病院の門を抜け,案内図に従って病棟を目指す.
ナースステーションの様なところで彼の名前を告げ,面会の意を伝えた.
小さなロビーで少し待たされた後,看護士さんと共に病棟へ.
ロックされた扉の向こうに、また扉.
当然だけれど、窓には鉄格子,ドアには全て南京錠.
「ああ、【閉鎖】なんだ」と、妙なところで実感する.
二人用の相部屋.
窓側のベッドに、彼は座っていた.
「あやさん(私)が来てくれるから、着替えちゃったよW」と、笑う彼.
数日前まで、ICUにいたとは思えない姿.
「相部屋のヒトは?」と聞くと、なんと私の為にお茶を煎れに行ったという.
陽当たりの良い部屋の床に座り、とりとめも無く,いろいろな話をした.
彼女の事,サイトの事,そしてこれからの事.
「誰にも聞かれる事が無い」という安心感からか、気負う事無く素直に言葉を紡いだ.
穏やかな時間だった.
「いつも、こういう気持ちで【社会】と関われたら良いのにね」と笑った.
ひとしきり話した事,同室の方が戻って来た.
信じられないくらいの時間をかけて私の為に煎れてくれたお茶を頂き、簡単に
挨拶をした.
詳しい病状は聞かなかったけれど、閉鎖病等にいるという事は「社会で生きて行きにくいヒト」なんだろう.
もの静かな同室人は、都内の音大に通う学生さんらしかった.
幼子のような優しさを感じた.
その後,庭に出て,少し散歩をしながら話した.
いつも以上に彼は饒舌だったけれど、いろいろな事を急に話して,少し疲れさせてしまったかもしれない.
「あんなの事を心配してるヒトがこんなにいるんだよ」と知らせたくて持参した,BBSのプリントアウトを束を渡して帰ろうとした.
ホチキスで留めた束を受け取った時,「これが欲しかった」と笑った.
「みんなの言葉」が欲しかったのも事実.
でも、彼の欲しがったものは、紙束を留めたホチキスの針.
「全部取り上げられて,なんにも無くてさ.切らないと苦しいんだ」



ナースステーションの様なところで彼の名前を告げ,面会の意を伝えた.
小さなロビーで少し待たされた後,看護士さんと共に病棟へ.
ロックされた扉の向こうに、また扉.
当然だけれど、窓には鉄格子,ドアには全て南京錠.
「ああ、【閉鎖】なんだ」と、妙なところで実感する.
二人用の相部屋.
窓側のベッドに、彼は座っていた.
「あやさん(私)が来てくれるから、着替えちゃったよW」と、笑う彼.
数日前まで、ICUにいたとは思えない姿.
「相部屋のヒトは?」と聞くと、なんと私の為にお茶を煎れに行ったという.
陽当たりの良い部屋の床に座り、とりとめも無く,いろいろな話をした.
彼女の事,サイトの事,そしてこれからの事.
「誰にも聞かれる事が無い」という安心感からか、気負う事無く素直に言葉を紡いだ.
穏やかな時間だった.
「いつも、こういう気持ちで【社会】と関われたら良いのにね」と笑った.
ひとしきり話した事,同室の方が戻って来た.
信じられないくらいの時間をかけて私の為に煎れてくれたお茶を頂き、簡単に
挨拶をした.
詳しい病状は聞かなかったけれど、閉鎖病等にいるという事は「社会で生きて行きにくいヒト」なんだろう.
もの静かな同室人は、都内の音大に通う学生さんらしかった.
幼子のような優しさを感じた.
その後,庭に出て,少し散歩をしながら話した.
いつも以上に彼は饒舌だったけれど、いろいろな事を急に話して,少し疲れさせてしまったかもしれない.
「あんなの事を心配してるヒトがこんなにいるんだよ」と知らせたくて持参した,BBSのプリントアウトを束を渡して帰ろうとした.
ホチキスで留めた束を受け取った時,「これが欲しかった」と笑った.
「みんなの言葉」が欲しかったのも事実.
でも、彼の欲しがったものは、紙束を留めたホチキスの針.
「全部取り上げられて,なんにも無くてさ.切らないと苦しいんだ」



