残念なことに、ソフトウェアベンダーが倒産してしまう場合があります。
情報システムの継続性は業務の継続性につながりますので、顧客にとって深刻な問題になる場合があります。
パッケージソフトウェアのメーカーであれば、それなりの顧客数を抱えている場合、
事業の継承先等が見つかる可能性について、また民事再生法による事業再生の可能性について、
ある程度は期待が持てるものと、私は考えています。
また投資金額は必要ですが、思い切って他のパッケージソフトに変更することも比較的検討し易いと、私は考えています。
パッケージソフトのメーカーそのものではなく、導入支援ベンダーの倒産等の際、
同様に導入したパッケージソフトウェアの導入顧客数がそれなりの規模である場合には、
代替となる支援ベンダーの選定の可能性について、ある程度の期待が持てると私は考えています。
よって、特に情報システムの問題解決が独力では難しい(中小企業等の)組織においては、
導入顧客数が一定以上のパッケージソフトウェアをご利用されることを、私はお勧めしています。
しかし、戦略的に業務の独自性や高効率性などを推し進めるために、
スクラッチで情報システムを開発したり、またパッケージソフトウェアにアドオンやカスタマイズをする場合も多くあります。
それは、戦略の視点から、とても重要且つ必要なためのソフトウェア開発方式の選択になります。
地方の中小企業等においては、中堅・大規模のソフトウェアベンダーにスクラッチ開発等を業務委託するのは、
費用面で難しい場合が多いと、私は今までの経験から感じています。
よって、地方の中小規模ソフトウェアベンダーを利用する場合が多くなります。
そのため、ソフトウェアベンダーの倒産等のリスクを同時に抱えてしまうことになります。
そのようなリスクを軽減するため、いくつかの事前対応が必要と私は考えています。
まずは、短期に回収可能な投資計画を立てることです。
戦略的な業務等へのシステム投資判断をする場合、1、2年、長くても3年以内で回収可能な計画を、
それは段階的な投資方法を含めて検討することをお勧めします。
逆に言いますと、投資の回収という考え方が難しいシステム、例えば基幹系システムやコミュニケーション系システムなどは、
前述のとおり、パッケージソフトやSaaS等を利用することを考えます。
次に、ソフトウェアの著作権について、自社(第三者への業務委託を含む)で複製・翻案・改変等ができる状態にしておくことです。
私は、破産時の配当の支払い、また事業継承の条件などにおいて、顧客が利用しているソフトウェアの著作権等が譲渡される可能性があるのではないか、
その場合、その後のソフトウェアのメンテナンス(複製、翻案、改変など)に権利関係上の問題が発生しないか、高額な費用を請求されないか、
などの状況が発生することを心配します。
(※この「心配」する事項については、法律家から情報を得ているものではなく、私個人としての考えです。)
そのため、ソフトウェアの著作権については、以下のような優先順位で検討されることをお勧めしています。
・優先1:ユーザ企業側で著作権を保有(ソフトウェアの著作権の譲渡)
※著作権法第27条28条および著作者人格権についても考慮が必要
・優先2:著作物の複製物を納品(ソフトウェアの著作物の複製物の譲渡)
+ 複製・翻案等の一定範囲の利用の許諾(第三者への委託による改変の許諾など)
・優先3:著作物の複製物を納品(ソフトウェアの著作物の複製物の譲渡)
・優先4:極力有利な条件での使用の許諾
これは、過度なベンダーロックインを避けるための対策にもなります。
以上は、スクラッチ開発のみではなく、パッケージソフトウェアへのアドオン・カスタマイズ部についても同様です。
そして、開発費等の前払いは避けることです。
倒産等が迫っている会社は、資金繰りに窮していますので、安価な契約金額且つ(一部を含めた)前払い条件での契約を求めてくる場合が多いと想定されます。
よって原則、前払い、特に過度な前払いは避けるべきであると、私は考えています。
ちなみに、万が一、ソフトウェア開発期間中に請負側が倒産した場合、その前払い部分がどのように扱われるか?ですが、
例えば破産の場合、「破産債権」ではなく、「財団債権」として取り扱われて弁済される可能性があるようです。
私は破産債権となって実際にはほとんど戻ってこないと思っていたのですが、
インターネット上の情報に、請負契約における双方未履行の双務契約においては、破産者が請負側である場合、その請負契約を破産者しか完成させることができない場合且つ破産者がその請負契約を履行できる状態にはない場合、「支払い済-出来高分」が財団債権として取り扱われるとの判例がある等との記事がありました。
(※「双方未履行の双務契約」と「請負契約」などのキーワードでネット検索してみて下さい。)
ただし、具体的なことは弁護士の先生にご相談して対応されますことをお勧めします。
<関連記事>
ソフトウェアの著作権について考える(その1)
ソフトウェアの著作権について考える(その2)
ソフトウェアの著作権について考える(その3)
ソフトウェアの著作権について考える(その4)
超上流工程からシステム運用テストまでにおける考慮事項
情報システムの継続性は業務の継続性につながりますので、顧客にとって深刻な問題になる場合があります。
パッケージソフトウェアのメーカーであれば、それなりの顧客数を抱えている場合、
事業の継承先等が見つかる可能性について、また民事再生法による事業再生の可能性について、
ある程度は期待が持てるものと、私は考えています。
また投資金額は必要ですが、思い切って他のパッケージソフトに変更することも比較的検討し易いと、私は考えています。
パッケージソフトのメーカーそのものではなく、導入支援ベンダーの倒産等の際、
同様に導入したパッケージソフトウェアの導入顧客数がそれなりの規模である場合には、
代替となる支援ベンダーの選定の可能性について、ある程度の期待が持てると私は考えています。
よって、特に情報システムの問題解決が独力では難しい(中小企業等の)組織においては、
導入顧客数が一定以上のパッケージソフトウェアをご利用されることを、私はお勧めしています。
しかし、戦略的に業務の独自性や高効率性などを推し進めるために、
スクラッチで情報システムを開発したり、またパッケージソフトウェアにアドオンやカスタマイズをする場合も多くあります。
それは、戦略の視点から、とても重要且つ必要なためのソフトウェア開発方式の選択になります。
地方の中小企業等においては、中堅・大規模のソフトウェアベンダーにスクラッチ開発等を業務委託するのは、
費用面で難しい場合が多いと、私は今までの経験から感じています。
よって、地方の中小規模ソフトウェアベンダーを利用する場合が多くなります。
そのため、ソフトウェアベンダーの倒産等のリスクを同時に抱えてしまうことになります。
そのようなリスクを軽減するため、いくつかの事前対応が必要と私は考えています。
まずは、短期に回収可能な投資計画を立てることです。
戦略的な業務等へのシステム投資判断をする場合、1、2年、長くても3年以内で回収可能な計画を、
それは段階的な投資方法を含めて検討することをお勧めします。
逆に言いますと、投資の回収という考え方が難しいシステム、例えば基幹系システムやコミュニケーション系システムなどは、
前述のとおり、パッケージソフトやSaaS等を利用することを考えます。
次に、ソフトウェアの著作権について、自社(第三者への業務委託を含む)で複製・翻案・改変等ができる状態にしておくことです。
私は、破産時の配当の支払い、また事業継承の条件などにおいて、顧客が利用しているソフトウェアの著作権等が譲渡される可能性があるのではないか、
その場合、その後のソフトウェアのメンテナンス(複製、翻案、改変など)に権利関係上の問題が発生しないか、高額な費用を請求されないか、
などの状況が発生することを心配します。
(※この「心配」する事項については、法律家から情報を得ているものではなく、私個人としての考えです。)
そのため、ソフトウェアの著作権については、以下のような優先順位で検討されることをお勧めしています。
・優先1:ユーザ企業側で著作権を保有(ソフトウェアの著作権の譲渡)
※著作権法第27条28条および著作者人格権についても考慮が必要
・優先2:著作物の複製物を納品(ソフトウェアの著作物の複製物の譲渡)
+ 複製・翻案等の一定範囲の利用の許諾(第三者への委託による改変の許諾など)
・優先3:著作物の複製物を納品(ソフトウェアの著作物の複製物の譲渡)
・優先4:極力有利な条件での使用の許諾
これは、過度なベンダーロックインを避けるための対策にもなります。
以上は、スクラッチ開発のみではなく、パッケージソフトウェアへのアドオン・カスタマイズ部についても同様です。
そして、開発費等の前払いは避けることです。
倒産等が迫っている会社は、資金繰りに窮していますので、安価な契約金額且つ(一部を含めた)前払い条件での契約を求めてくる場合が多いと想定されます。
よって原則、前払い、特に過度な前払いは避けるべきであると、私は考えています。
ちなみに、万が一、ソフトウェア開発期間中に請負側が倒産した場合、その前払い部分がどのように扱われるか?ですが、
例えば破産の場合、「破産債権」ではなく、「財団債権」として取り扱われて弁済される可能性があるようです。
私は破産債権となって実際にはほとんど戻ってこないと思っていたのですが、
インターネット上の情報に、請負契約における双方未履行の双務契約においては、破産者が請負側である場合、その請負契約を破産者しか完成させることができない場合且つ破産者がその請負契約を履行できる状態にはない場合、「支払い済-出来高分」が財団債権として取り扱われるとの判例がある等との記事がありました。
(※「双方未履行の双務契約」と「請負契約」などのキーワードでネット検索してみて下さい。)
ただし、具体的なことは弁護士の先生にご相談して対応されますことをお勧めします。
<関連記事>
ソフトウェアの著作権について考える(その1)
ソフトウェアの著作権について考える(その2)
ソフトウェアの著作権について考える(その3)
ソフトウェアの著作権について考える(その4)
超上流工程からシステム運用テストまでにおける考慮事項