音にうるさいギタリストが少し前から騒いでいたオーバードライブのベムラム・ジャンレイ。80年代後半から話題になるハイエンドドライブペダルのほとんどが海外の工房メーカーからだったので久しぶりの純日本製。しかし、オーバードライブペダルはメイドインジャパンから始まったわけでBoss・OD-1やTSがすべての事の始まりです。ケンタウルスやランドグラフもみんな日本製を研究して改良したもので完全なオリジナルではありません。そんな40年くらいの成熟期からまた日本の工房メーカーが別の視点から作り上げたのがこのJan ray。
既存のケースを使わずに重量のあるブラスで形成されたオリジナルデザインと仕上げは派手さを否定した繊細な日本的な雰囲気が漂います。ゲイン、ヴォリュームとトレブル、バスの4コントロールにサーチュレーション調整のトリマーが設けられていてマニアックな設定ができます。このペダルはシングルチャンネルのチューブアンプの飽和状態を再現したもので脂っこく歪むハイゲインなペダルを求めると思いっきり肩透かしを食らいます。チューブアンプを研究しつくしたトーンが簡単にトランジスタアンプから出すことが可能に。これは驚きと同時に新しいチューニングです。60年代のフェンダーブラックフェイスと全く同化するトーンでシングルコイル、ハムバッカーと分け隔てなく鳴らし切る強さと使えるトーンの幅の広さ。歪みの質感はBD-2やブースター系の部類ですがコンプレッションが豊富な割にアタックの反応が早くシングルノートのアタマが前に出ます。ギタリストが好きな反応がふんだんに詰まっている感じ。海外ハイエンドペダルは売りの個性の部分は強烈ですが使えない部分も多くそれがオリジナリティとして評価されますがこのJan Rayは個性は全くありません。しかし、ペダル本体がチューブアンプのヘッドになっているような感じと捉えるとスムースにコントロールが可能です。コードやシングルノートの表現、ギターのボリュームコントロールの反応等弾き手の要求にこたえるポテンシャルはかなり高いですね。
歪がチューブアンプと同じ方向でアンプ自体のトーンを湾曲させることが無いのでディストーションを持っているアンプにソロでオンするやり方やヘッドルームの大きめのツインリバーブ等をクランチさせたりと用途は様々です。プレキシの流れの歪がストラトにグラッシーな質感と食い付きを表現させますね。シンプルなサスティーンと王道のオーバードライブを求めるなら違和感が出る可能性も。ドライブペダルの使い方を再度見直すキッカケになるかもしれない奥深いペダルがこのジャン・レイですね。作り、トーンはキメ細かく、さすがジャパンメイドと唸らせる傑作ペダル。
正直、この歳で出会って良かったと思えるペダルかもしれません。
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