ドラマの視点

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新マチベン 5話6話 オトナの出番 NHK

2007-08-07 | 新マチベン
マチベン最終回(前編後編)は学校が舞台。不良生徒の溜まり場というレッテルを貼られた私立高校に「爆弾予告」が届き、学校と警察は厳戒態勢。予告はいたずらとわかったものの、ひとりの在校生が重要参考人として取調べを受けます。学校はメディアの取材源となり日を追うごとにその激しさが増します。もと新聞記者という肩書きを持つ徳永に白羽が立ち、徳永は学校側の弁護士としてメディアと対峙。

責任を感じた校長は記者会見を開いて世間にお詫びをするというが、徳永は「拘束された生徒の自白も証拠もそろわない段階で行うべきではない」と主張。しかし校長は徳永の制止を振り切り、会見を開くことに。

会見においては、「どんな生徒だ」「家族構成は?」など記者から質問がとんだものの、校長は口を閉ざし、会見を仕切った徳永は「捜査の行方を見守りたい」とあたりさわりなく切り抜けたように見えたが、そのようすを見ていた生徒の担任(新城里美/室井滋)が激情して会見場に乱入。いきおいで「生徒の実名を口走る」という失態を演じた。

メディアは一斉に「生徒の身辺」を伝えはじめ、在校生の杉山は爆破予告の犯人として知れることになった。しかし皮肉なことに……ほぼ同じ頃、警察に拘束された杉山は証拠がそろわないとの理由で釈放となった。そして新たな事件が。

校長が校舎から転落し即死。そのとき学校にいた新城に捜査の手が及び、新城は取り調べにおいて「自白する」という運びに。

しかし転落時、偶然学校にいた徳永は、地面に叩きつけられた校長に抱きついた新城をみて、とても人を殺したあととは思えないと直感。そのうえ新城は不良女学生だったころいまの校長に救われたという過去もあり、「彼女が校長を殺す理由はない」と動き始めます。

やはり新城は無罪でした。その夜、杉山は「なんで俺の名前をいった……」などと新城ともみあい、首にまで手がかかったとき、校長が現場に飛び込んできてふたりのあいだにはいったものの、突き飛ばされ運悪く窓から転落してしまったのでした。

彼女はその事実を封印し、ひとりで罪をかぶるつもりでした。「それでいいのか」徳永はいいますが、「私の口からはいわない」と新城はかたくなでした。

徳永は杉山に自主をすすめますが、けっきょく新城は起訴され裁判ははじまります。しかし「自分の身代わりになって法廷にたつ恩師の後姿にいたたまれなくなった」杉山が法廷に姿を現し、裁判は振り出しに戻ります。

六十代の弁護士、三人が懐深く事件にかかわるという異色の弁護士ドラマ。徳永の情深さと堺田(石坂浩二)の都会的なセンス、岡村(地井武男)の繊細な立ち回り、と、三人三様のキャラクターがぶつかりあい、弁護士の理想郷を描き出すことに成功。最後は体に異常を持ちながら……というベテランの悩みにも触れられ、ドラマは奥行きを持って終着駅にたどりついた。(ドラマの視点)


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