20年以上フェンダーアンプを使ってきたが結局マーシャルだ。考えてみれば好きなギタリストはみんなマーシャルで、イメージするトーンはみんなマーシャルだったのである。この2061X(ヘッド) 2061CX(キャビネット)のハンドワイヤードシリーズは前から目をつけていたがやっぱり良かった。出力20Wだが家で十分なトーを取り出すのは不可能なくらい大きい。フェンダーコンボの40Wクラスと同じ音量がある。コントロールはヴォリュームとトーンだけ。それだけ既に完成されたセッティングになっている。60年代後半から73年まで実在したアンプだが折からの大型化の波に埋もれ消えていった名器の完全復刻。 イメージのマーシャルトーンといっても80年代からのマスターヴォリューム付JCMシリーズではなく60年代後半のブルースブレーカーやプレキシマーシャルだ。そのあたりの歪まないフェンダーライクなマーシャルの伝統を受け継いだのがこの2061Xになる。内部配線はプリント基板を使わず完全手作業によるものでトランスも特別に再設計されている。スピーカーキャビネットもこのヘッドアンプにマッチする特注のセレッショングリーンバック12インチ×2を搭載していてマーシャルならではの密閉キャビネットからのタイトなローエンドはギターのオイシイところを逃さない。トーンレンジも全て使える設定だ。単にオールド復刻じゃなくトーンを聞きながら設計し直しているのがよく理解できる。面白いのが3時方向以上のトーンがトレブルブースト的な働きをする。トーン全開でストラトのリアでも痛くない。トレブルが上がりながらクランチしていくのでアタックの反応は倍増し太い。ついついブラックモアしてしまうこれがマーシャルの持ち味かもしれない。ハムバッカーでも基本のトーンは同じというのも素晴らしい。
「チューブアンプはよくフルテンオーバードライブに尽きる」というがそれは間違いだ。歪きってしまうとそのアンプのポテンシャルは限界に達してしまう。6~7分あたりの艶のあるクランチがいかに出るかがポイント。この2061Xはそのクランチにうってつけのアンプかもしれない。ザックリしたトーンはこなれたブラックパネルツインの風合いもありドライブさせたデラックスに近い歪。かなりのフェンダーよりなサウンドだ。しかし、ローエンドがブーミーなフェンダー特有の後面開放では無くあくまでタイトだ。フェンダーサウンドに拘るなら同じハンドワイヤードシリーズの1974Xのほうがコンボアンプで使いやすい。コンプレッションもかかりやすく歪は立派なマーシャルサウンド。しかし、クリーン&クランチが濡れ過ぎている。そこの選択は非常に難しく迷うところかもしれない。2061Xは整流部にソリッドステートを使用しているためクリーンに粘りがあるといわれるが、歪に関しては一概に整流部がチューブかトランジスタかというだけではない。2061Xだとヴォリューム7の上質クランチ状態で軽くオーバードライブでサスティーンをかけるのがベストだろう。 スピーカーケーブルやチューブの交換なんかのチューンナップも楽しみの一つ。チューブの本数も12AX7が2本、EL84が2本とシンプルだ。そう簡単に楽しみが終わらないのがマーシャル。 ヘッド10kg、キャビネット24kgとレギュラースタックマーシャルより一回り小さく軽いのがうれしい。真に実用的で音がいいアンプ2061X・2061CXのお話でした。
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