ドラマの視点

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ハケンの品格 第3話

2007-01-25 | ハケンの品格
「ハケン社員の春子」と「正社員で仕事に燃える東海林」との衝突が激しくなりそれが意外な方向へ……。

マグロの販売戦略を担当する東海林は解体ショーによって販路を広げる具体案を提出。マグロの神様と呼ばれる「解体名人、ツネさん」に助っ人をお願いし、百貨店での大掛かりな催しを企画するもののその前夜自分の不注意から名人にけがをさせてしまいイベントは中止になるかと思われましたが、開始時間になると春子が包丁をもって会場に到着。見事な裁きでマグロを引き裂き、正社員らをあぜんとさせます。

会社の窮地を救った春子のその行動は「休日出勤」となり、その功績に報いようとする部長はトクベツ手当てを申し出ますが、「これは穴埋めがきかない仕事をするもの同士(自分とツネさんとの立場をいう)が助け合ったもので会社のためにやったものではない」とそれをはねつけます。

東海林は春子の行動や機転にぞっこんとなり、「ひょっとして自分にほれているのでは……」と意識はべつの方向に走り出し、第三話ラストではバス停で声をかけるなりいきなり、抱擁そして唇と唇とが……。正社員とハケンとの境界線を走り続けるドラマは波乱に満ちたまま次なる展開へ。

またこの三話より、お婿さん探しが目的だという「腰掛OL軍団」が登場。ハケンのプライドに目覚めはじめてきた美雪が彼女らとの一線を自分で築くという行動も。包丁一本で世渡りを続ける春子の心意気が喝采をあびている。(ドラマの視点)

大前春子/篠原涼子 森美雪/加藤あい 里中賢介/小泉孝太郎 東海林武/大泉洋 浅野務/勝地涼 黒岩匡子/板谷由夏 一ツ木慎也/安田顕 天谷リュート/城田優 小笠原繁/小松政夫 天谷眉子/白川由美 桐島敏郎/松方弘樹

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「ドラマの視点」が解説する売れ筋本

「ドラマ的書評」過去の記事

「赤い指」 東野圭吾

「ハリセン刑事」 筏井正樹

「陰日向に咲く」 劇団ひとり

「三毛猫ホームズと戦争と平和」 赤川次郎

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ハケンの品格 第2話

2007-01-18 | ハケンの品格
多様化する労働現場における「派遣社員」と「正社員」とぶつかりあいを描いたビジネスストーリー。第二話は、まるでロボットのように規則正しく緻密な仕事を続けるハケンの春子に、正社員の東海林がなにかとつらくあたります。東海林は正社員という身分で春子に接し、名前も呼ばず「キミ」「アンタ」「オマエ」「ハケンさん」などと呼べば、春子の方も「正社員さん」と名前を呼ばない言葉の返礼。しかし東海林にとっては衝突するほどに気になる女性のようで、得意先回りのお供に春子を指名します。「大事なお客さんだから……」と春子の言動をたしなめますが、売り場主任が春子の顔を見たとたん「あれ大前さん」とばかりすりよっていきます。「伝説のハケン」のウワサは売り場まで聞こえているようで……。

正社員としての誇りを傷つけられた東海林は、矛先をもうひとりのハケン社員である美雪に向け、やきそばパンの買出しを命令したり、コーヒーの注文をとらしたりで「ハケン」との溝を広げます。やがて両者のにらみあいが頂点に達し、二人は、「ホッチキスの留め方を競う」対決を行います。大量の書類を早く正確に閉じたものが勝つという。時間内においてほとんど差がつかない状況ですすみ、最後の書類をミスった春子が負けてしまうという展開でしたが、じつは春子はわざと負けて「正社員の面目を保ってあげる」という大人の選択をしたのでした。ハケンもう一方である美雪は、あいかわらずもたもたする仕事振りを続け、それなら「あんたはいやし系になれば……」というアドバイスを受け、そういう生き方もあるのか、と実践に移ります。正社員に道を譲って裏方に回ろうとするハケンの「職人肌の立ち回り方」がなんともおかしく描かれた一作。

「春子のパフォマンス」や「時計裏からのカメラアングル」など、脚本を盛り立てようとする演出陣の懲り方も心地よく。ハケンの威力がますます気になる展開だ。(ドラマの視点)
大前春子/篠原涼子 森美雪/加藤あい 里中賢介/小泉孝太郎 東海林武/大泉洋 浅野務/勝地涼 黒岩匡子/板谷由夏 一ツ木慎也/安田顕 天谷リュート/城田優 小笠原繁/小松政夫 天谷眉子/白川由美 桐島敏郎/松方弘樹
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ハケンの品格 第1話

2007-01-11 | ハケンの品格
決められた時間内で効率よく働くことを信条とする女性(春子/篠原涼子)が、派遣社員となって一流企業の職場に飛び込み、「派遣のくせにえらそうに……」「残業もしないなんて……」と陰口を叩かれながらも仕事の熟練度を見せつけ、「正社員」と「派遣」の境界に波紋を投げながら「働くことにおける意義」や「余暇で自分を磨くことの幸福感」などが描かれる模様。

第一話は、海外休暇をとっていた春子が、大企業の部長(桐島/松方弘樹役)の指名によって日本に呼び戻され、同じ派遣会社の美雪(加藤あい役)とともに、その会社に勤務することになるものの、「残業なし。昼食は一時間。三ケ月以上は働かない」という条件を提示し、他の社員からは白い眼で見られ、逆境の中でも、「ワープロは速射砲」「お茶をいれたら香りがたち」「頭の回転も速く……」まるでロボットのような無駄のない動きで職場の空気をかえていきます。

同じ派遣会社から同じ職場に送り込まれた美雪は、大学を卒業したものの、就職が決まらず、面接のときには「あれもできます。これもできます」と風呂敷を広げたものの、やはりボロが出て、あげくのはてには重要書類をタクシー内に置き忘れるというポカも。春子の力強い逆転でどうにか首はつながったものの、好対照に見える二人の仕事振りがどのような軌道を見せるのか。先が読めない展開となっています。

春子の過去が少し明らかにされています。銀行に勤め、リストラでつらい体験をした……というむかし。アフターファイブは仕事を忘れ、自分を楽しむ(あるいは鍛える)。彼女がこのような強い心臓になるまでの神秘も気になるところ。社会派の部類に入るドラマとなりそうですが、大型シャベルカーが登場し、フラメンコでリズムをとる春子の表情はまさに劇画風。退屈を吹き飛ばしてくれるような勢いのある出だしでした。(ドラマの視点)

大前春子/篠原涼子 森美雪/加藤あい 里中賢介/小泉孝太郎 東海林武/大泉洋 浅野務/勝地涼 黒岩匡子/板谷由夏 一ツ木慎也/安田顕 天谷リュート/城田優 小笠原繁/小松政夫 天谷眉子/白川由美 桐島敏郎/松方弘樹
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