〔アリインが血中エタノール上昇抑制作用を持つことを発見〕
当センターは、独自の開発商品である“こく味にんにく”の有効成分であるアリインに、血中エタノール濃度上昇抑制作用があることを発見しました。これは、日本大学生物資源科学部生命化学科の熊谷日登美教授を中心とする研究グループとの共同研究の成果です。この成果は特許出願を行うとともに(特開2017-061421)、日本農芸化学会の英文誌に発表いたしました(Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 82, 724-731, 2018)。
【成果の概要】
お酒は適度に飲むと心身に好ましい影響を与えますが、飲みすぎると頭痛や吐き気を催し、場合によっては重篤な状態に陥ります。これらの悪酔いの症状は、エタノールから生じるアセトアルデヒドに起因しています。
エタノールを摂取すると、アルコール脱水素酵素(ADH)が働いてエタノールをアセトアルデヒドに変換します。更に、アセトアルデヒドはアルデヒド脱水素酵素(ALDH)で酢酸に変換されます。ラットによる実験の結果、コントロール(エタノールのみ投与)に比べ、アリイン或いはアリイン高含有量のニンニクエキスをエタノールと共に投与すると、血漿中エタノール濃度の上昇が抑制され(図1.)、アセトアルデヒドの濃度上昇も抑制されることがわかりました(図2.)。
図1.ラットの血漿中エタノール濃度の経時変化
図2.ラットの血漿中アセトアルデヒド濃度の経時変化
これらの効果が生じるメカニズムとしては、エタノールをアセトアルデヒドに変換するアルコール脱水素酵素(ADH)とアセトアルデヒドを酢酸に変換するアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の活性上昇が考えられます。ラットの肝臓のADHとALDH2の活性を測定した結果、アリインやアリイン高含有量ニンニクエキスの投与により両酵素とも活性の上昇が認められました。
図3.ラット肝臓細胞中のADHの活性
図4.ラット肝臓細胞のALDH2の活性
更に、アリインが胃や小腸のエタノール吸収を阻害する効果を持つ可能性も示唆されました。
これらの生理効果はラットによる実験の結果確認されたものであり、ヒトに対しての効果はまだ確認しておりません。しかしながら、ヒトにも同様の効果を十分期待できると考えております。現在、弊社ではアリイン高含有量のニンニクエキス“こく味にんにくエキス”の開発を進めておりますが、今のところ調味料やマスキング剤としての利用を中心に考えています。しかしながら、近い将来、本研究成果を活かして機能性食品素材としての供給を目指したいと思います。
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