むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所クラスター68

2019-11-06 09:22:43 | 小説
 昭和五年八月未明。北京で画商がなに者かに襲撃されて、死ぬという事件が起きた。死体は壁に強く打ちつけられていて顔が焼けただれている。公安(中国の警察)が反写実的な裸婦の絵をながめがら、店員に状況を聞くと、「消毒器材のような物を背負った男が社長と話してたわ」と言う。公安は以前写実絵画に挑戦したことがあったけど絵の具をつくる方法と、なにかと一体化する部ぶんがわからなかった。未来の買い手と、一体化するのだろうか。公安が世界革命集団第三支店へ行って事情を聞くと、「高温蒸気噴射器を額縁屋の男に売ったよ」と言う。性能を聞くと、「ノズルが金属製で、左右にしか動かせないけど三m先の生肉を加熱できる」と答えた。公安が額縁屋へ行くと、店員は「社長は工場にいるよ」と言う。ビルの二階が工場になっているようだ。二階に上がると、高温蒸気噴射器を背負った男が中央に立っている。公安が入り口で「おまえが画商を殺したのか」と聞いたら、男は「銀行強盗に誘ったけどことわったから殺した」と言う。公安は青と緑な絵の具を、まぜ合わせている画家の、聡明な感覚のような物を感じた。工場のなかは、額縁用の木材以外はどこかに片づけられている。公安が男に七mぐらいまで近づくと、男が蒸気を噴射した。蒸気が五mくらい伸びて、熱風が公安の顔に当たる。公安が額縁用の木材を手にとると、男は間合いを詰めてきて、蒸気を噴射した。公安は横へ逃げる。公安が木材を投げつけると男は片手で受けとめた。公安は奥にあった作業テーブルの上へ飛び乗る。男が噴射ノズルを少し上に向けながら、急激に近づいてきた。男が三mぐらいまで近づいて公安の足もとに噴射する。公安の脳裏に、深海魚のような、竜の姿が浮かぶ。公安は飛びはねてよけて着地してすぐテーブルのへりから、男の顔面にキックした。男がのけぞるように噴射する。公安は空中で一瞬浮き上がるような状態になって、男の反対側に着地して転倒した。後ろ側の足がひりひりする。男が向きを変えて近づいてきた。そのとき「ワニスならそこにあるわ」と言う声が聞こえる。公安は男の後方に、木材の陰に隠したワニス缶を見つけた。公安は走ってまわり込む。公安は缶を開けて、振り向いた男にワニスをかけた。ワニスが顔に命中して男は両手を使ってぬぐっている。公安が近づくと、蒸気を噴射したが噴射ノズルに、公安がワニス缶をかぶせると反動で男がひっくり返った。公安は男を逮捕する。