あべ・ぼすとん

あべ・ボストンのブログです。ぼくが描いた絵と愛犬チャビイの日常を紹介します。

【競馬 目眩く一瞬を求めて】1986年3月27日のメモから

2024-05-11 13:06:30 | 競馬

 『日本競馬論序説』を読み始める。
山口瞳と赤木駿介の共著である。
 山口瞳と赤木駿介の対談を軸にして、
山口瞳は「僕の競馬健康法」と「僕の馬券戦術」
赤木駿介は「競馬をトータルに楽しむ法」
それぞれの競馬観を特にギャンブルに対する考え方を道標にしながら、それぞれの考えを展開している。
 対談は「パドック党宣言」というタイトルのもと、そこでは特に、赤木駿介の最近の馬券の買い方を紹介提示しながら、競馬と馬券とのさまざまな関わりを振り返りつつ、自らの展望を語っている。
 面白いくらい競馬への関わり、その工夫、遊び方、取り組み方は、人それぞれであることがわかる。それは、人それぞれの生き方は十人十色であることと同じである。
 僕は、赤木が語る赤木の最近の馬券戦術、単複党宣言に惹かれた。
 それは、ちょうど英国ケンブリッチの賭け屋で教えてもらったEWという買い方だ。このEW [イイチウエイ]というのは、単複を一緒に買う、という買い方である。
 例えば、アイザックニュートンという馬に、EW 10ポンド賭ける。支払いは単複それぞれに£10ということで£20を支払って、レース結果を待つ。
 このとき、アイザックニュートンが1着になれば、そのときの単勝の配当が賭け率15倍で複勝は4倍なら、
 £10x15=150ポンド、£10x4=40ポンド
 つまり190ポンドの配当になり、170ポンドの儲け
 この英国のEW という買い方は、日本の単勝と複勝を併せて一緒に買う馬券なのだ。
 彼の地では、馬券の種類が何種類もある。
 僕は英国では、馬券はいつもEW の買い方である。ケンブリッチ、ロンドン、ニューカッスルなどなど。
 
 余談だが、ある時ロンドンのいくつかの賭け屋に飛び込んで、競馬を楽しんだことがある。
 面白かったのは、ある賭け屋はお客がすべて黒人たち、もう一つの賭け屋はフランス人やイタリア人たちのラテン系の人たち、煙草の煙と匂いが賭け屋の内に充満していた、もう一軒はアジア系の人たち、韓国か台湾の人か。
 人は人種で群れるものなのか?僕はどこの賭け屋でも平気であったが、いちばん落ち着いたのは毎日のように通った賭け屋であった。
 そして、英国では賭け事が好きなんだと実感したのは、自国の競馬が雪か何かで中止の時にオランダの競馬の賭けを行なっていたのだ。もちろん競馬以外も、例えばドッグレース、最近ではコンピュータを使ってバーチャルの動画競馬さえ賭けの対象であった。
 僕は本物の馬の走る競馬だけ興味を持つのだが。馬の血統、競馬の歴史や伝統、競馬にに関わる人びとの夢やロマン、調教師、調教助手、厩務員、馬具を扱う人たち、競馬ジャーナリストなどなど。  
 1つのレースに出る馬たちにはどれだけの人が関わっているか、そのトータルの結実がレースひとつひとつに反映されているのだから。その深さに惹かれるのだ。バーチャルな動画競馬には、僕は興味を持てないのだ。


【競馬 目眩く一瞬を求めて】阪神競馬10R 第44回 阪神3歳牝馬S<1992年12月6日(日曜日)大安吉日>

2023-11-25 17:55:00 | 競馬

 実についている、と言えばそうだろう。しかし、そのツキが起きなかったとしても、この馬券は買っていたのだ。残念かつ欲深な言い方だが、このツキをさらに上乗せできたのに、と若干悔やまれた。しかしそれは、欲深過ぎる。ともかく、この幸運に感謝したい。

 12月6日、例の如く新宿場外へ向かう。8レースが荒れる予感。しかし、惨敗。荒れると考え、資金をつぎ込んだ時の敗北はショックが大きく、次のレース以降、消極的になりがちである。
 しかしこの日はついていた。それは9レースに起きた。9レースも荒れると踏んで、有り金投入の勝負と考えたのだが、その前に、10レースで狙っている馬ボスオブザキッズから単複馬券と総流しの馬連を買い、阪神競馬10R 阪神3歳牝馬Sはスエヒロジョウオーからの馬連総流しを考えたが、マルカアイリスとマイネピクシーの馬連3点買い。つまり(13)スエヒロ、⑪マルカ、②マイネの組合わせ、② ⑪ 、②(13)、(11)(13)の馬券3点をオッズも見ずに3000円ずつ買っておくことにし、残りの有り金を9レースに注ぎ込んだのだった
 9レースは⑦マイネバレンタイン、⑧ゴールドリュートの2頭からそれぞれ馬連総流し。パドックで つる首 で周回して馬体も僕好みであったメジャーウイナー②から枠連で7️⃣と8️⃣に3000円購入し確勝を期したが、結果は1️⃣8️⃣(①⑨)と入線し、あきらめる。
 しかし、ここでツキ運が僕に向かって来た。2着入線の①が進路妨害で失格2️⃣8️⃣3560円となったのである。
 あきらめた時、思いもかけない勝運が。心では喝采を叫ぶが、その日たまたま場外で口をきいていた人が1️⃣8️⃣を持っていたので、的中したことは口にできずにいた。
 負けたつもりが、10万余りの配当。ここでいつもならスエヒロジョウオーからの馬連総流しと単複馬券を追加するのが僕の常なのだが、この日は中山10R のボスオブザキッズに目移りしてこちらに馬券を厚くついかしたのだった。この点が残念と言えば残念と言える。
 しかし、スエヒロジョウオーから他の15頭の中から選んだ2頭のうち、超人気薄マイネピクシーの方が、ゴール前 村本騎手の追い出しに応え、2着に鋭く突っ込んで来たのである。
 思わず「やったあ!」と叫んでしまった。いつもより遠慮がちではあったが、である。それは黒のハンチング帽のオジさんと、階段に座り込んでいるおばあさんと2、3レース親し気に話をしていたためであった。
 黒のハンチング帽のオジさんが「当たったの?」「5、6万はつくよ、上手いもんだねえ」と言う。おばあちゃんは「とった?」と聞く。頷く。
 しかし僕が大穴を的中させたときは、必ずと言って良いほど [審議] になる。このレースも審議である。しかし、上位入線馬は審議対象ではなく、意外と早く確定になる。
 配当が待ち遠しい。出た。一瞬5万円台かと思う。それは枠連の五千円台の見間違えであった。その下に表示されている馬連の配当は12万740円である。オッズも見ず、新聞や競馬雑誌の「マイネの馬が穴をあける」という情報と前走で万馬券を獲らせてもらったスエヒロジョウオーの組み合わせがこんな超ビッグな万馬券の的中につながった。危険な3点絞りであったがラッキーであった。

 黒のハンチング帽のオジさんとおばあちゃんに「どうも」と言いながら、僕は4階の払い戻し窓口へ。
 そこには数人の若者たちが、興奮さめやらぬといった表情でたむろしていた。12万馬券がとびだしたことで感情が昂っているのかもしれない。
 僕が窓口に向かうと、一瞬、何か用事でもあるの? と言いたげな表情で僕を見る。「ちょっと退いて、、」と言う僕の声に、「えっ!とったの」と驚きの声を上げて「いくらとったの?1000円?」などと声をかけてくる。
 僕はニヤつきながら「とったよ」と言って窓口に的中馬券を差し出す。すると、彼らのひとりが「ウへーッ 3000円とってるよ! 360万じゃん。
車買えるよ」「どうしてこんな馬券買ったの?」矢継ぎ早に声をかけてくる。僕は「ついているだけだよ」と言って「頑張れよ!」と彼の肩を叩く。
 周囲の好奇とも思える目を意識しながら、東京の11レース、12レースの馬券を買って新宿場外を後に。


【競馬 目眩く一瞬を求めて】1995年11月6日(月曜日)深夜2時(実際は7日AM 2:00)の競馬メモ

2023-11-25 17:47:00 | 競馬
 同じ話で恐縮である。しかし、その結果は、メモられずにはいられない「目眩く一瞬」のレース結果であった。

 起死回生の一撃であった。
 11月4日(土) 9Rは大荒れと読んで、人気薄の穴馬何頭かから、オッズ1000倍以上の馬券を含めて大穴馬券に資金を投入。しかし結果は、上位人気馬3頭の決着で惨敗。
 1000倍馬券は今年2回出ていて、その2レースとも的中しているが、この季節まで2回だけというのはどうも少な過ぎる。少なくとももう1、2回は出現するはずとの「勘」を頼りに、先週から1000倍を超える穴馬券に相当つぎ込んでは裏切られ続けていた。いつ大穴が出るか、もちろんわからないのだが、後半の荒れそうなレースでは、必ず超万馬券に狙いを定めた買い方をし続けていた。
 そんな買い方の結果、惨敗続きであったので、8月27日に的中させた12万馬券(4000円購入)で得た配当金も風前の灯といった案配。余りの乱暴な馬券の買い方に我が身の金銭感覚を疑うほどであった。何回同じ轍を踏めばわかるのか。馬鹿は死ななきゃ治らないでは無いが、自身の無節操さに飽きれるばかりであった。そんなことをいつも自覚し、反省しつつも結果同じことを繰り返しているのである。これからは本当に理性的というより普通の金銭感覚をもった判断をしなければ、と自戒するのである。
 しかし、そうした反省を何回もしている、つまり超万馬券への欲望の結末を何回も経験しているはずなのに競馬を止めない。それは、同じことを繰り返すギャンブル依存からの経済的危機を救ってもらっている、という危機脱出の何回かの成功体験と自分自身の強運を信じ切っていることから、相も変わらず、そうした勝ち馬投票でJRA への挑戦をし続けているのである。
 
 そんな気分を持ちつつ、当日もWINS 新宿 へ出向いた。
 9R で大敗。しかしながら、メインレースの11R 根岸ステークスで、狙っていたヤングエブロスが穴をあけたのである。1番人気のイブキクラッシュとの組み合わせ (10)(11)で 4,170円の配当。この馬券を4000円的中させた。配当は 166,800円である。この配当を翌日の菊花賞の資金にしようとも考えたのだが、 G1 レースのある週の土曜最終レースは荒れるという競馬雑誌の記事を思い出し荒れることを大前提にした予想を立てたのである。
 買い目は超人気薄の馬を2頭。このとき人気薄の馬の選び方は新聞の予想オッズと場内の掲示板のオッズ見ることのできる範囲、単勝のオッズとかで人気のない馬であることの確認、さらに調教欄で買う要素があるかどうかの判断。そして調教師や厩務員のコメントから、弱気か強気かに関係なく、気になる発言がないかなどのことから判断することが多い。
 最終12R はサラ4歳以上900万下の1400M ダート戦である。
 穴馬として選んだゲイリーハヤテは3ヶ月の休み明け。調教欄では熱心に乗り込まれていることが7本の調教時計が載っていることからもわかる。さらに、二ノ宮調教師のコメントは「身体はできている。この距離なら900万下でも通用するはず」。休み前の6月18日札幌の1700Mダート戦で勝ち上がり、続く二戦は1700M ダート戦で10着、7月30日UHB杯2600M芝でドンジリの大敗。そして立て直しの緒戦という訳である。人気は最低人気、前走シンガリ負け、休養明け。そして騎手は横山典から田中勝へと乗り替わりである。調教が熱心であったこと、調教師の言葉にはこの馬への期待感があったこと、ダートで善戦している過去があること、こうしたことが穴狙いの要素ではあるが、これらを除けば買い目は無い。そして競馬専門紙では全くの無印であった。
 次にピックアップした穴馬はマッケンドラマである。ここ3走、札幌で7月30日ダートの1700M を勝った後、中央場所でのレースで狙い続けていた馬である。理由は穴馬として狙い続けけていたこと、そしてノド鳴りの負担を和らげようと減量騎手を乗せてきたこと。この2点が主な理由であった。あとは、前の11レース根岸Sで高配当をゲットしていた余裕から、⑤のコガネユタカオーと(13)の逃げ馬ストレートアンサー。これら4頭を中心にしたボックス馬券と総流し馬券で攻めてみようという予想になったのである。

 では、どのような買い方をしたのかというと、まず⑤番コガネユタカオーからは2000円、⑦番ゲイリーハヤテ、⑨番マッケンドラマ、そして(13)番ストレートアンサー、この3頭からは、それぞれ馬連1000円の総流し。これらの馬券を買うときは、もうオッズがどうなっているかは気にせずに、全部白色で表示されている万馬券を示すオッズかどうかだけを場内モニターで確認しているだけである。
 この総流し馬券は、軸馬を人気薄の馬にしているので、抜け目の高配当で悔しい思いをしたくないからである。
 次にマークシートに記入するのは、ボックス馬券である。もちろん、人気薄の4頭と人気馬や気になる馬との組み合わせである。
 この12R では、絶対的な人気馬になっている⑥番のダイチノボルとのボックス馬券。つまり⑤⑥⑦⑨(13)の5頭ボックス各3000円、そして成績的に気になる10番カチウマキャシーとのボックス⑤⑦⑨(10)(13)の各2000円も追加購入する。
 
 レースはハイペースで進む。直線に入ると逃げていた馬たちの脚色がにぶる。そこへ中団にいた馬たちが襲いかかる。直線残り200メートル、そして150メートル。先団が7、8頭固まって、先行していた脚色が鈍ってきた馬と追い上げてきた馬が交差する。このとき、後方にいた⑨番マッケンドラマが外から内へ切れ込むように鋭い脚を伸ばし、残り100メートルか7、80メートルの地点で馬群から抜け出した。マッケンドラマは他馬を1馬身、2馬身と引き離す。ゴールはもう寸前、2着争いはマッケンドラマから2馬身後ろで数頭が横一線。マッケンドラマはゴールイン。続いて武の⑧番黄色い帽子のマリーベルが頭、首と抜け出して2着を確保しようと武が必死に追っている。マリーベルもゴール間近、接戦の2着争い。場内モニターはその2着争いをしている4頭、5頭の馬をアップして映し出していた。さあゴール、と思った瞬間、さらなる大外から⑦番田中勝春の黄色い帽子が飛び込んで来た。その一瞬、「差せ!」と大声をあげていた。狙った穴馬2頭が、1着とそしてもう1頭が2着に突っ込んで来たのだ。
 内心で、「ヨーシ・・」と叫んだ。が、しかし直ぐに顔色を失った。胃まで痛くなる。実況中継しているアナウンサーの「しかし、このレースは審議です」という大きな声が耳に入る。
 競馬場内の電光掲示板には、1着の馬⑨の点滅、2、3着は ( 写)。4、5着も(写)の掲示。さらに審議を知らせる緑色の(審)のランプが点滅。
 待つこと2、3分だったか、(写)の方は2着が⑦、3着は⑧、4着は③、5着は⑤との点滅を始める。
 よーし!やった‼︎ 。
 これで決まれば超万馬券である。
 ⑦⑨の馬連を7000円買っているはずである。
 
 これは、1992年の立春ハンデ。シンボリカイザーとエメラルドセクレの枠連5️⃣5️⃣、馬連⑧⑨ を渋谷場外で獲得した560万の配当を上まわることになる。

 しかし、審議である。
 場内アナウンサーの女性の声が響き渡る。
「ただいまのレースは審議中です。お買い求めの勝ち馬投票券はレースが確定するまでお捨てにならないようにご注意ください」このアナウンスが2回3回と流れる。審議の対象は明らかに1着入線の⑨番マッケンドラマ。見習い騎手西田、もし失格したら恨むよ。。? 脚色からして、「西田さん!焦らなくても1着はあったのだから」心の中で呟く。。。
 次のアナウンスは、もし失格があれば「審議の対象馬が上位入線馬」であることが告げられるはずだ。それがないので大丈夫か、などなど、実に長く感じる確定を待つ時間。
 そして、裁定委員の男性の声が響き渡った。
「ただいまのレース、最後の直線走路で14番セフテイグランダーの進路が狭くなったことについて審議しました“が”」よーし「が」だ、とにかく4階の窓口に向かうことにする。エスカレーターに乗りながら、「失格および降着の馬はいませんので、到着順どおり確定します。」4階に着いたところで、場内のモニターでは⑨⑦⑧③⑤の数字が上から下にきれいに並び点灯している。そして点滅が止まり確定の(確)の青ランプ。
 さあ、配当はいくらか?超万馬券であることは確かである。
 何とラッキーなことか!‼︎
 
 配当金が表示された。馬連⑦⑨は16万4,290円。
 今年3度目の超1000倍馬券である。つまり10万馬券。

(そのときは、メモしていること自体が夢なのかも、そんな風に書いていた。ある意味信じられない配当金がなのである。)

16万の配当、その70倍である。馬連⑦⑨の馬券を7000円買っているはずである。
実際、11500300円の配当金であった。

 交通事故などに気をつけよう。
親によく言われた「いつまでもあると思うな親と金、ないと思うな運と災難」という言葉をかみしめる。

 こういう体験が、ギャンブル依存にさせる、本当によく聞く話である。しかし、ギャンブルのこの目眩くとき、この一瞬のドキドキ感は非日常的感覚の最たるもののように思うのである。競馬をひとりで熱中するのもこの非日常性への誘惑であろう。


後日談
 11月4日(土) のサンケイスポーツ競馬欄や競馬専門紙の各紙を見直しながら、関係者のコメントを読んでいた。そして12R の馬柱ページを開いて 『新 競馬エイト宅厩便』というコーナーを見ると『12R マッケンドラマ有終ラン』の見出し。気がつかなかった。当日もそしてその後も、サンスポの馬柱に注目し過ぎて他の情報を見逃していたものもあったのだ。そして読んでみる。
 古賀史厩舎の竹部調教助手の記者席でのコメントが出ていた。
「走ってもおかしくないぞ」「引退レースになるんだけど、けいこが動いたんだ。減量騎手で3 キロ斤量が軽くなるし、東京は走るからな。返し馬で気合がのっていたら面白いぞ」
 こんなコメントを記事に。穴気配を漂わせていることを伝えている。やはり、関係者は期待感と好感触を持っていたのだ。
 マッケンドラマは狙い続けていたから買ったのだが、この記事と人気の無さを考えたら、当然大穴馬の一番手として、さらに確信できたのではないかと思う。
 専門9紙とサンスポ予想では、☆印を唯一水戸記者が付けていた。
有名な穴狙いの記者として、マッケンドラマの人気の無さとこのコメントから、狙うべき穴馬と考えたのだろう。しかし、本命にはし切れなかったのだ。そこが予想記者の辛いところかも知れない。僕は予想記者ではない。印を付けるかどうか悩んだりする必要はない。穴馬の匂いを嗅ぎ付け、その馬を狙う。とにかく情報過多のなかで、その取捨選択と経験値や勘、そして嗅覚を鋭く磨ぎすます努力が必要なのだ。多くはそれが勘違いであることになるのだが。たまにそのまたたまに、勘や嗅覚が大穴的中に結びつくこともあるのだ。

【競馬 目眩く一瞬を求めて】1995年11月4日(土曜日)

2023-09-16 18:03:00 | 競馬
出た‼️ 東京競馬 土曜12R 16万馬券 史上7番目の大穴

最終12Rで16万馬券。東京競馬初日の12Rは、14頭立て13番人気のマッケンドラマと14番人気のゲイリーハヤテが1、2着。馬連⑦⑨は164,290円の大万馬券となった。91通りの組み合わせ中の最低人気で、五月の京都・シルクロードS(223,130円) に次いで今年二番目、JRA史上では七番目の高配当。

 これは翌日のデイリースポーツの見出し記事の部分である。

 当日の自分の競馬メモ帳では次のような目眩く時の感想が綴られている。

 ついに1000万獲得の快挙!
 今年24回目の万馬券的中❗️
 11月4日(土)、8月27日の12万馬券的中以来、勝っても吐き出すというパターンに陥り資金も底をついた感があったとき、本日もまたまた駄目かと思っていた最終12Rにそのとき目眩きときが訪れたのである。
 追いかけ続けていた2頭の穴馬が揃って突っ込んで来て、狙い続けていた大穴馬券がついにかかった。
 それはまるで、渓流釣りで一匹もかからず、こんな山奥まで世俗の煩悩が次つぎと押し寄せて来る気分に陥ってしまっていたとき、渓流の淵の主と想えるような尺岩魚が想いもかけず釣り上がった、そんな気分であった。
 レース前オッズは見ていなかったが、過去のレースで狙い続けた馬でもあり、調教師の「走っても不思議ではない」とのコメントを参考にして、印の無い穴馬二頭を絡めた(⑤⑥⑦⑨(13))の馬連のボックス馬券5000円と、⑦ゲイリーハヤテと⑨マッケンドラマの2頭の馬からそれぞれ馬連総ながし各1000円ずつで勝負をしていた。
 この馬券が的中したのだ。ノド鳴りで、見習い騎手西田を乗せたマッケンドラマはここ三走狙い続けていたし、ゲイリーハヤテも田中勝春の大胆な大外強襲をイメージして総流しで買っていた。この二頭を軸に据えた馬券であった。(これはひとつ前の11レース根岸Sで的中があってこそなのだが)




 

【競馬 目眩く一瞬を求めて】合掌 ライスシャワー<1995年6月5日(月曜日)>

2023-09-16 17:55:00 | 競馬
 6月4日(日) 京都競馬場で行われた第36回宝塚記念競走。震災復興支援競争と名うたれた開催であった。第10レース、本日のメインレースG1 宝塚記念競走。悲劇であった。
 1ヶ月前に天皇賞で見事に復活したライスシャワー号が、京都競馬場第三コーナー下り坂の手前で大きくバランスを崩し、的場騎手は前方にもんどり打って放り出された。
 ライスシャワーは前脚がねじれ、それが波動のように身体(胴体)から後肢へとクネクネと伝わるような奇妙動きのスローモーションのような感じで転倒した。一瞬の動きのはずなのだが、予後不良になるような骨折をレース中に起こした馬の動きはいつもスローモーションのように感じられる。ライスシャワーは馬運車に乗せられることもせず、その場で安楽死の処分の運命であった。
 過去、新潟競馬場でのプーサンや東京競馬場でのヘンリーオンワードの骨折、そしてその場での殺処分の現場の姿を目撃した時と同じように何とも言えない悲しみがこみあげてきた。物言わぬ一頭の動物の死ではあるが、本当に可哀想であり悲しい。安らかに眠れよライスシャワー。小柄ではあったが懸命に走るこの馬が僕は好きであった。 合掌