●不起訴の可能性
統計によれば、略式で終わらなかった人は、かなり高い確率で不起訴となることがうかがえます。
統計というのは『検察統計年報』(非売品)のこと。それによると、たとえば2006年は、交通違反で正式な裁判のほうに起訴されたのは9787人、不起訴は15万5026人です。
しかも、起訴される人のなかには、酒気帯びや無免許運転など悪質な違反の常習者がたくさん含まれています。というか、交通違反の裁判を傍聴してみるとわかるとおり、起訴されるのは、ほとんどがそういう悪質な事件です。
その人たちは、本人が略式を望んでも、「いや、あんたは略式で何度も罰金を払ってきてるだろ」「こんな重い容疑は、略式ではダメだ」と公判請求され 、懲役刑を求刑されるのです。
『司法統計年報 刑事編』も参照すると、軽微な (つまり元が反則行為の)交通違反が起訴されることは、きわめてマレなようです。
ただし、悪質とは到底いえなくても、起訴される可能性はゼロではありません。ごくマレにですが、きわめてちっぽけな違反容疑で起訴される人もいます。
そして、容疑となった違反が重いと、「ごくマレ」というわけにはいきません。容疑が重くなるにつれ、起訴される可能性は少しずつ高くなる、そう考えることができるでしょうか。
容疑の重さ軽さだけで決まるわけではありません。ほかに、違反歴や主張の内容や人柄、担当検察官の都合・性格などいろんなものが関係してくるようです。そのあたりの私の見解については『交通違反・裁判まるわかり』(小学館文庫)にわりと詳しく書きました。