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あある の どくはく

雑学:富山の地名いくつか

2010-10-05 | 文化
10月3日(日)、フリージャーナリスト・岩上安見氏のTwitter上の何気ない難読地名クイズが異常な盛り上がりを見せましたが、思いがけず自分も参加する形となってしまいました。僕が出題したのは「富山県射水市の戸破」、正解は「いみずし」の「ひばり」なのですが、僕がもたもたしていたために北海道の方が調べて先に発表(^^;、その折に「由来とかあります?」と訊かれたものの答えられませんでした。だからというわけではないですが、お気に入りの地名だけに気になったので図書館で軽く調べてきました。(ちなみに昨日も調べに行ったのですが図書館休みでした、涙)

【戸破】
もとは「へわり」と読んでいたものを、地元で「ひわり」や「ひばり」といった俗称で呼ぶようになり、現在「ひばり」と読むようになったようです。「へわり」は「一帯の泥沼の縁辺を田地割した辺割に由来するもの」だとか。
「へわり村」は室町時代の文献に既にみえているらしく、当時このあたりは京都・下賀茂神社の荘園「倉垣庄」と呼ばれた場所で、戸破村もその一部だったようです。「戸破」という漢字は、水不足のために信州戸隠に水をもらいに行ったところ戸を破るほどの大雨になったことによる・・・との伝承があるものの、よくわからないとのことです。
(出典名を控えてくるの忘れました、富山県地名事典だっけ、なんかそんなんw)
そんなわけで、響きの良さのわりに、あまりたいしたエピソードもないようです(笑)、ざんねん。

現在の戸破は、場所をご存知の方はわかると思いますが、旧北陸街道(旧8号線)沿いなのでかつてはけっこう栄えていたようです。でもその後中心地が現在のJR小杉駅あたりへ移り徐々に衰退。今でもどこか昭和の雰囲気が漂う街ですね。射水郡戸破村から射水郡小杉町戸破となり、平成の大合併で射水市戸破となりました。
ちなみに射水市の小杉庁舎(一応本庁舎)の住所は「射水市戸破1511番地」です。
さらにいえば、旧射水郡は旧高岡市はおろか氷見市全域を含む意外に広い郡で、当時の中心地は現在の伏木あたりか新湊の放生津でした。


戸破の解説だけでもよかったのですが、せっかくの機会なので知っているお話を。

【石動】
Twitterでも紹介しましたが、石動=いするぎ は聞くといかにも難読地名ですが、「動」を「ゆるぎ」と読めばそれほどでもありません。「富山県の歴史散歩」によると、いしゆるぎ→いしゅるぎ→いするぎ と訛ったものだそうです。
ただイスルギという読みの由来は極めて古く、神話時代にまで遡ります。姉倉比売伝説にも登場する伊須流岐比古(いするぎひこ)からきているわけですが、伊須流岐神社があるのは石川県中能登町と氷見市との境にある石動山。ややこしいことに、こちらは「せきどうざん」と読みます。奈良時代以前は読みが先で漢字はこじつけみたいなものなので、たぶんイスルギが先にありそれに「石動」の字が充てられたんでしょうね。
石動山から現在の石動はあまりにも離れていますが、これはご神体を寄進された前田利家が、「新しい石動の地」の意味なのか、佐々成政討伐の前線基地として北陸街道上に「今石動城」(いまいするぎじょう)を築いたのがきっかけで、その城下町がひろがり、その後北陸街道の宿場町となりました。明治になって「今」がとれて、現在の「石動」という地名になったようです。

【西田地方】
ずっと「にしだちほう」だと思っていたのですが、正解は「にしでんじかた」です。
これは聞いた話でしかないのですが、かつて役所のことを「地方(じかた)」と呼び、田んぼを管理する役所を「田地方(でんじかた)」呼んでいたそうで、その西側だから「にし・でんじかた」のようです。(何時代の話かはわかりません、明治かな?)現在の西田地方町に裁判所があるのは偶然か?(笑)
ちなみに東田地方(ひがし・でんじかた)町もあります。富山城(旧県庁)から見ると西田地方町は南西、東田地方町は北東に位置するので、まぁまぁ、嘘ではなさそうな説です。

【総曲輪】
「そうがわ」。現在お城ブームで、あまりに有名なので解説する必要もないでしょうが・・・
お城の中の、軍が駐屯する平らな場所を曲輪(くるわ)といいます。郭(くるわ)とも書き、一の丸のことを「主郭」ともいいますね。近世城郭(江戸時代のお城)では一番外側の曲輪に商人街を置いたそうで、そこを総曲輪と呼んだそうです。だからまぁそのまんまですね。今の富山城はいかにもナンチャッテな感じですが、外堀などを埋めまくった結果であり、かつては金沢城にも負けないけっこう広い城郭だったようです。
ちなみに記憶では、現在の総曲輪商店街自体は昔の富山城のお堀を埋め立てた上にあったはずで、総曲輪そのものではないかも(^^;


・・・以上、富山の地名の雑学でした。