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同人サークルA-COLORが北海道をうろうろしながら書いているブログです

時をかける少女(2006)

2006-11-05 23:05:55 | 映画-2006年

「身体、頑丈だな~」

 公開当時は『ゲド戦記』とかのあおりを喰ったせいもあったのか、情報の露出も上映館数も少なくて、あんまり印象に残ってなかったんだけど。
 その後のネットとかの口コミの反響の大きさから、これは傑作らしいと知ったんだけど、時すでに遅し上映は終わってたんですよ。
 あ~あ、と公開していたところ、遅ればせながら札幌でまた上映することになりました。ってなわけで、早速観てきましたよ。
 ちなみに昔の『時をかける少女』(原田知世のヤツね)は観てないです。
 そんな人が、この映画を観た感想です。

 マジで凄かった! 期待以上に、ホントにおもしろい!
 笑いあり、涙あり、娯楽映画としての全ての要素を兼ね備えている。
 ラストは決してベストなハッピーエンドとは言えず、ちょっとほろ苦いんだけど、だけどすっきりさせてくれて、観て「よかった!」って心から言える傑作。

 原作(原田知世版)から20年後の世界という設定から始まる。そういう意味では、原田知世版の正統後継作とも言える位置づけ。
 でも、特にそのことが明示されることはないし、原作をまったく知らなくても楽しめる内容になっている。
 タイムリープ(時間を超える能力)という設定のため、時間軸はかなりぶれるんだけど、主人公・真琴の意識はずっと繋がっている状態なので、特に混乱することはないはず。

 で、冒頭からの真琴のズッコケ具合ってのが、良い意味でアニメっぽくデフォルメされていて、グッと彼女の魅力に引き込まれるはず。
 そして、彼女を取り巻く緩くて微妙な三角関係を追いかけながら、ショッキングな出来事をきっかけとしてタイムリープが発動。
 このタイムリープのことを相談する相手が魔女オバサンこと……前作の主人公・芳山和子。作中では特に明言されてなかったけど、パンフレットとかで紹介されてるから、まあネタバレても良いんでしょう、これ。
 きっと、ここらへんは前作のファンはたまらん気持ちになるんだろうね。

 で、タイムリープの力に目覚めてからの展開が、これがホントおもしろい。
 タイムリープを発動させるには、自らが文字どおり飛ばなくてはならないらしく、タイムリープ後に唐突なところから転がり周りながら登場する、ってことになる。
 そんな、ありえない登場の仕方に対する、周りの人間のいちいちのリアクションがおもしろい。
 あ、おもしろってところから書いちゃったけど、タイムリープするときの時間を超えているシーンは、いかにも“アニメ”ってカンジの幻想的なシーンなんだけど、すんごいカッコイイ。
 幻想的なシーンの時間を超えるスケール感と、時間を超えた後のズッコケ感のミスマッチも、いずれもアニメの特長を十分に活かした表現方法と言える。

 んで、時間を超えてオモシロおかしくやってるだけかと思ったら、やはり自然の摂理をねじ曲げているわけで、どこかに綻びが現れてくるわけで……。
 そのへんの綻びが徐々に大きくなってくるシーンも、真琴はアクティブに、ただひたすらに全力疾走で乗り切っていこうとする(まあ、全力で走らないとタイムリープ出来ないんだけど)。
 このへんのシーンは、まさにどんでん返しに次ぐどんでん返し。
 そもそも事象は時間軸に沿って進んでいくのに、その時間軸をタイムリープで超えてしまうのだから、このどんでん返しが卑怯かもしれないんだけど。
 だけど、本来ならタイムリープで自分が得をするはずだったのに、それを投げ打って友だちのために全力で駆け回る真琴の姿が、なんだか感動的。

 だけど、肝心な自分自身の“気持ち”のために、大事なモノを失ってしまい……ところが、その大事なモノを取り返してもらったために、肝心なモノを失うことになってしまい……。
 まあ、ネタバレしたくないから、こういう書き方になっちゃったけど、とにかくラストへ向かって突っ走る畳み掛けの勢いは凄まじい。
 そして、最後の最後で。真琴は自分の気持ちと大事なモノのために、最後のタイムリープをするんだけど……この畳み掛けられたタイムリープによるどんでん返しの結末を、こういう形で決着させる真琴には、ホントに感動させられる。
 自分自身の損得勘定だけなら、必ずしもハッピーエンドとは言い切れないラストなんだけど。
 でも、この映画を見終わった人なら、この決断こそが間違いなくハッピーエンドなんだって納得できるはず。
 ホントに、イイ映画を観たなって、心から思えるそんな結末だった。

 感動する映画といったら、安易に好きな人が死んだり、難病に罹ったりする映画を作りたがる傾向が、最近は蔓延してるような気がするんだけど。
 でも、人が死んだり病気になれば悲しいのは当たり前。
 そうじゃなくて“何が感動するのか”ってのを、きちんと考えて作られた映画だと思った。
 しかも、それでいてエンターテイメントとしても、きっちり作られている傑作だった。
 アニメ絵で躊躇する人もいるかもしれないけど、そういう先入観無しで観ても、十分に感動できる映画だと思う。

 それと、この映画は、さほど宣伝などでプッシュされてなかったのに、ネットの口コミで評判が伝わり、そのお陰でオレがこの映画を知ることになって、劇場で観れたってのには、なんか感慨深いモノを感じる。
 マスコミの露出に関係なく、良い映画が良い映画だという正当な評価を得ることが出来たってことに、なんか他人事ながら嬉しかった。

 最後に。
 この映画のマンガ版も出ている。映画にかなり忠実に作られているので、映画を見終わった後のおさらいにオススメかも。
 ちなみに巻末には、映画では触れられなかった芳山和子のこともボーナストラック的に収録されている。

時をかける少女―TOKIKAKE 時をかける少女―TOKIKAKE
価格:¥ 567(税込)
発売日:2006-07-26

『時をかける少女(2006)』(映画館)
http://www.kadokawa.co.jp/tokikake/index.php
監督:細田守
出演:仲里依紗、石田卓也、板倉光隆、他
点数:10点(ちょっと甘いかな?)


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