直木賞作家、東野圭吾の最新作(単行本)。1999年12月「小説現代」にて掲載された作品をあらためて書き下ろしたもの(発売は2006.7.25)。嫁と姑の対立、行き過ぎた母性愛、崩壊する家庭……いまにはじまったことではないこれらの問題に正面から切り込み、なおかつサスペンスとしての満足度も見たしてくれる一冊。
一人っ子を甘やかす母親の家庭には、痴呆ぎみの「姑」が同居し、外からみれば一見普通の家族、しかしそのじつは互いの主張を譲らない空中分解寸前の集合体。この家の一人っ子で長男が自宅にて少女を殺戮。その隠蔽をはかろうとする母親が、父親を取り込んで死体を公園に運び、息子には口止め、ゆきずりの犯行に見せかけたが、死体に自宅庭の芝が付着したことから刑事にマークされることになり、苦しんだあげく、両親はそれを「ボケた母親(姑)がやったことにする」という口裏あわせを実行。息子とも綿密な申しあわせを行い、うまくいくかと思われたが……意外な展開に。姑の生態が事件の鍵を握り、ガラスのうえで暮らしていた家族は、深い悲しみのそこへ落ちてゆく。
テーマはずっしりと重いが、会話は現代家族の空気をぴたりと捉え、臨場感ある作品に。ところどころ生活感がにじむ文体は、直木賞連続候補で辛酸をなめた苦労を感じさせるところ。読みやすいということがなによりの名作であるという証拠か。(ドラマの視点)
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①書籍満足度 ……10
②エンターティメント性 ……9
③映像化期待度……9
合計「28」ポイント

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