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田舎ぐらし(155)

 ー 大 丈 夫 で す か ? ー

 
 
 「口のききかた」
      梶原 しげる  新潮新書

  みかんジュースを買いに行った。
訪ねたのは宅配の商売をしているある会社の営業所である。

「〇〇。20本ちょうだい。」と言うと、配達員らしい女が冷蔵庫からジュースのケースを出してテーブルに置き、中の小箱をポリ袋に入れ始めた。それを見ながら「賞味期限は?」と聞くと、「〇年〇月〇日です。」と返し、続けて「大丈夫ですか?」と言った。
「来たっ!」と思った。この「大丈夫ですか?」が好きではない。

 というのは20数年前、会社の健康診断の際、看護婦とおぼしき女に確か血圧について尋ねたことがある。相手は何か答えた後、「大丈夫ですか?」と言った。
 それを私の脳は「あなたの脳のレベルで私の言ったことが理解できましたか?」と受けたのである。以来、この言葉を聞くのが厭になった。

 さらに、その配達員らしい女は小箱をポリ袋に入れながら、「〇〇さん、お宅に伺ってますか?」と聞いた。〇〇とは誰かの名前ではない。自分が現に勤めている会社の名前である。自分の会社をさん付けで呼んだのである。

 ついでながら、代金を受け取るまで品物を渡そうとしない。こちらから代金をもらい、数え終わってやっと手元の品物をこちらへ押しやった。持ち逃げされないように用心しているのだろう。

 ここらの店は概してぶっきらぼうで店に入っても笑顔ひとつ見せない。ぶっきらぼうを先祖代々受け継ぎ、これから先も子々孫々受け継いで行く。それで食えてきたから客に愛想を振りまく必要もない。

 東京ではこれでは食えない。だから、直接客と接する売り場はシャッターを開ける前に「いらっしゃいませーっ」、「ありがとうございましたっ」と大きな声で発声練習をするし、鏡を見て笑顔の練習もする。ロールプレイもやる。
 きちんとした店は「ありがとうございました」と先に品物を客に渡し、その後「お代は〇〇円でございます」と言う。

 

 

 




 
 
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