アカバネーゼのささやき

夫の裏切り!妻の仕返し!夫婦とは?自立に目覚めた私が起業するまで!

40歳の新人デビュー

2006年05月01日 | Weblog
私が以前、夢見たように、伊勢丹の写真は会社の社名と共に私の社員証に貼られ、40歳の私は、一見すごいベテラン営業マンのように微笑んでいた

心の中は、もう汗びっしょりだったが…


いよいよ研修は終わり、初勤務の派遣先が決まった

文京区のとある住宅地の物件だ


もともと東京生活は長かったが、銀座や新宿には遊びに行っても、住宅地についての知識はほとんどなかった

まず「東京」という街の人々の意識や価値観、地ぐらい、教育施設や周辺環境…とにかく、何もかも新鮮で覚えることばかり 

胸には新人バッチをつけて、まずはご挨拶から・・

笑顔と会釈は裸で練習済みなので、かなり得意!


販売の営業マンとベテランのアドバイザーさんたちに囲まれて、新人の私は必死で自己紹介をした


ここの所長はN氏

まだ20代の若い青年だ

所長の簡単な挨拶が終わると、早速、この物件のオープンに向けての準備と実地研修が始まった


いつも見ていた美しいモデルルームだけど、最初はこんな状態なのか?

そっか~、お掃除はみんなでやっていたんだ!

ディスプレイは、インテリアコーディネーターの方が、随時打ち合わせながら、設置していく


いよいよ、ここの物件の特徴や環境、建築、工法、設備、仕様などがぎっしり詰まった説明マニュアルと資料を持って勉強会が始まった


知らない言葉が飛び交い、私は漢字もわからずに大急ぎでひらがなで書き留める

ベテランのアドバイザーさんたちは、どんどん詳しい質問を繰り返し、難しそうな工法や仕様についても、ほとんど理解しているらしい 


・・私もいつか、こんな風になれるのかなぁ…


緊張の連続の中、所長の青年がみんなを笑わせる

みんなには一瞬の憩いの時間だが、私はほとんど余裕がない


休憩時間に、所長のNさんが

「赤羽さん、どうですか?説明のわかりづらい箇所があったら、何でも聞いてくださいね。最初はわからない事が一杯だと思うけど、何回もマンション売ってたら、基本はどこも同じだから。全く不動産業界は、初めてなんですか?」

「はい、初めてです。さっきの設備の話、さっぱりわからなくて…」

「じゃあ、また詳しい資料を渡しますから、もっと肩の力を抜いて大丈夫ですよ」


ふう、、なんだか少し安心した気持ちになった


最初の1週間はほとんど裏方で雑用ばかりしていたが、オープンと同時に、すごい数のお客様で一杯になり、予約以外の方がたくさんあふれていた

上司の女性が

「では赤羽さん、住宅模型と周辺環境を皆さんに説明してきてくれる?」

といきなり支持された

「え?あ、はい。承知しました」

「え~っと、当物件は地上5階地下1階の鉄筋コンクリート造りでございます。施工会社は・・・・

横からすかさず、他のアドバイザーさんが

「○○ビルなんかも手がけております●●建設でございます。」

と助けてくれ、私は汗がびっしょり、、、

「この△△マンション周辺は、△公園など都内でもとても緑の多い環境で、古くからの△などの教育施設の多いエリアでございます。」

誰も、質問しませんように・・・


 願いもむなしく、

「この辺りは地盤は大丈夫なの?」

「ここの部分のセキュリティはどうなっているんですか?」

「子供が歩いても夜は街灯なんかはあるの?」


研修バッチをつけているのに、みんなイケズ~


「えっと、この周辺の地盤は関東ローム層???・・・


すかさず、営業マンがまたヘルプに来てくれた

残りの質問もあっという間に答えてくれて、私は、もうこの場から逃げたい気分だった

スタッフルームに戻った時、私はかつてないほどの緊張で、ひざがガクガクだった

しかし、落ち込んでいる暇はない

また、次のお客さんに同じ説明、説明、説明、…を繰り返しているうちに、模型と構造だけはちゃんと話せるようになった!

「ずっと、これだけやっててもいいですか~?」

答えは、

「明日から、モデルルームの接客もやってもらうからね~」


もうダメだ~助けてくれ~私には無理だよう・・


その夜、ご飯ものどに通らず、夢の中でもまた、構造の説明を繰り返している私だった


・・つづく