ダイヤフラムの株式会社 永島パッキング製作所

ダイヤフラムについて、設計、制作の様々な情報を発信しております。

ダイヤフラム設計時の注意点 おわり

2011-09-24 10:13:03 | 日記
ダイヤフラム設計時の注意点を何回か投稿してきましたが
前回の布の選定をもちまして一応作り手から見た注意点の
投稿は終了いたします。
 データなど一部古い資料を参考にしてありますので、ご了承願います。
質問など御座いましたなら、連絡いただければ、出来るだけ対応いたします。

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ダイヤフラム設計時の注意点 布の選定 

2011-09-22 08:22:14 | 日記
 布の選定の基準となるのは耐圧強度と思います。糸の持
つ強度の表現にg/デニールというのがある。デニールとい
うのは9000mの長さの糸の重量で、他の単位への換算は
1kgf/mm2=0.11/繊維の比重(g/デニール)。

 または1g/デニール=9.00x繊維の比重(kgf/mm2)
 耐圧強度の推定として、布の強度特性としてB(kgf/cm)
という記号を用い、破裂圧力をP(kgf/mm2)、受圧面の
直径をd(cm)とすると

    PXd=B

 が成り立つ。

 Bの布の強度特性の計算方法があるが複雑なので便宜
的に3cm幅の引張強度で推定することが出来る。

 B=(3cm間の糸の打ち込み本数)x
         (デニール数)x7.2x102

 B=120(kgf/cm)の布は直径5cmの受圧面の場合その
破裂圧力はおよそ24(kgf/cm2)と推定され、直径2.5cm
の時には同じく48(kgf/cm2)と推定される。

 実際の耐圧を必要とする部分はセンタープレートと
フランジの間の可動部分となるので、半径を考えて
プレートとフランジの間をℓ(cm)、布の引っ張り強度T
(kgf/cm2とすると破裂圧力Pは

 P=2T/ℓ

 と考えられる。

 これはベロフラムの溝部の強度計算と同じである。
 
 布のブライアップは実験的には加成性はない。つまり
破裂圧力を倍にしようと同じ布を2プライにしても2倍と
はならない。

 この理由は明らかではないが理論値と実験値の間には
ダイヤフラムの変形による受圧面積の変化が補正されな
いからではないかと思います。

 布の選定にはこの他に熱の影響を考慮しなくてはなら
ない。

 また、接着剤などの繊維束への侵入による糸の硬化は
布の屈曲性能を著しく低下させる。

 布とゴムとの接着は布の表面層のみ強固に接着している
ことが好ましい。

ダイヤフラムのシール性

2011-09-20 12:29:29 | 日記
 ポンプ室のシールにダイヤフラムのフランジ部を場合、
作動圧力で内部に引き込まれないようフランジ面の
面積を大きくする。
 ガスケットシールという考え方からは、ガスケット係数
(ガスケットの接面圧力Pa/流体圧力Pの比)は1.2~1.5
とされている。

 また、ガスケットの最小有効締め付け圧力は0.3kgf/
mm2程度とされている。

 ダイヤフラムの外周に設けた0リングあるいはDリング
のつぶし代を0リングの線形φ3程度のものでは、0.4mm
~0.7mm、φ6程度の場合0.5~0.9mmで十分と思われる。

 これらについてはJIS B 2406 0リングの取り付け溝部の
寸法、形状を参考にしてください。

 ゴムは非圧縮性であるから加圧面に対し圧力の低い
自由表面への変化が生じる。

 例えば0リングの場合、断面の正円の直径をDmm,つぶ
し代をhmmとすると上下の接面幅bmmは

     b=h(2D-h)/D-h
となり、
 自由表面の伸張率

     L=(π(D-h)/πD-2b)-1x100

 断面が半円でその半径がrの場合、つぶし代h=0.215r
となる。
 この場合の自由表面の伸張率

    L=(4r-2b/πr)-1x100
 となる。

 フランジ面のシールはゴム面に対し0.3mm程度の突起
があるとシールに有効であるとされている。
 
 平面の場合接面圧力が高すぎてダイヤフラムの可動部
へゴムの変形が起こる

 とダイヤフラムの寿命を短くする。
 また、流体に侵され易くなる。
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ダイヤフラムの屈曲性

2011-09-16 14:57:33 | 日記
 ダイヤフラムの断面を図2.のように等分布加重w1を受ける片持ちはりと考える。

 断面の中央が中立面となり、この位置に布があることが
理想的である。
 布の弾性率に比較してゴムの弾性率はおよそ1/1000
程度(ナイロン:3.8x10²、ポリエステル:15x10²kgf/mm²)
であるから曲げモーメントに対する抵抗力は無視できます。
 しかし、布を中立面として上下のゴム層の厚みが異なると
収縮量の差か生じ、厚みの厚いほうが収縮量が多くなり厚
みの厚いほうに中立面が曲げられます。
 片持ちはりの最大曲げモーメントは固定端に生じ
    Mmax=-wl²/2
 で表される。
 このはりに曲げモーメントが作用すると内部に正負の互い
に逆向きのモーメントが発生して釣り合いを保つというのが
材料力学にあります。
これらの計算式を拝借すると
 曲げモーメント=曲げ応力σx断面係数Z   
 Z=bh²/6(mm³)
断面2次モーメントΙ、材料(ゴム)の縦弾性率をEとすると
最大たわみは先端となり最大たわみδmax=wI³/8EI(mm)

 さて、たわみ量が構成材料の縦弾性率に反比例すること
からゴムのモジュラスの小さなほうが加重に対して屈曲し
やすい。

 今中立面とA面に布が2層あるとするとその中間にある
ゴムの縦弾性率は布に比例して小さいのでEの値は布の
弾性率となり同一荷重によるたわみ量は小さくなる。
A面にPTFE(50~60kgf/mm²)を中立面に布をおく断面
構造では弾性率の大きい布の位置が中立面となりPTFEの
伸縮応力に屈曲性が依存するようになります。

 成型されたダイヤフラムはその形により変化しにくい
ところがあります。
図3.に示す部分であります。



 このような部分を変形させようとする応力(曲げ、伸張、
引き裂き)は極めて大きくなります。

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ダイヤフラムの構造

2011-09-15 09:11:41 | 日記
 基本的には、図1.のような構造を取ります。

              図1.
 ダイヤフラムは有効径で示される有効面積を確保
しなければならない。
 この有効面積の往復運動距離が吸引あるいは圧送
する体積となります。

 有効径は図上ではポンプ側にセンタープレートがあ
がるに従い外側に広がり有効径は大きくなる傾向があ
り、大気側に下がると小さくなる傾向があります。

 しかし実際にはそれほど厳密には考えません。セン
タープレートはピストンとしての重要な部分であり、
布とゴムに確実に接着されていることが必要である。

 ここで一つの問題があります。すなわちセンタープ
レートと布及びゴムが強固に接着されているとしても
往復運動のいずれかの方向に対しては剥離する力が作
用する。

 プレートの形状にもよりますが、プレート外周部分
の接着界面のストレスはかなり大きくなります。これは、
加硫接着する物全てに言えることで金属とゴムの熱膨張
の差によるものである。

 ゴムの方が金属より大きく、従って加硫接着後冷却さ
れると接着面でゴムが収縮する方向にひずみがかかる。

 一方、流体の温度が高くなると接着周辺のゴムの強度
も低下する。また、ゴムの配合によっては屈曲、圧縮お
よび伸張により内部発熱をする事もある。

 これらの事を考えるとプレートは布の両側にありピス
トンロットに固定されている事が必要と思われる。

 しかし、近年接液部にテフロンを使用し耐液性能の向
上を狙ったダイヤフラムが多くなり全てにあてはまるわ
けではありません。