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同人サークルA-COLORが北海道をうろうろしながら書いているブログです

星を追う子ども

2011-11-09 20:35:42 | 映画-2011年

「よくできた娘さんじゃ」
『ほしのこえ』でデビューした新海誠監督。一度は新海監督の作品を見たいなと思っていたら、北大映画館で『星を追う子ども』が上映されることに。
北大映画館にも行きたかったし、新海作品も見たかったし、というわけで、いろんな期待を込めて見てきました。

作品にも監督にも、まったく予備知識がない状態で見たんですが……ジブリっぽいね、というのが最初の感想。
ネットで調べてみても、そういった意見はかなり多いようです。
そして、新海監督もそれを認めています。
星を追う子どもは、ジブリに影響を受けたか? - 新海誠インタビュー

というか、この作品は従来の新海作品とは毛色が異なっているんですね。

ジブリとの比較については、他のレビューに譲るとして。
どうしても気になった点に、以下ネタバレを含めながら触れていきます。

スッキリしない
この映画の感想はこれに尽きると思います。
ジュブナイルというか、思春期特有のモヤモヤした心理とか行動原理、というのはわからなくもないのですが。
でも行動原理が、いまいちピンとこないというのは正直、感情移入しづらいです(たとえばアガルタに行く理由が「寂しかった」っていうのとか)。
ベタでも良いので反抗期的な態度を取るなどの描写があったら、感情移入しやすかったのかもしれないんですけどね…。

登場人物が多すぎ
意味ありげに登場する人物が結構多いのですが。
あんまり物語に深く関与しない、っていうか、わりとどうでもよかったのも辛かったです。
たとえば、シンがアガルタで別命を受けたとき、彼を追いかけてくる女の子がいるんですが。
彼女は、ここで彼への不安を口にするだけで、その後一切登場しません。
そもそもシンに命令する偉そうな人も、このシーン以降は出てこないです。
この映画のキャッチは「それは、"さよなら"を言うための旅」ということなので、もしかすると「再会」を避けていたのかもしれませんが…。

悪役が悪に徹しきれない
登場人物は多いけど、ムスカのようなドクズはいません。
みんな、それぞれに事情を抱えていて、芯まで悪には染まっていません。
なので善きにつけ悪しきにつけ、それなりな行いに対して、それなりな報いしか受けません。
劇映画が勧善懲悪である必要はないと思います。
ただ悪役が映えず、「それだけ?」っていうオチになってしまうのも、いかがなものかと。

ラストが…
ジブリ作品と比較されやすい本作ですが、『天空の城ラピュタ』のラストを見ていて、ふとこんなことを思いました。
ラピュタが崩壊した後、空賊一家に迎えられるパズー。
最初は敵対していたはずなのに、やがてお互いの心が通い合い(プラス財宝目当てで)、空賊一家はパズーの帰りを待っていたんです。
そして最後は、パズーと空賊一家は空で別れて物語は終わります。
この別れは、敵対していたから離れたのではありません。パズーが成長して、もう空賊の元にいる必要がなくなった(そして自分の土地でシータと一緒に暮らす)からです。
シーンとしては非常に短いのですが、この別れのシーンで子ども達の成長や空賊一家との心の交流、そして語られていない主人公達の将来が描かれていて、ホントに良いシーンだなと思ってます。

で、本作はというと。
映える悪役がいなかったけど、その代わり得られるものも特になし(失ったのは先生の希望と目玉)。
命がけで降りたはずの崖には迂回路があって、帰りはあっさりと帰れてしまう。
アガルタでの出来事が、なにかを物語ることもなく、今まで通りの日常がある。
ここに意味を持たせることができるのかもしれませんが、オレはなんともスッキリしない気持ちでした。

星を追う子ども』(映画館)
監督:新海誠
出演:金元寿子、入野自由、井上和彦、他
点数:4点


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