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田舎ぐらし(186)

 ー 江戸、長屋暮らしー

 

 「江戸の暮らしと商い」 宝島社 菅野俊輔 監修  2024.1.12

 江戸。100万都市の半数を占めた庶民の住まいは多くが裏長屋(裏店)だった。
 裏長屋を訪ねるにはまず店が並んだ表通りに出る。表通りも長屋であるがこちらは表長屋(表店)という。歩いていると店の間に木戸がある。木戸を入ると向こうへ露地が延びている。その露地の左右に長屋がある。これが裏長屋(裏店)である。

 この長屋を大小に区切って1戸とした。広さは小さいものは間口9尺(3メートル足らず)、奥行き2間(約3.6メートル)。独り者も所帯持ちもいる。

 引き戸を開けた所が土間で、水桶、調理台、かまどなどがある。土間を上がると居間兼寝室の部屋がひとつだけ。調度品は火鉢、行灯、戸棚、鏡台,折敷など。
  
 部屋には流しも厠もない。洗い物は外に出て露地の先にある井戸でし、井戸の脇にある厠で用を足す。女3人寄ればかしましい。長屋のかみさんが一斉に洗濯を始める辰の刻(8時~9時)はさぞかし賑やかであったろうと思う。

 住人は店子と呼ばれ,職業はいろいろ。魚や野菜を天秤棒で担いで売り歩く行商人、室内で縫い物をしたり、元結いなど小物を作る者、大工や火消し・・・。

 収入は野菜の行商の場合、一日1300文。1文30円で換算すると約3万9000円の売り上げがあったというから、1カ月まるまる働くと約117万円の売り上げ。 

 支出は家賃が1カ月水道代込みで2万4000円から3万円。さらに野菜の仕入れ代、子どもの菓子代、酒代などを差し引くと、月6万1000円ほど残る。年金はないから、これが老後の蓄えになった。
 もつとも1文30円の換算は年代によって変わる。たとえば、屋台の掛けそばは江戸初期寛文4年には6文だったのが、末期慶応元年には24文になっていた。

 家賃は大家に納めた。大家は長屋の管理人であり、店子の身元引受人でもある。「大家と言えば親も同然、店子と言えば子も同然」と言われ、雨漏りの相談に乗ったり、夫婦喧嘩の仲裁をするのは大家の仕事だった(これまで大筋上掲「江戸の暮らしと商い」)

 蛇足ながら、近時もめごとの持ち込み先は大家から役所へと様変わり。
そんなことはないと思うが、たとえばこちらが役所へ行く。担当者はパソコンの方へ向き直る。チャットGPTなどををカタカタやって紙に印刷し、「ハイ、回答です」と紙を寄こすのだろうか。役所に「大家と言えば親も同然、住民と言えば子も同然」の情があるかどうか。










 

  
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