90年代に登場したカスタムワウペダルの走りのようなブランド「RMC」。現在でこそギタリストのペダル分野の中では登場頻度が多いワウペダル。しかし、ワウペダルが再び注目されたのは90年頃で80年代はデジタルエフェクターやラックタイプエフェクトの登場で忘れられた存在にまでなり足元から消える状況に。世に出た60年代後半はまだキワモノ扱いのペダルでヘンドリックス以降、黒人ギタリストが独特のグルーブを生み出す等になって歪みとワウペダルはセット販売のようなメジャーな位置まで上り詰めました。しかし、音楽スタイルの変化と同時にワウペダルが消えたのと同時に国内の販売も縮小になり国産メーカーの極わずかなアイテムしか無くなる状況にまでなってしまいます。80年代の空間系主体のサウンドにはこの異質でダーティーなトーンはマッチしません。そんな中、80年代後半に国内では海外ブランドのワウペダルの復刻がありブルース、70年代ロックサウンドのリイッシュブームとリンクして再注目されることに。60年代のオリジナルVOX・V847を体感する機会はなく復刻モノでもVOXのロゴが入っているだけで満足しましたが、やはりそれはオリジナルとは違いパーツの相違、基板レイアウト等がサウンドに微妙な違いを与えたのは今になって理解出来たような感じです。
60年代後半のワウペダルの状況は専門サイトを参照してもらうとして当時の様々な国でのOEM生産、パテント、ブランド等が交錯して、中身の仕様も様々。時が過ぎて90年代にこの「RCM」ブランドを立ち上げたジェフリーティーズ氏が当時のVOXワウペダルを研究したカスタムワウペダルをリリース、ハイエンドワウペダルの先駆けになりました。当時のRMCのワウはビンテージのVOXワウの外装を世襲し基板やポットを新しいパーツで仕上げ当時のVOXクライドマッコイピクチャーワウのサウンドに限りなく近いRMC1を98年にリリースします。この写真の赤いケースのワウは2003年にリリースしたそのオリジナルビンテージVOXワウの改良版「RMC5 WIZARD WAH」。
トーンバランスをミッドからローエンドにシフトしワウの可変音質を強めにしたトーンは往年のスタンダード、クライベイビーのニュアンスも感じられます。全ての可変位置が強烈な個性ですがどのポイントも太く泣き叫ぶ感じです。2003年に発売されたときから気になっていたモデルでしたが手にする機会を失い13年目にして手に入れたのがこのファーストイヤーのモデル。前オーナーがペイントでマスクされた基板の半分を剥がした跡がありますがリペアの形跡の無いオリジナル。ケーブルも単線を使用し音に拘っています。少し前にVOXのケースを使い新たに製作したカスタムV847に近いトーンスタイルですが可変のトーンがより激しく耳に刺さらないところが何ともカスタムな雰囲気です。音は思っていたよりも濃厚なワウトーンですがバランスがひじょうに素晴らしく可変幅も大きいのにすべて使えるところに合わせてあります。経年変化もありますが個人工房的なハンドメイドの雰囲気が外装塗装に味わうことが出来ますね。ラバーシートはクライベイビーのパーツを使用かも。現在のRMCワウのほとんどのモデルにファズとのマッチングをとるバッファーが内蔵されていますがこの初期型にはありません。純正かわかりませんがオフセットゴムが短いものが装着されているのでペダルの可変幅が広く設定されています。そのためトーンも幅広いですが踏み心地に若干の違和感があるのでこの部分は交換かもしれません。
このRMCワウも時期によってケースの形状変更があります。これに関してはHPにも書かれていましたが80年代にクライベイビーのパテントをジムダンロップが取得していてケースの供給をジムダンロップから受けていたようです。しかし、それがままならなくなり別のケース業者に変更したりとそのタイミングで外装仕様が変わっています。ユーザーはどうしてもオリジナルの形状のワウに親しみを得るのでそのあたりが微妙なところですが、そこから完全に決別したロジャーメイヤーのビジョンワウのようなものもありますからね。パテントを有する巨大なメーカーは話題になる個人工房などにパーツ供給を鈍らせたりするものです。これがそれにあたるかは不明ですがそれぞれの大人の事情というやつです。
最近はペダルボード用の小型のワウが巷を騒がせていますがこのRMCの最近のケース形状は先が斜めに飛び出た大型バージョン。音に自信があることの現れです。
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