見出し画像

シロガネの草子

「我が身をたどる姫宮」 その12 


若宮殿下と以前の様に話が出来て、姫宮様は、本当に嬉しく思いました。しかし、『根無し葛』氏の恋に溺れてしまった自身の過ちのせいで、弟宮様には、本当に嫌な思いをさせていると、姫宮様は、考えていました。


きっと・・・・間違いなく学校でも、自分達のことで、影なり表なり色々と言われ聞かれているだろうし、ただでさえ、皇族というのは、周囲から浮き勝ちに成りやすいのです。まして、弟宮様には、同世代の男性皇族が誰もいないのです。





若い皇族の世代では、若宮殿下は、ただ一人の若き皇子でいらっしゃいます。

そして、後は女性皇族方々だけなのです。



姫宮様もその事をずっと気にされていまして、自身が、早くに結婚して、例え民間人でも、「義兄」が、出来るのは、若宮殿下に取りまして、いい事だとずっと考えていたのでしたが、全ては裏目となったのです。

 この年頃ですから、当然様々なことで、悩む事も多いだろうし、姉弟は、姉妹のみ。しかも自分よりも10歳以上も離れている姉宮達です。本来なら、『根無し葛』氏が、兄の様になり、若宮殿下の相談相手となればいいのですが・・・・・。


 姫宮様も最初、『根無し葛』氏と付き合い始めて、自分が恋するこの人こそ、これからの生涯を共にする人だと思った時より、それを『根無し葛』氏に対して、かなり期待していたのです。


母子家庭で、大変苦労したと聞いていましたし、一人っ子ですから、きっと弟宮を、実の弟の様に接して、そして、必ず陰日向に支えてくれると、そう信じていたのでした。



『わたしは・・・・・どうかしていた』 dy姫宮様


しかし、結婚後にようやく『根無し葛』氏の真の姿と本性を知り、とてもではありませんが、大切な弟宮の、将来は天皇となる「皇室の未来の光」でいらっしゃる、若宮殿下の支えになれるとは、現在では、とても考えも出来ない事です。思いもよらない事です。


現在の姫宮様は、『我が身』の選択のせいで、取り返しの付かない事をしてしまったと思われていらっしゃいます。それは、『根無し葛』氏との暮らしのなかで、その本来の彼の人柄を接して、自分の浅はかさを、日々、嫌と云うほどに思い知られたのです。

(あぁこれが夢であれば・・・・幻の世界であったならどれだけいいか・・・・“現実„と云うものを知った今、いくら思ったことか)


後に、ご実家の皇嗣邸に戻られた後に、『根無し葛』氏に対して、期待していた事などを、妹宮殿下、そして若宮殿下(その時は宮殿下)のお二人に話したところ、

その時の(約15年後のご姉弟の方々)


「お姉様は、そんな事まで、考えていたの・・・・お考えは、間違ってはいなかったけど・・・・・・でもあの人(根無し葛氏)に対して、そう本当で、思い込んでいたんなら、お姉様には、悪いけども『恋は盲目』という言葉が浮かんでくるわ」(妹宮殿下のお言葉)  


「まあ、(苦笑いされながら)大姉様がそう、思ってくれていたのは、素直に嬉しいけどね」(宮殿下のお言葉)」


・・・・・・と、お二人共に、しみじみと言われてしまいました。

しかし、当時、『根無し葛』氏への愛の焔に身を焦がす姫宮様は、本気で、一途にそして、一直線に『根無し葛』氏にそれを期待し、私の愛する『根無し葛』氏は、必ずや、皇室及び日本の為にも必要不可欠な人物だと浅はかにも心より・・・・信じ切っていたのでした。
     


 それ故に、周りからの心ある忠告にも耳を貸さず、ご自分にとって心地良い言葉のみを、聞いていたのでした。


そんな、姫宮様を『根無し葛』氏は、どう見ていたのか・・・・・



さぞかし自分のいう事を良く聞いてくれる「お人形さん」も同然だったでしょう。

しかし、ようやく冷静な心持ちになられた今、皇室にとっては、『根無し葛』氏という存在は、間違いなく将来の、むしろ足かせとなりますから、特に若宮殿下とは、接点など持たせてはならないとさえ、思うのです。

 若宮殿下も、当然『根無し葛』氏の事は、嫌っています。むしろこうなってはならないという、反面教師の様に見ているようなのです。


若宮殿下
「・・・・・・・」


本当に弟宮に対して、大変申し訳ないと、心のなかで、詫び、そして自分の愚かさを悔いる姫宮様なのでした。


(どんなに、現在(今)後悔しても後戻りは出来ない。そして何より・・・・)


現在、決して『根無し葛』氏とは、もうどうにも絶ち切れない愛の「象徴」を宿している姫宮様は、若宮殿下に、


「若宮様、すいません。ちょっと『御写真様』へ御挨拶して来ますね」
 
と、言いまして、奥にある「御写真の間」へと行かれました。「御写真様の間」とは、明治の両陛下御始め、大正、昭和の天皇皇后両陛下の御写真、それと昭和天皇のご兄弟の宮様方、そして、大妃殿下を除く、各妃殿下のお写真と近年お隠れになられた、宮様方のお写真が飾られている、お部屋の事で、一般では、仏間に当たる部屋の事です。

姫宮様は、「お写真の間」に入られる前、手を洗い口をすすぎました。普段は、そんな事は、しなくても構わないのですが、遠くから来たうえ、自分は、皇族でないので、ケジメとしてなさっさのです。


「御写真の間」は、6畳程の広さで、畳が敷かれた和室となっています。お庭に面した所ですので、明るいのですが、普段は、障子でしきられています。しかし、入り口は、ただ几帳が立ててあり、明けてありますので、薄暗いという訳では、ありません。

唐紙が張られた屏風が立てられて、その前に、二段の台にそれぞれ有職文の敷物が敷かれた上に、亡き両陛下方の御写真がそれぞれ立てられていました。

仏間では、ありませんので、お線香などはなく、ただ、台の前に小さな机が、置かれまして、それに白木の折敷に、水を入れたお椀が、入れられて入るのみですが、しかし机の側には、美しい、洒落た花瓶があり、いつも花が絶える事なく生けてあるのです。


 姫宮様は、「御写真の間」に入られると、一礼されて、自分に繋がる明治から昭和までの両陛下方や、皇族方の御写真に、皇嗣邸に戻られたご挨拶をされました。
 この場所には、両陛下方や、皇族方の御写真の他に、皇嗣両殿下の祖父母方の写真も並べてあります。しかし、それは御写真の、置かれた台の横に、別の台が置かれてありまして、そこに、姫宮様には、既に彼岸に旅立たれた、曾祖父母方の写真が、飾られています。



 上皇后様のご両親、つまり皇嗣殿下の祖父母でいらっしゃる、「しょうだ」家の大じじ様、大ばば様、そして皇嗣妃殿下の父方の「かわしま」家の大じじ様、大ばば様、そして、母方の「すぎもと」の大じじ様、大ばば様方の写真が皆並べて飾られているのです。そちらにも、同じく白木の折敷に、水を入れたお椀が供えてあり、そして、御写真と同じく、いつも花瓶に花がいつも生けてあるのです。


 姫宮様は、そちらの写真の方にも一礼しました。この「御写真の間」は、一般で言うと、仏間に当たるのです。

 一応幼い時から、学校への行き帰りの際は、こちらで、御挨拶をするのが、習慣でした。ただ、朝などバタバタしていますので、中まで入らず、入り口で、妹宮様と共に頭を下げるのが、日常でしたが、卒業式、入学式の時等節目の時には、流石に中まで入りまして、御挨拶申し上げたのでした。


 そして、ここの場所は、もう1つ役目が、ありました。それは、姫宮様方が、ご両親の皇嗣両殿下に、進路等を相談される際の場所とされたのです。それは、K氏との結婚問題の時も同じでした。もう幾度も皇嗣ご夫妻と、この「御写真の間」の場での、話し合いを重ねたのか、分かりません。


母宮でいらっしゃる妃殿下は、姫宮様の『恋の心』には理解を示されましたが、『根なし草』氏と一緒になることは、最後まで反対されました。

こちらに来ると、矢張、あの当時の事が、思い出されます。K氏の本性というべき、トラブルが、世に明るみに出て以来、結婚に反対する、両殿下に対して、そのトラブルは、K氏とは、関係ないのだし、K氏のいう事が、正しい・・・・・・


自分は、K氏の言う言葉を信じていると、言い、頑としてK氏との結婚を諦めず、一歩も譲らなかった当時の自分の姿を姫宮様は、思い出されていました。

・・・・・あれから、二年も経つか経たないうちの、今、K氏に対して、褪めた感情でいる自身の姿はあの時は、全く想像も出来なかったであろうなと、姫宮様は、過去の自分自身に対して、そう、考えられていました。

 
身重の身体ながら、背筋をピンと伸ばされ、今は亡き、ご自分に繋がる多くの方々のお写真に、向き合う姫宮様のお姿は、憑き物が落ちた様に見え、そのお姿は、気高く、お美しくいらっしゃいます。姫宮様は、元の内親王殿下に、間違いなく、戻られていました。


 しかし、姫宮様のK氏の想いが全て消えた訳では、ありませんでした。一途にK氏に抱いていた、あの熱情の様な恋心は、すっかり冷めても、しかし、姫宮様の胸のなかには、まだ僅かにK氏に対しての想いは、残り火の様に燃え残っているのです。


まして、これから、自分は、K氏の子供を産み、母となるのですから、その子の為にも、K氏とは、やはり、夫婦として生きていきたいと、思うのです。これは自分自身の責任であるからと・・・・・。

姫宮様は、御写真に向かいまして、心のなかで、こう仰いました。



「恐れ入ります。私が、日々、平穏な暮らしが、出来るのは、歴代の天皇様方や、皇后様方が、ご自身の御務めを、御果たしに、ならしゃれたからで、御座います。そのお陰を被りまして、陛下方の子孫である、わたくしも、こうして日々を、過ごす事が、出来ます事、心より、感謝申し上げ奉ります」

「しかし、結婚相手の、わたくしの判断の誤りのせいで、当今様(今上帝)御始め、皇族方、何より、何れは、御代を継がれる、若宮殿下に、大変な迷惑を掛けてしまいました。しかし、わたくしは、この様な有様となり、ようやく、自分が何者であるを、身に染みて理解する事が出来ました。誠にお恥ずかしい限りで御座います」

「でも、わたくしは、わたくし自身の意思と判断で、夫と縁(えにし)を、結び、子まで成す仲となりました。それ故、夫との夫婦の(えにし)は生涯貫きたいと、思っております。誠に身勝手で、畏れ多い事で、ございますが、わたくし達の今後もどうか、これからも、御見守り下さい」


 姫宮様は、しっかり前を向きまして、「御写真の間」を出られました。ずいぶんと身勝手な願いをしてしまったと、思うものの、しかし、K氏への愛がまだ自身の中に残っているのは、嘘偽りのない事です。心が、まだK氏に離れないうちは・・・・・K氏との日々に感謝しなければ・・・・・これからも、そう思わないといけないと、姫宮様は、お考えになられたのでした。


・・・・・・心が離れないうちは・・・・・自分は、K氏の良き妻でいようと。心が離れないうちは。


「ちょと御写真様方のご挨拶が、長引いてしまいました・・・・」

 「御写真の間」から、お居間に戻られた、姫宮様は、微笑みながら、若宮殿下にそう、おっしゃいました。


(・・・・?何か・・・・大姉様の雰囲気が変わった?)
 
 姉宮様が、「御写真の間」から、戻られた姿をご覧になられた、若宮殿下は、そう思われたのでした。


「若宮様、どうなされたのです?私、まだ顔がにやけていますか?」

 若宮殿下が、姉宮様をまじまじとご覧になられているのに気付かれた姫宮様は、そう、声をかけましたが、若宮殿下は、


「何か、随分と長くいたような、感じだけど、何か、願い事でも、していたの?安産祈願とか?おもう様達が、いつも、言っているけど、あそこの、御写真様の御部屋は、そういう事する為の御部屋じゃなくって日々の日常を送れる事への感謝の、御礼をする所だからね。姉様達みたいに、おもう様達と、大ゲンカをする為の御部屋じゃないんだから」


 あの御部屋で、姉宮様方が、自身の進路、結婚等の問題で、皇嗣両殿下と相当激しいやり取りを、見聞きしてこられた、若宮殿下は、その様におっしゃるのです。それを聞かれて姫宮様は、笑いながら、


「全く、仰る通りでございますね。若宮様の言われる通り、K氏との穏やかな日常を送られる事への感謝の御礼を申し上げてきました。」

 弟宮様の最もな忠告に対してそう云われました。確かに日頃の日常に感謝するべき御部屋だというのに、姫宮様もそして、妹宮殿下も、ご自分の将来に関わるとは、いえ、ご両親の皇嗣両殿下と本当に大変な口論をしてしまいました。


 姫宮様は、自分達の有り様を御写真様方は、どんな風にご覧に成られていらっしゃたのだろうと、今更ながら思いました。


「大姉様、座敷の方、見てきた?あそこで、ややさん(赤ちゃん・御所言葉)を産むんだよね。色々と、用意していたよ。院の御所から、おばば様が来られて」

 若宮殿下は、姫宮様にそう言われて、あぁそーいえばと姫宮様が、上京する前に、院の御所から、上皇后様が、様々な物を用意されて、皇嗣邸へお出ましに成られて、母君や、老女の唐糸や、年長の侍女の花吹雪(源氏名)達にアレコレと指示していたのを、学校から帰られた後、老女や侍女達が何かと話されていたのを思い出されました。


「後で見るからと、座敷は、見ないでそのままこちらに来ました。上皇后様が私の出産の為に、お気遣いして頂いているのは、涼風さん達から聞いていました。ほんとうに有難いことです」


「おばば様、大姉様が、ここでお産をすると決まってから、やたらご気丈(お元気・御所言葉)さんに、成られて、えらく張り切っていらっしゃるようだよ。花吹雪さんなんか、『すっかり盛り返された』と言って、驚いていたし。大姉様が、K氏と結婚してから、すっかりショボクレタた感じになられていたけど、今はマジで、ピンピン」



 上皇后様は、姫宮様の結婚には、最初は、賛成しておられたのですが・・・・しかし、「ご自分の美名」と「世論・国民感情」を何よりもお大切になさるお方ですので、K氏のトラブルが、明るみに出てから、当然、反対される様になりました。



 平成の御代は、何事も上皇后様、当時は、皇后様でしたが、その皇后様が、反対との事が、どのような経緯かは、「謎」なのですが、週刊紙等に伝わり、姫宮様を、様々のお言葉で、諌められているという事を、伝え聞いた人達は、間違いなく、姫宮様とK氏の結婚は、破談になるとばかり、思っていたのですが・・・・・。



しかしながら、「姫宮様の行く末」を案じる、お心の籠った「ご慈愛」に満ち溢れた皇后様の、説得にも皇后様の「本当のお心」をよくご存知でいらっしゃる大人に成られた、姫宮様は、全くお聞き入れには、なりませんでした・・・・・。


 その頃からどうゆう訳か「謎」なのですが、やたらに皇嗣家の内情が、様々と世に流され、そして、異様な程の皇嗣妃殿下のバッシングが、酷く週刊紙等に叩かれてれる様に、なりました。



 しかし、どんなにこんなに皇嗣家が、非難されても、K氏に、一途に恋をして最早、「恋のやまひ」状態の姫宮様は、いやが上にK氏への恋心が高まってしまい、完全に恋とご自分の世界に入り込んでしまられました。


K氏への「恋」の「狂乱」と云うべき姫宮様のご様子は、ご結婚するまで、変わらない有り様と、なっていました。


何事も、ご自分の思いのままに、物事を進まれてきた、皇后様にとりましては恐らく、始めての「敗北」だったでしょう・・・・。


お痛わしい限りでございますが、しかしこれもある種の「報い」と云うべきものというべき出来事だったでしょう。そして、


 姫宮様のご結婚式の時以来、お体も弱られて、すっかりお元気を失くされていらしゃったのです。



 しかし、姫宮様が、ご実家である皇嗣邸での自宅出産という選択をされてから、この事は、世間の話題になって、アレコレと週刊紙や、ネットに様々と書かれるのは、もう皇嗣家の「十八番」という事ですから、どなたも、いちいちお気にされないのです。

(しかし若宮様は、週刊紙を良くご覧になられているとの事です。祖母君・上皇后様のご遺伝でしょうか?)

(そして・・・・)


「💢💢💨」(こうなるのです)



 しかしながら、姫宮様も順調に安定期を迎えられてから、最初は自宅出産に、反対されていらっしゃた、上皇后様は、今度は、賛成のお立場に成られまして、「ご慈愛」の精神を発揮されて、姫宮様のお産にアレコレとさまざまな、お心遣いを、されていらっしゃるのでした。
  
この前の「皇室特番」でも、

「上皇后様、ついに、ひいおばあ様に・・・・・姫宮様に母の慈愛の心を教える、上皇后様とお喜びの初夏の皇室物語」

・・・・・という題名の皇室番組がBSで放送していました。その前の皇室番組の題名は、

「春を迎えられた令和の皇室の皆さま・・・・上皇后様の愛と『いのち』旅路の平成の時代と、そして・・・・令和の時代。上皇后様は、今」
・・・・・という題名でした。

 ご結婚前は、こういう皇室番組をご覧になられる事は、ほとんどなかった姫宮様も現在、地方にお住まいでいらっしゃるので、ご家族の姿をテレビの方からでも、拝見したく、良く見る様になられていました。


 この番組でも、上皇后様が中心の番組でしたが、どうしても上皇后様がお出にならないと、皇室番組というのは、成り立たないのだろうかと、いつも、姫宮様は、不思議に、思われます。


 実の祖母君でいらっいますので、別に大きな不満があるわけでは、ありませんが、なんだか腑に落ちないという思いで、いつも、皇室番組をご覧になられていらっしゃるのです。


 姫宮様は、明日、御所と院の御所に参内されて、ご挨拶をされます。用事が済みましたら、K氏と共に直ぐに、ご自分のお住まいに戻られますが、又しばらくして、今度は出産の為の滞在となりますから、今度は長い滞在となるわけです。


 今月の20日頃は、「戌の日」になりますので、岩田帯を締められる「着帯の儀」に内々の行事となりますが、姫宮様は、臨まれます。帯親は、ご両親の皇嗣両殿下でいらっしゃいます。そしてその晩は、院ご夫妻方を、お迎えになられての、お祝いの宴を予定しているのです。



 その事で、老女・唐糸と、年長の花吹雪達と打ち合わせをしないと、思っていたとき、侍女の花吹雪が、来まして、


「恐れ入ります。皇嗣殿下と、妹宮殿下方が、あと、2時間程でお帰りになられますと、只今、『表』より連絡が、参りました」

 と、姫宮様と若宮殿下に知らせてきました。花吹雪からその事を、聞かれた若宮殿下は、スマホで、皇嗣妃殿下へと知らせたのでした。


「おたた様にも、連絡は行っていたみたいだけど、なんか、もっと遅くなるとかいう話だったみたい。用事を済ませたら、下に降りて来るから、花吹雪さん達は、先に食事の仕度をしていて下さいだって」

それを聞かれた姫宮様は、嬉しそうに、微笑まれ、


「賑やかな夕食になりますね」と、若宮様に言われまして、久しぶりにご家族揃っての夕食になります事を、心より喜んでおりました。その時の姫宮様の頭の中には、夫のK氏の事など全く考えても、いらっしゃいませんでした。

・・・・・・その13へと続きます。 


上村松園 『紅葉可里・・・い』



ランキングに参加中です。ご支援お願いします。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「妄想の物語」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事