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Guitars On Broadway

洋楽とエレクトリックギターの旅路

Belden 8412 考察

2009-06-25 20:50:49 | CABLES

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ケーブルの話をすると必ず登場するのがベルデン8412。歴史も古く用途は多方面にわたっている。CDやカセットが出て来るずっと前からアメリカの映画・音楽産業で使用されていた業務用ケーブル。マイクロフォンケーブルなんかと呼ばれることもある。結局、記録媒体がデジタルデータになっても最後は空気を震わすアナログ信号になってしまうわけで、半世紀以上前にデザインされたケーブルが今だ使われていること自体恐ろしい。そう考えると新素材を使った1本数万円もするRCAケーブルも出てくる音は大差無いのである。オーディオマニアは許さないかも知れないがある一定レベルを超えたクォリティーの物は皆同じ音なのである。特殊素材を用いたり、一定の周波数をブースとしてあるハイエンドケーブル等は別ジャンルとして捉えたほうがいい。

楽器用、特にギターやベースに使用する場合そのブースト具合や音質がディストーションのキャラクターを変えるため種類も増え、プレーヤーの使い心地、メーカーのキャッチコピーと無数の情報が交錯するのである。一般的な廉価版ケーブルはノイズを遮断したレベルの低い設定のミッドハイを持ち上げた作りになっている。そこでちょっとだけハイ・ローをブーストしたいわゆるドンシャリタイプを使うと「ブライトでヌケル音」と錯覚してしまうのである。

ベルデン8412をギター側から考えると音の着色が無くフラットな特性だから廉価版ケーブルやミッドハイ中心のギター用ケーブルから乗り換えると、レベルとハイローが上がりドンシャリ風に聴こえてしまう。アコースティックやベース、キーボードなどのフラット系には特にベストマッチ。

これをオーディオ的に捉えると付属品や家電売り場のRCAケーブルは低いレベルでドンシャリ傾向に作られている。そこで8412に換えるとフラット特性になりトレブルは抑えられローはタイトになり結果的にミッドが浮き上がり解像度が上がってくる。ヴォリュームを上げてもギラつかず、どのレンジも前に出てくるのでスタジオモニター的なスピーカーには最高なのである。

そんな中、8412でRCAケーブルを作ってみた。長さは30cmで2ペア。今までもオーディオアクセサリーメーカーのそこそこなケーブルを使っていたがさすが8412。音楽的だ。最近リマスターした70年代ROCKの奥深さ。派手さは無いが密度の濃い重厚な音に変化する。これが基本なのかも知れないが、神経を集中してじっくり聴き込んでみたくなる音だ。それでも疲れさせないトーンが8412にある。これが耐久性と音楽性を兼ね備えた業務用ケーブルなのか。またケーブル地獄に突入だ。


シールドケーブル考察

2008-12-08 15:23:33 | CABLES

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最近、高額なハイエンドケーブルが巷に氾濫しています。ジャックを変えているだけでオリジナルブランド化させているのもかなり。これは実際に自作、使用してみてのレポートです。比較環境はジャックはほとんどスイッチクラフトに交換し、長さは3m。ストラトとPRSをチューブアンプ直結です。

20年以上使っているワールウィンド社の初期型のケーブル。ハイエンドケーブルが出始めたときにジェフベックがアルバム「ギターショップ」リリース時のツアーで使用してすぐに飛びついたモノ。オリジナルの樹脂カバーのジャックは破損しスイッチクラフトに交換。ベルデンが製造し供給しているようだ。自分のシールド選びの基準になっているヤツで完璧なフラット。いいだけエージングされているのにトレブルにもエッジが効いてパンチ有。音量は中の上ぐらい。いいコンプレッション有。1芯タイプ

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現在も入手可能なワールウィンドのアコースティック+1モデル。これも15年以上使用。トレブルが若干削られてミッドが出ている。ローもフラット。クランチのアタックも良好。音量は中の上。銀パネツインリバーブ直にいい感じ。コンプレッション感有。1芯タイプ

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ブームになったモンスターケーブルのベース用初期型。昔、ギター用を試したがトレブルがキンキンし過ぎた印象があってこれに。小型から中型のコンボアンプにはベスト。ベース用だがそれほどローエンドが出るわけでもなくトレブルを落ち着かせているだけな感じでフラット。ジャックは頑丈でトラブル無し。音量大でコンプレッション感有。1芯タイプ。

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上は日本製カナレGS-6、下はモガミ2524。どちらもある意味、昔から楽器店にはどこにでも置いてあった無メーカーのサービス用シールドの音だ。現在のハイエンドケーブルの比較対象になりえない音量は小さくフィルターがかかったような音。しかし、エレキギターのハイインピーダンスノイズを押さえる目的の伝統を感じるトーンだ。昔のギターやベースにはこれが良かったのかもしれない。カナレGS-6は低いところでフラット。モガミ2524はミッドにプリッとした癖がある。トレブルギンギンのトランジスタアンプのディストーションチェンネルを程よくまろやかに太くする用途やデジタルシンセのザラついた高出力のトーンも落ち着かすことも想定できる。素晴らしいのは低コストと安定性。メイドインジャパンの底力。1芯タイプ

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そこで日本製の真髄。上はカナレL-4E6S、下はモガミ2534。どちらも4芯のマイク用ケーブル。耳に刺さらない澄み渡るブライト感。ミッド、ローまで超フラット。シングルもハムバッカーもキャラクターをそのまま再現する。太くはないがきれいなコンプレッション感でコードを美しく鳴らす。価格も安くコストパフォーマンスはNo1。音量中

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ジョージエルスのビンテージレッド。太さ4mm弱というとんでもない細さと音の太さは正反対。音量は大きくアタックも最大。トレブルのプレゼンスを少しカットしたような感じだが全体的にはフラットだ。ミッドのアタックの反応が早く大きくコンプ感が無い分ダイナミクスは最高。ストラトをクランチで弾くにはベストのケーブル。パッチに使用するならトレブルを強調するホワイトがお薦め。専用ジャックがソルダーレスでネジ留めなので抜き差しや激しいライブだと不安が残る。しかし、音の爆発感は最高レベルで超えるのを見たことがない。何ともギタリスト視点のケーブルだ。きくところによるとこれもベルデン製らしい。デメリットはケーブルの巻き癖が取れずらいこと。10年近く使用して気のせいかマッタリ感が出てきたような気が。

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ジョージエルスレッドの原型のトーンがこのベルデン9395。ミッドよりだがスムーストーン。すくい上げたベンドのハーモニクスは絶品。アンプ直結の現場には一番安心できるヤツ。全てのギタートーンにも問題無いが深めのクランチなんかには最高。以外にもパッシブサーキットのベースにもいける。1芯タイプ

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キングオブケーブルのベルデン8412。ベルデンの歴史上でも長く100年近くアメリカのショービジネスの音でもある。2芯タイプのマイク用ケーブル。音のリッチさ、フラット感、ヴォリューム感、スケールどれをとってもベストだ。ハイインピーダンス信号を知り尽くしていてこれを基準にしてしまうと他の全てのケーブルに癖があり用途が限定されてしまう感じを持ってしまう。

全てにおいて音楽的な響きと耐久性。この8412のトーンを理解しないと他のケーブルの音も判断できないというくらい存在感のあるケーブル。電気楽器は8412。

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番外編のベルデン9497スピーカーケーブル。小型・中型のスタジオモニタースピーカーやギターアンプのスピーカーケーブルとしてベストマッチング。密度の濃いタイトな音。コストパフォーマンスは最大。オレンジと黒のツイストでいかにも業務用的。リビングルームでは見た目的に使用不可?


シールド製作

2008-10-20 19:01:27 | CABLES

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エピフォン エンペラー専用のシールドケーブルを製作した。何で専用かというと全てのギターにスイッチクラフトのジャックを取り付けているがこのエピフォンは日本製ジャックだからだ。無理に装着すると穴の軽を広げなくてはならない。直接ボディサイドを加工するのも何なのでギター側のアウトプットジャックはそのままにケーブルジャックを加工することにした。

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左がUSAスイッチクラフトのジャック、右が国産のジャック。比べるとヘッド形状やネックのクビレの形も違う。この違いが接触不良を巻き起こす。エフェクトのパッチでありがちな海外や国産のペダルを混合してセットする場合、ノイズ・接触不良の原因がこれである。厳密にいうとそれぞれのエフェクトに合わせたパッチケーブルを使用しなくてはならないが難しい。市販のものはまず無いので自分で作るしかないが、配線関係に興味がある人はこの辺からハンダ付けをやってみると面白いかもしれない。

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アンプはフェンダーなのでアンプ側はスイッチクラフトのストレートジャック。ギター側は国産のL型ジャックを使いケーブルはベルデンの9395を使ってみる。ミッドハイよりな9395をフルアコ用に使ってマイルドなフロントPUに芯を与える。微妙な違いだがトーンを絞ってヴォリュームを70%に落とした時でも輪郭があるような感じがする。

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昔のマクソンのエフェクターの箱に重りを入れた特製シールドクラフトスタンド。上からも横からも対応が効く。ケーブル製作のハンダコテは60W以上の大きめで素早くやるのがお薦め。予備ハンダを忘れずに。

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出来てしまえば普通のシールド。ギターやアンプに合わせた使い分けがお洒落。m数万円の凄いシールドもあるこの世界。実に奥深い。


シールドマジック

2008-07-03 01:35:36 | CABLES

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オーディオの世界ではケーブル地獄という言葉があるくらい線材はウンチクアイテムの代表なのである。昔は得体の知れないカールコードやギターに付属のシールドしかなかった。接触不良さえなければOKだったがいつの間にかシールドのトーンなんていうものに気にし始めたら自分もケーブル地獄にハマってしまった。

メーカーも特殊素材を駆逐したハイファイシールドのリリースラッシュで雑誌ではトーン比較の特集号なんて出す始末。しかし、気がつくと毎回買ってスクラップファイルまで作ってしまっていた。恐ろしい。

出したいトーンのイメージがあるとシールドで変に着色されると逆に厄介になる。ちょっといいものやハイエンドモノはトレブルやバスを強調したものばかりだ。エフェクターの数を減らせば減らすほどその厄介な部分が気になり始める。エフェクターをたくさん使って音が痩せたらアンプで持ち上げればいいのだ。

そうしたときに力強いミッドレンジがストレートに出るシールドは何か。そう!ベルデンなのである。この「ベルデン9395」はミッドハイにポイントがあるがあくまでフラット。何とも普通の音。これがエレクトリックギター&ベースの美味しいところを前に出してくれる。特にチューブアンプのオーバードライブに絡みやすい音。これで決まるのである。

しかし、もっと重要なのがジャック。接触不良を起こさず、耐久性に優れているのはやっぱり安心のスイッチクラフト。これで完結!でもこれだとあまりにシンプルすぎるので繋ぐハンダをビンテージものでやってみる。違いはあまり感じないが何とも50年代のハンダを使う方が気分的にいい。こうやって自作でパッチや家用、スタジオ用なんて作ってみたりするとパッケージモノは買えなくなってくる。

一番下の「アールウインド アコースティック1」は80年代にジェフベックが使っていたものと同じ。これは15年間使っていて黒い樹脂のジャックも壊れてスイッチクラフトに交換。長く使っているので気のせいかエージングされてよりまろやかになってしまっている。バリバリのストラトにはいいが、鳴らないレスポールだと消化不良になる。実はこれもベルデン製。もう一つお気に入りのジョージエルス・ビンテージレッドも製造はベルデン。何だみんなベルデンじゃないのか!万歳!