後悔していると、シドは面白そうにニヤリと笑った。
シド「ひとつ、良い情報教えてやる」
シド「最近、とある良家の子女がルイに迫ったらしいが」
シド「気になっている奴がいると、振られたんだと」
シド「美人で有名な令嬢なのに、もったいねえ」
どこが良い情報なのか、シドの意図がいまいち分からずに私は首を傾げた。
「それがどうしたの?」
シド「お前だろ」
シドは、馬鹿にしたように私のことを顎でしゃくってみせた。
シド「ルイの奴、お前のこと満更でもねえみたいだからな」
「…まさか」
思いもしなかったことを言われて、私が驚いているとシドは私に詰めよってきた。
シド「まあどう思うかは勝手だが…」
シド「情報をくれてやったんだから報酬をよこせ」
「ほ、報酬……?」
(頼んでもいないのに…!)
シド「俺は情報屋だからな。聞き逃げは許さねえ」
シドは更に顔を近づけて迫ってきた。
シド「今から付き合え」
「ええっ?」
私はシドに無理やり手首を掴まれて、
そのまま、引きずられるように外へと連れ出されてしまった。
シドに連れてこられたのは、町中にある小さな酒場だった。
「…もう、シドったら強引すぎるよ」
酒屋の席に無理やり押し込まれて、私が少しごねると、シドは私のショートブーツを指差して笑った。
シド「ハイヒールからそれに履き替えて、お前も結構乗り気じゃねえか」
「だってハイヒールじゃ石畳を歩けないから…」
シド「いつまでもふくれてんじゃねえよ、酒は楽しく飲むもんだろ」
そう言ってシドは私の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「ちょっと…シドっ」
シドの大きな手で触られて、思わず鼓動が速くなってしまう。
店主「仲がいいねえ」
そんな私たちの様子を見て、店主がにこやかに話しかけてきた。
どうやら、カップルと勘違いされてしまったらしい。
「ち、ちがいます」
私はムキになって否定したけれど、
シド「だろ?まあ、こいつが俺に惚れてんだけどな」
シドは面白がって、店主の話に乗っている。
「…シド!」
私がたしなめると、シドは悪戯っぽく笑って私の耳元に顔を寄せた。
シド「あんまり騒ぐと周囲にプリンセスだってバレるぞ」
(うっ…)
シド「店も薄暗えし普通にしとけばわかんねえんだから」
シド「大人しく、恋人らしくしとくんだな」
シドに言われて、恋人同士の振りをしている私に、
店主が微笑みながら、何か小さな包みを差し出してきた。
店主「サービスだよ、どうぞ」
「これは?」
店主「ボンボン。中にウィスキーが入ってるチョコレートだよ」
(でも、明日も公務だから…私は…)
私は、包みを受け取って、こっそり脇によけておいた。
店主「バレンタイン。お二人には、楽しみなイベントでしょう?」
店主はすっかり、私たちを恋人同士だと勘違いしているようだった。
(バレンタイン……)
―ジル「チョコレートを渡すのは、心を決めた方だけにしてください」
その時、ふとジルに言われた言葉が蘇った。
(私の本命って…)
無意識に、傍らで杯を呷っているシドを見る。
シド「なんだ」
私の視線に気づいたシドが、怪訝そうに顔を寄せてきた。
「シドは…好きな人とかっていないの?」
シド「あ?いきなり何言ってんだ」
「その…バレンタインにチョコレートをもらいたい相手とかいるのかなって…」
(どうしよう…話の流れで思い切って聞いてしまったけど…)
(そもそもシドが答えてくれるわけないよね)
シド「つまんねえこと聞いてんじゃねえ」
シドは脇においてあったボンボンを手にとって、包みを開けると、
私の口にずいっと突っ込んできた。
「ちょっと…!」
無理やりお酒を飲み込んでしまって、喉がかあっと熱くなる。
シドは慌てる私を見て、ただ笑うばかりだった。
(結局、教えてもらえなかった…)
私は熱くなっていく頬を水で冷やしながら、
しばらくシドの横顔を眺めていた…―。
大公パーティーの当日。
私は大公の屋敷のホールで
さまざまな貴族たちを相手に、ダンスを踊っていた。
(シド、いるかな…?)
さりげなくシドの姿を探してしまうが、見つからない。
(…気が向かないと行かないって言ってたし、やっぱり来てないのかも)
少し、椅子に座って休憩しようとしたところ…
???「カレン…?」
不意に背後から、誰かに声をかけられた…―。
-------------------------
ここで分岐
シドから告白→プレミアエンド
私から告白→スウィートエンド です