本作はSaito Kinen Chamber Playersが奏でるバッハの名曲だ。
ブランデンブルクコンチェルトの中ではあまり評判はよくないが、
個人的には非常に気に入っているCD。とても雅なサウンドだと思う。
まず解像度の良さがすごい。僕のへぼいスピーカーでもここまで鳴るという事は
良いシステムで聞けばもっと凄みがあるのだろう。
薄暗いコンサートホールでオレンジの光に照らされた演奏者達と、
ホールの木目が目の前に見えるかのような、非常に現実感がある優秀録音だ。
木質の響きがしっかり聞こえてきてとても心地よい。
DECCAから出ているサイトウ・キネン・オーケストラの録音よりもずっと良いと思った。
本作はモダン楽器での演奏であり、恐らくピリオド奏法もさして使っていない。
大きな特徴は第二番をトランペットを使用しないでホルンで代用していることで、
他の批評でも見受けられるようにこれは結構マイナスポイントであるように思う。
セルゲイ・ナカリャコフなどの演奏を聴けば解るが
トランペットでも柔らかな響きは十分作り出せる。
熟練のトランペッターが出すあのシルクのような柔和なサウンドは
例えようもないほど気持ちが良いし、他の楽器の邪魔になどはなったりしない。
ブックレットに載っている「他のソロ楽器を打ち消す」という言い訳は苦しいと思う。
第二番に関しては残念だが、それでも代役のナチュラル・ホルンの音も悪くはない。
美しいホールトーンと室内楽ならではの緻密で上品なアンサンブルを堪能出来る。
色々批判はあるようだが、間違いなく本作は世界トップランカーの
日本人プレイヤー達が紡ぐ名演である。是非聞いてほしい。
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