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てつがくカフェ@いわて

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「サンダカン」という固有名

2013-07-24 17:00:12 | 文化

以前八木君がブログで紹介してくれた『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』ですが(チェルノブイリに関する内容は読書カフェでやるので触れませんが)、改めてページをめくってみたらある固有名が目にとまりました。

『サンダカン』

「チェルノブイリから世界へ」(p.53)という章で、08「性と人権を巡る旅 サンダカン、ゲイラン」(P59)と題されている記事があります。サンダカンとはマレーシアにある地名、ゲイランはシンガポール政府が認めた外人売春婦の管理地であり、巨大な公娼地区だそうです。

引用します。

「最近、いわゆる従軍慰安婦を巡って議論が交わされているが、ほんの150年ぐらいの日本では、いわゆる¨売春婦¨が国策として輸出されていたことを知っている若者は驚くほど少ない。これは¨からゆきさん¨と呼ばれる人たちであり、熊本や長崎の貧しい島々の出身者が多くを占めていた。・・・・日本史における暗部であり、からゆきさんの故地ですらこの史実を教えてはいない。わずかに、口之津歴史民俗資料館の一部展示や、『サンダカン八番娼館』(山本朋子著)のルポルタージュとその映画くらいしかこの問題に触れることはできない」

私がなぜこの固有名『サンダカン』に目を留めたかというと、以前とても尊敬している一関の友人に、上記の本『サンダカン八番娼館』を読むことを薦められたからです。

彼女はとても頭の切れる賢い女性で、大学院ではアリス・ウォーカーという作家の研究やジェンダー研究をしていました。ホント彼女の感性と知性は素晴らしいです。震災当時も彼女も被災者であるにも関わらず、私に向けてくれた理性的な力強い「言葉の力」のおかげで、前だけを見ることができました。

そんな彼女から教えていただいた、たくさんの事の内のひとつがこの『サンダカン八番館』という衝撃的な本でした。

海を見下ろす高台に作られたサンダカンにある¨からゆきさん¨たちのお墓には、御弔いに訪れる日本人が後を絶たないそうです。異国の地で亡くなった無名の娼婦を悼むという行為は世界的に見ても珍しいそうです。

再び「チェルノブイリ・ダークツーリズムガイド」からの引用で閉じます。

「まずは、この映画を見ていただき、ボルネオの地で娼婦に身をやつさざるをえない状況を想像してほしい。そして、可能であれば、このサンダカンの地を訪れ、今も残る彼女たちのお墓に花を手向けてほしい。・・・売春は、単に「売りたい、買いたい」といった需要と供給で発生するのではなく、社会システムの中に組み込まれている。性と人権を考えるきっかけを得るためだけにでも、この二つの地を訪れる価値は十分にある」

『サンダカン八番館』の映画についてはこちら

http://www.youtube.com/watch?v=H5B0G3O6fjg

本はこちら。

http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%80%E3%82%AB%E3%83%B3%E5%85%AB%E7%95%AA%E5%A8%BC%E9%A4%A8-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%87%E5%BA%AB-147-1-%E5%B1%B1%E5%B4%8E-%E6%9C%8B%E5%AD%90/dp/4167147017


(加賀谷)