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Dead Beat Descendant ‐ THE FALL blog in Japan

上村彰子が書きたいザ・フォールの話

【告知】7月28日(金)The Fallとポスト・パンクがかかるBarイベント開催@幡ヶ谷CLUB HEAVY SICK

2023-07-16 15:50:47 | The Fall & me

2週間後、7月28日(金)幡ヶ谷のClub Heavy SickにてThe Fallとポスト・パンクをかけまくるBarイベントを開催します!狂ったようにフォールをかける人もいるけど(私)、ポスト・パンクのDJと言えば…なイトウさんや、数々のイベント出演し何でもかけられる敏腕DJの飛びカトウさんやSeanさんが思い思いのポスト・パンクをかけるので、「フォールばっかはきついわ~」という方も安心して来てくださいね(ていうか、このブログ読んでる人にまで「きついわ~」と思われちゃうとしたらフォールかわいそうだけど)

6月の24日にヘビーシックのブッキング担当をしているツネグラム・サム氏に「何かやりませんか」と言われて「フォールのイベントやりたいと思ってたんだよね」と即答してやることにしました。長いことフォールファン仲間であるイトウさんに聞いたらすぐさまやる〜と言ってくれて、25日にベテランDJ飛びカトウさんを紹介してくれました。26日に告知ビジュアル作って「見にくいかな?」って聞いたら伊藤さんが「見にくいっちゃ見にくい」と言うので27日に直して、面白いから動くのにしたら、「カッコよすぎてDJ3人じゃもったいないかも」と若手DJショーン君も紹介してくれた次第です。このスピード感好き🤩

何人かに「サイキック・ダンスフォールなんて、イベント名かっこいい」と言われましたが、The Fallの曲名のまんまパクリです。鈴木さんとのトークイベントも同名←フォールファンの某ラジオのディレクターさんのひと言でそう名付けた。せっかくなんで1979年のライブのかっこいい音声はっときます。

The Fall - Psykick Dancehall (live)

フォール思いっきり聞けるイベントに行きたい~と思ってたけど、そんなの日本でないし、待っててもないだろうし、自分が聴きたいからやるんですけど。やれるとなったら心に余裕も出てきて「思い思いのポスト・パンク」っていう定義と解釈は面白いのではないかと欲も出てきました。そんな自己都合解釈の「ポスト・パンク」もかける気満々になってます。フジロックタイミングだし、その辺りも意識…でもフォールかけまくるのに変わりはないですが!元某ガレージ/ポスト・パンクバンドのレジェンドも「行く~」とおっしゃってくれているので、お楽しみに。プレミアム・フライデー(死語)に、お気軽に一杯飲みに来てください!


Pavementに行ってもThe Fallのことを考える女

2023-02-27 21:21:34 | The Fall & me

2月15日(水)、Pavementの再結成ライブを観にTOKYO DOME CITY HALLへ。開演時間ギリギリに入ると、座席指定のアリーナはぎゅうぎゅう詰め。

マルクマスの顔はほとんど見えないけど、昔と声がまったく変わっておらず、Slanted and EnchantedからのSummer Babe(20歳だった時の曲…)にはうっとり。大好きなCrooked Rain, Crooked RainからのCut Your HairやRange Lifeでも胸アツ。東京1日目はSilence Kitが聴けなくて残念だったけど…。

で、どんな時も~どんな時も~♪頭の片隅にあるのはThe Fall。

実はスティーブン・マルクマスは熱心なThe Fallファンで、マークの死後ピッチフォークのインタビューに答え、Slanted and Enchantedにはマークのやり方を完全にパクった…じゃなかった踏襲した曲が3、4曲あると認めています。1曲は…Conduit for Sale! かな。I'm tryin', I'm tryin',I'm tryin', I'm tryin',I'm tryin', I'm tryin'と一緒に歌う気満々で待っていたのに、私が行った日はやりませんでしたw 

あとの2、3曲はなんでしょう。

あ~Two Statesは決まり?

No Life Singed Her のシャウト?

Trigger Cut/Wounded-Kite At :17

Zürich Is Stained 

Our Singer あたりのわざと外したような歌い方??

Perfume-V 

In The Mouth A Desert (大好き★)あたりのザラザラ感?

Jackals, False Grails: The Lonesome Era 

Fame Throwa のドラム?

…てか、ぜんぶじゃねーかよ。

3、4曲じゃなくて。(Summer BabeとHereさえ似てる気がしてきた…)

マルクマスはそんなに大好きだったマーク・E・スミスに会うことができなかったそうです。再結成ライブで一度だけ会う機会があったのに、あまりにシャイで面と向かえなかったとか。そんな健気なマルクマスの一方でマークは、ペイヴメントがフォールに酷似していることについてインタビューで問われると

「1985年のザ・フォールみたいなもんだろ?ヤツらの頭の中には、オリジナルなアイディアがないんだ」

と一蹴…。

1993年、彼はMelody Makerには

「みんなが『これ聴いてみろ』と言って近づいてきて、ウォークマンでペイヴメントのアルバムを聴かせてきた。俺はただ 『こりゃ俺たちのライブテープだろ?1987年のオランダかどっかのライブ録音か?これは俺が書いたドラム・リフじゃねーか』って言ったね」

と答えてます。1985年のフォール、1987年のオランダのライブ、、、と罵倒に具体性がありますね。

いやいや、私は水道橋で演奏するマルクマスを見ながら(よく見えないけど)、これが好きで好きでたまらない、一生やっていたい、みたいな可視化された真摯な音楽愛が見える!!と思い、ただのちゃっかりパクり屋なんかじゃないと感じましたよ。2023年、改めて確認できてよかった。

最後に、マルクマスの物まね…じゃなかった、真剣すぎるマーク・E・スミス聴いてください。

ピール・セッションでのThe Fall “The Classical”のカバーです。コロッケのロボット五木ひろしとか、清水アキラの谷村新司や研ナオコかってくらい、本家過ぎて本家の超存在になっている凄いカバーになっていると思います。

ただのパクリ野郎には、これはできない。

水道橋のマルクマスを見ながら、彼のThe Fall愛とこのカバーに思いを馳せ、なぜか連鎖的に清水アキラを思い出していた女は私くらいだったろう。

Pavement - The Classical (Peel Session)


名古屋に行ってもThe Fall活動をする女~RECORDS SHOP FILE-UNDER表敬訪問

2023-02-27 20:02:30 | The Fall & me

労働ライブ廃人労働労働ライブ労働労働ライブ廃人労働労働…の連続&野暮用諸々&確定申告で忙しくてすっかり書けませんでした。でもそんな中でもフォールについて書きたいことたくさんの2月だったので、備忘録的にも書いておきます。

まず2月12日(日)、名古屋までお年玉GIG 2023 the原爆オナニーズ40周年@名古屋CLUB QUATTROを観に行ってきました。 the原爆オナニーズは40周年、私も16の時から好きなので大好き歴35周年行事みたいな感じでした。

名古屋CLUB QUATTROは満員!

何よりも驚いたし胸アツだったのは、久しぶりのライブでも、激しい客よりも元気で、昔からまったく変わらないTaylowさんでした。
「おじいさんなもんでさ、高齢者なりにそれなりに暴れたいじゃん」
と言って、こんな跳ねる高齢者いる??
(麟子さん撮影)

Taylowさんは飛ぶわ、人は雨のように降ってくるわ…の中思ったのは、どうしてTaylowさんとほぼ同い年のマーク・E・スミスは死んじゃったのかな、ということでした。残念でたまらない。こんな風に飛べとは言わない。でも、やっぱりもう少し生きてステージにTaylowさんみたく堂々と立って、主張をしまくってほしかった。やっぱり人間、やりたいことをやり続けるには、生きてなきゃだめだと切実に感じました。

暴れた暴れさせた、アンコール5曲はすべて反戦の歌でした。こういう主張をし続けるために目の前にいるんだなと納得しました。

  • GO GO 枯葉作戦
  • アナザー・カントリーズ (デッド・ソルジャーズ)
  • ソサエティーズ・チャイルド
  • アンダードッグ (オン・ザ・フロア)←「ちゃんと意味を理解して聞いてください」と念を押してきて先生ぽい
  • (ホワット・ハヴ・ウィ・ゴット)ファック・オール
40年の一貫性。さらに原爆のメッセージが響く世界になってしまったのはイヤだけど、こんなおじいさんがいてよかったとつくづく思いました。

The原爆オナニーズが「やり続けること」を掘った素晴らしい映画『JUST ANOTHER』(AMAZONで配信中)も観てみてください。パンクも原爆も特別好きでなくても、中年は全員観るといいんじゃないかな。2年前になりますが、The 原爆オナニーズとこの映画について私が書いた記事
も合わせて読んでみてください。私の人生3大よく書けた記事(当社比)のひとつだと思うので。人間が「やり続けること」って何なのか、私も追究してみました。

えっ、なにこれ、、the原爆オナニーズブログなの!?…って? 

いいえ、The Fall ブログです。
ご安心くさい。私は名古屋に行ってもザ・フォール活動を欠かさない女ですよ!!(こっから本題)
終演後、同行の麟子さんにおつきあいいただき大須までタクシー飛ばしてRECORDS SHOP FILE-UNDERさんに行きました。

というのも、こちらの店主山田さんは、伝説のザ・フォール公演、京都・大阪の整理券ダブル1番をお持ちだった方なのです!

FILE-UNDERさんTwitterより↓

その店主様のThe Fall愛と、時折あげてくださるレコードコレクション、蓄積された情報量をTwitterでかねてから拝見していて密かに尊敬していました。ぜひ会いたくて突撃。ていうか、表敬訪問!!

FILE-UNDERさんTwitterより↓

すると…お店はすでに閉まっていました。そこで諦めるような性格をしておらず、失礼ながらドアをガチャガチャしていると、電話中の店主様がドアを開けてくれました!暗闇の中あらわれたどう考えても不審な私たちを、「ああ、今電話中なんで入って入って」と迎えてくれました。うちら、よく来る近所の人か!?…なわけはなく、SNSでもひと言も話したことのないストレンジャーなのに…どうやら私のことは知っていらっしゃってw 

まるで私が来ることを予知していたかのように自然に受け容れてくれました。The Fall愛は、時空や説明を超えて、魂レベルでつながるのですねw

そんなこんなで仲良くおしゃべり。1990年のThe Fall来日時の「居眠りして目を開けると、そこはマーク・E・スミスだった(隣にいた)」という『雪国』ばりの文学的仰天エピソードから名古屋音楽界隈からイギリスから何から1時間くらいインテンシブなお話しをしていただきました。

お店は「アザー・ミュージック」みたいに素敵なので(ポスター貼ってあった)ついレコード欲しくなって持ってるフォールを2枚買っちゃった。

店主様山田さんと↓
 
ぜんぜん話足りないので、また行きたいです。レコードも買いたい。

今はお店は3月15日まで休業中なようなので、再開したら行ってみてください。フォール好きじゃなくても(てかそれがふつう)、すごい品ぞろえで素敵なお店です!
原爆観れただけでも感無量でしたが、やっぱり人間も歩けばフォールに当たる(いや、ふつう当たらない…)を実感できた、スペシャル過ぎる一日でした。

ド級の山田さん訪問があまりに楽しかったので、これからも日本各地に棲息している(に違いない)The Fallファンに会いに行ってみたいです。

Yu Igarashi Photo Exhibition “LONDON CAN YOU WAIT” ~で、まさかのザ・フォールな話。 

2023-02-06 20:55:22 | The Fall & me
(このブログには、日常で出会ったザ・フォール関連matterも記録しておこうと思います。カテゴリーはThe Fall& me 笑)
土曜日、目を覚ますと音楽知っ得情報発信地Iさんより、メッセージが。
かいなさんお久しぶりです。あと2日しかないのですが、、、ギョムレンです。
千駄ヶ谷のTerritory Galleryで五十嵐有さんの写真展が開催されていてblack midiの写真も何枚か展示されています。五十嵐さんがコロナ前にWindmill Brixton界隈で撮った写真が主で近年のあのあたりのポストパンクシーンがかなりリアルにみれるかんじでした!お時間あればぜひ!

寝ぼけててなんのことかよくわからず、「今日はダメだし、明日日曜日は仕事だしな」と思いつつ調べたところ、この写真展でした。
Yu Igarashi Photo Exhibition “LONDON CAN YOU WAIT” 
“LONDON CAN YOU WAIT”なんてGENEみたいだし、black midi見れるなら行けたら行こう~と思ってたら最終日2月5日日曜日、スムーズに仕事が終わり、行けました。

で、いきなりまだライブ始めたばっかの頃のフツーぽい(今もフツーぽいけど)若いblack midi(今も若いけど)見れて嬉しい~。
と見てまわりつつ、キュレーションを担当されたishidomaruさんと話しててblack midi好きなんですよ、ポストパンクが好きでザ・フォールも好きで~なんて話してたら、あろうことか、ザ・フォールまぐが出てきた。
しかもまさかの(マイナーな)The Real New Fall LP Formerly 'Country On The Click'(2003)マグカップを持つイケメンというシュールな図。

人間も歩けばザ・フォールにあたる!人間到る処ザ・フォールあり!!(…いや、ふつーあたらないし、ないけど)

ishidomaruさんは、DJマルセルがひたすらフォールのレコードや本コレクションを自慢しているMVまで教えてくれました。ずっと「マーク・E・スミス、マーク・E・スミス」と言っててマークの声のサンプリングも入ってて憑りつかれてる、凄すぎる!!
DJ Marcelle Another Nice Mess Two Walls OFFICIAL VIDEO  
ちなみにおばあさんのかぶりものしてボンゴ買ってたり、タロットカードしているのはマーク・E・スミスオマージュです。

おばあさんボンゴはこの「もし俺とボンゴ担当のお前の婆ちゃんがいたら、それでザ・フォールだ」というマークのコメントから↓
わけわからないけど、なんなの~!!友だちになれすぎる。レコードにも合成チックなマークとのツーショ。2018年6月発売(マークの死後すぐ)なのでDJマルセルからの追悼だったのかもしれない。ほんと、知りませんでした。行ってよかった。
そして、話は写真展に戻ります。知らない間に大気圏外まで出てた。

写真の中には、2017年1月、ザ・フォールのロンドン、ケンティッシュ・タウン、O2フォーラムでのライブ観客の写真が!Black Country, New Roadのルイス・エヴァンズ(左)。
右上はこの子たちの出したゴミだそうwww

↓このライブですね。GIRL BANDやGOAT GIRLなども出ており、2017年でも楽しいだろうけど、2023年の現在においては加速度的に豪華なラインナップ。
フォールのライブシーン。マーク、この数ヶ月後のライブでは病が進み立ててないですが、この時はちゃんと立って歌っていたと目撃者の五十嵐さん。ポケットにチリ紙みたいにたくさん歌詞のカンペをいれていたそう。
The Fall, Mammoth Festival, Forum, Kentish Town, London, 28/01/2017
この1年後には死んでしまうとは、知らずにみんな観ていたのかと思うと泣けてきました。マークに限らないけど、ほんと一瞬先が生か死なんてわからない。

ライブは観れるだけ観た方がいいし、とにかく何でもやれるだけやった方がいい。若いある1日にロンドンでザ・フォールを観たこと、まあ忘れてはないと思うけど、あれすごいことだったって年とればとるほどしみてくるんじゃないかな(この子たちが年とった時脳内に勝手にチャネリングw)。この写真見てそんなことまで思ってしまいました。

同じ日のGOAT GIRLだそう。キラキラがDADA洩れしてる。 
ライブ写真は多々あれどまとまって「何でもない子たち(この子らは何でもなくなくなるが)」を撮った写真はほんと貴重。有さんに「撮るのにずっと一緒にいなきゃなんないの大変じゃないですか」と業務目線の変な質問聞いてしまったが、「待ち時間とかも多いし、ライブ終わってもみんな帰んないし~」と、一緒の空気吸いながら「一部」になって撮ってるからこんないい顔の写真撮れるんだろうなと思いました。

五十嵐有さんは、体が動かなくなるまでは、一生、ヤングヒーロー達を撮り続けたいとのこと。今後にもかなり期待です。

アーティストのライブの写真はよく見るけど、そこいら歩いてるその後のバンドメンバーとか観客とかその場の空気まで伝わってくる写真ってなかなかまとまっては見られないので(特に年月がたつと)、こういう写真は未来の文化遺産だと思いました。今もだけど。
フォトブックも買って、電車で見てたら乗り過ごしました。

思いがけずフォールネタとれだかもすごかったし、情報をくれたIさんには感謝の日曜日でした!

なぜ私がザ・フォールのブログを始めるのか。読まなくてもぜんぜんいいこと。

2023-01-30 13:38:00 | The Fall & me

モリッシーのブログをやってる上村ですが、ザ・フォールのブログも始めたいと思います。モリッシーブログでさえ、最近定期的に更新してないのに気がひけていたのですが、もうひとつ始める理由があります。

私は、音楽ライターの鈴木喜之さんにお誘いを受け、2022年8月21日に「夏のPsykick Dancehall~今日から聴きたいTHE FALL講座」というトークイベントをやりました。鈴木さんはだいぶ前から、「上村さんのフォールの話を聴きたい」と言ってくれていた奇特な方でした。夜中に電話して、鈴木さんの耳元でフォールの話をし続けるならまだしも(それはホラーイタ電)、まさか、イベントで、人を呼んで、話すことになるとは思わなかったんです。ていうか、人、来る!?と思っていました。ぶっちゃけ、来なくたっていいわけです。鈴木さんは聴いてくれるわけですから。まあ、それならコメダ珈琲ででもいいわけですけど。

「夏のPsykick Dancehall~今日から聴きたいTHE FALL講座」鈴木さんの作ってくれたイベント紹介文
 
いつの間にやら、現在の音楽シーンはあっちもこっちもザ・フォールの末裔だらけ!? もはやジョイ・ディヴィジョンもギャング・オブ・フォーも超えて、ポスト・パンク・リバイバルの最重要リファレンス先となった感もあるザ・フォール。フロントマンのマーク・E・スミスは死後4年を経ても、いまだマンチェスターの重鎮としての存在感を増しています。日本では「知る人ぞ知る」存在に甘んじてきたこのバンドの、不思議でコワい世界へご案内。「いったい何がそんなにすごいの?」「どこから、どんな観点で聴けばいいの?」という疑問を持つ方に、2022年ならではの楽しみ方・面白がり方を提案します!



でも、20人弱のハードコアなフォールファンが来てくれる結果となりました。人数的には「立ち見が出て大変」なんてなるとは思ってなかったし、ぶっちゃけ「思っていたより多い!」と思いました。怖いフォールファンが「おめーに何がわかるんだ、コ〇すぞ」とか言って来たらどうしよう…と思ったけど、そんなことはなく、皆さんすっごく熱心に好意的に聴いてくれて、「またやってください~!」「どっかに内容を書いてください」という方までいました。鈴木さんにも「今日のをnoteに書くように」と言われたし、「やるやる!」と思ってました。なんかフォールのことをまとまった形で書いていくぞ!とか思っていました。

でも私は、書きませんでした。イベントで使ったパワポを貼って「どもども~こんな感じでやりました~」だって、立派な投稿です。それでナイスと思ってくれる人もいるでしょう。でも私はだてに、この寒々しい荒れ地を歩くような気持ちで、長年フォールファンをやってきたのではない、書くならちゃんと書きたいとか、面倒なことを思うタチで、書けませんでした。他の仕事にも追われ、すっかり放っていました。

それが、鈴木さんから2022年11月に、年明けにまたフォールイベントをやりましょうというお誘いがありました。私は乗り気だけど凄いスーパー乗り気というわけでもなく、というのは「この前全部のキャリア概要語っちゃったし、もう語ることもないんだけどな」と思ったわけです。もしやるなら、最初の方、1970年代のフォールのアルバム解説でもすっべか?それって話としておもしろいんか??と自問自答していました。

2023年明けくらいから、じゃあ1970年代から1980年の最初のフォールのアルバムってことで、聴きながら構成考えるか、といろいろ改めて研究を始め、壁にぶつかりました。

 
ファンとして積み重ねてきた「フォールはここがかっこいい!」とか断片的な知識やネタはあるにはある。でも、個人のファンがそれを頭の中に持っているのと、「え!そうなの」「そんなおもしろいのか」という意識を他者、しかも一度に複数に引き起こさせるまでのものにすることは、まったく別物だと気づきました。

私は小学生の頃から「話がおもしろい」と言われる。自分でも自分の話を思い出してゲラゲラ笑ったりしています(気持ち悪い)。私の叔父が死ぬほど話の面白い人で、それを小さい頃から聞いていて、「なんか言うならつまらないことを言うべからず」という刷り込みがあったのかもしれない、それで話が面白いということが最上位優先事項になった気がします。でも、いくら、そんな道を歩んできた私でも、フォールの話を面白くするなんて無理ゲーではないか?私的には、フォールは面白いとは対極のところにあるから、面白いというのはあるんです。でもそれを人に伝えるには、共有できるコンテクストとか、比喩とか、例が必要だと、つくづく思いました。モリッシーだって、別に面白いはずのものじゃないんですけど、やはり天下のスミスだった人ですから、そもそも人が共有している下地が違うわけです。1を言うと「あ、そうだねwww」と思える、着火点が違うというのかな。ユーモアや共感には、コンテクストがどうしても必要なわけです。

音楽を説明するのに、「ユーモアや共感」なんていらないのではないかとも思う。でも、いまや、ただの情報や解説は、ググれば出てきます。たとえ英語でも機械翻訳すればまあまあ理解できるものになります。そんな「とれ放題」の世の中には水先案内的なフックが必要だと思っています。もちろん音楽にとって一番必要なのは「かっこいい!」という自分の感性や第六感なわけだけど、あまりに間口が狭いフォールにはそういうのがちょっとあってもいいと思うわけです。

でもフォールはマーク・E・スミスはヘンクツ、やたらアルバムがある、どれ聴いていいかわかんない、聴いたはいいけど何言ってるかわかんない、歌ってないでわめいてる、うるさい、怖い、なんかもういいや…というイメージを覆すぜ、というわけではないです。そういうネガティブ?接しにくいイメージはある意味特徴であり、他にない個性なので大事なものです。そんなものをジェントリフィケーションして「キラキラ☆フォール」なんてまったく魅力もない(てか、そんなことすんの不可能)。

じゃあ、どうやって魅力を伝えるか?

2023年1月29日の第2回目のイベントでは結局、第1作から第3作までのアルバムの音楽性やマーク・E・スミスの世界観などを伝えました。それを伝える過程で、自分の中でいろいろつながってきたことがある。それはもしかしたら、「人がわかるコンテクスト」にのせられるかもしれないという手応えがありました。

で、なんでそんなことをするんだろう私は、と思ったのですが、昨今のかっこいいポスト・パンクバンドを語る時に取りざたされたり、色々なミュージシャンが好きと言っているザ・フォールは、今の若い子とかに(もち年寄の子にも)もっと聞いてもらいたいんだと思います。頼まれてもいないし、マーク・E・スミスがあの世で「そんなのbloody hellだ」といいそうですけど。彼がいるのはhell じゃなくてHeavenだといいなと思いつつ、勝手にやっていきたいなと。

そんなわけで、イベントで弾みがついた勢いでこのブログも始めるのでした。10行ぐらいこのブログ書く前置きを書くつもりがなんでこんなに長いんだか!!読まなくてもぜんぜんいいです(って最後に言うな)。