何事も固執したり囚われるといい事はない。
なぜそう思うのかと言うと、神経症になった事があるからだ。
神経症になると、頭の中にいつ抜けられるかも分からないトンネルと、ありもしないハードルをこしらえる。
あらゆる情報は、この頭の中に作り上げた難題を補強する為にある。
その為に、なかなか現実に戻るのが難しいのだ。
しかし、自分のような仲間がいない。
人恋しくなる。
まだほとんど人がいない仕事場で、こっそりと仕事をして早めに帰る。
知らない人ばかりの喫茶店で過ごす。
旅もした。
旅先で出会う人はみんな優しい。
しかし元の現実に戻るにはまだまだ遠い。
それが辛い。
このままでいいと、どうしても思えない。
おそらくは負けず嫌いなところがあるからだろう。
悔しくて悔しくて仕方がないのだ。
惨めで惨めでたまらないのだ。
固執したり囚われたりするのはいい事がない。
「固執するなよ」と言われたら、「お前に僕の何が分かるのだ」と反発するのだ。
ある日、テレビで元気なアイドルを見ながら、「なぜこの人たちはこんなに元気なんだ?」と思った。
しかしそういう元気な人を馬鹿にはしなかった。
幸いにも、自分が神経症という自覚があったからだ。