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Garbanzo blog

政治経済と音楽のブログ。
Garbanzoってのはひよこ豆のことです。

デジタルデータの複製禁止は無駄な努力

2010-06-08 08:47:01 | ゲーム

またマジコンが話題になっている。SEGA社員の澤田剛氏がツイッターで、
「子供の周辺のマジコン普及率が9割以上だ」と嘆いているらしい。

以前地デジを取り上げたハイ・ディフィニションの悪魔でも書いたが、
デジタルの本質的なメリットというものは
データの改変(改竄とは言うまい)と増殖が無制限であることだ。
だからコピー出来るものはコピーされる運命にある。
それを情緒によってダメだというのは非合理的だし、
現状を見れば解るようにその情緒に合理性を上回る抑止能力はない。

僕のような素人が法的な解釈などというとおこがましいが、
現行の著作権はそもそも出地からして特権を守るシステムで、
ユーザーや制作者全体の利益を考えた設計によって成り立っているものではない。
つまり法律が制作者の著作権を守る事によって全体の利益も向上する、
という立場に立って作られたというのなら、おかしいのはむしろ現行の著作権法の方だ。

池田信夫氏がこちらの動画でも語っているようにwebでファイルを共有する事によって
誰がどのような被害をどの位被っているかは今ひとつ不明であり、
その具体的な数字は出ていない。ゲームメーカーもそういった数字は発表していない。
(データを持っている方は教えて下さると嬉しいです)

当然そこには被害を被る人々も確実に存在するが、別の人々が受ける便益も同様に存在し、
現在の所経済学の実証研究では
その金額的なバランスは
規制した時と権利をフリーにした時で比較すると大して変わらないという
結果が出ている。
よってフリーにした時の方が勝手にDLしたり改変したり出来る分だけ
ユーザーにとってかなり大きな便益がある。そのプラス分を考えると、
全体の利益は権利を自由にした方が大きい、というのが経済学者の標準的な見解だろう。
当blogもこの見解を強く支持したい。

マジコンユーザーの殆どは現在でも不正利用だと推測される。
違法にアップロードされているサイトからソフトをダウンロードし、
ソフトウェアを正規の手続きで購入してはいないだろう。
すなわち現在でも既に大半のマジコンユーザーは法的に考えたら
グレーどころかブラックな利用をしている可能性が高く、
つまりもう法律でこの流れをどうこう調節することは出来ないのだ。

翻ってメーカー側は現行機種のダウンロード販売について真剣に検討してきただろうか。
現在DL出来るゲームはPSoneや過去のSFCやFCのものがあるが、
何故容量が軽く最もDL販売に向いたDSやGBAに於いて
ダウンロードストアを作ってこなかったのだろう。

これらは同じ事が電子書籍にもいえる。90年代後半から2000年代初頭にかけて、
オフィシャルな電子書籍のフォーマットを作る機会は散々あったにもかかわらず、
流通を握って供給量を調節するという既得的なビジネスモデルから変われず、
遅々として現状を維持するだけの日々を繰り返しているうちに
同人誌をはじめとする地下ネットワークの方が発達してしまい、
アマチュアの作品がプロよりも高い利率で取引される歪な市場が出来てしまった。

昨年7月にハコから飛び出してという記事でもマジコンについて取り上げたのだが
どうも一年近く経った今でも事態はほとんど変わっていないようだ。
少なくともゲームや音楽などのデジタルメディアが、パッケージ販売という
旧態依然としたビジネスモデルに拘っていられる時間は残りあと僅かだろう。
それは僕のような素人でも容易に想像がつく。

全てのデジタルデータはいずれクラウドになるかダウンロードになるか・・・
いずれにせよパッケージが不要になるのは間違いない。
だがそれはコストの削減、配信の容易化とグローバル化という意味で、
本来はユーザーにも製作者にもメリットがあるはずだ。
いつまでも旧い「箱売り」に拘っていると、世界の中のどこかの誰かが、
いつのまにかカッコいいフォーマットを作り上げてそれが世界標準になってしまうだろう。
たまには日本企業にも「世界標準」を作る気概を見せてほしいものだ。


PS3的進化はもうない

2010-01-11 20:34:03 | ゲーム

今PS3でアーマードコア4やテイルズオブヴェスペリアなどの定番をプレイしている。
友人宅ではガンダム無双やベヨネッタもやらせてもらった。

PS2時代と比べると、確かに絵は圧倒的に綺麗になった。
ハイディフィニションソースで書き込まれた映像は確かに美しい。
音も可逆圧縮音源を使っているのか、非常に良くなっている。
ハードディスクも静かだし、充実したネットワーク機能や外部デバイスの拡張性は、
今後オンラインゲームやヘビーユーザーのカスタム魂に火をつけるのに貢献するだろう。

だがスペック的にも価格的にも、そして機能面でも
現状では最高のマシンと言い切ってもいいような高性能機なのに
不思議と感動が薄かった。
「絵も音も凄い綺麗になったな~」と一瞬思っただけだった。

理由は考えるまでもない。
要するにゲーム自体が変わっていないのだ。
薄々感じていた事を再確認させられただけの事だ。

少し考えてみればこれは当たり前で、
アーケードゲームやwiiのような身体に連動したコントローラーが存在するゲームでも、その機能は限定的だ。
ディスプレイがあってゲームコンソールがあるという
ファミコン以前の制約から未だに一歩も解き放たれてはいない。
その意味でテレビゲームのプレイヤー達は
いつまでたっても「ボタンを押している」だけだ。
コントローラーの姿が変わってもその基本が変わっていない。

結局、PS3はPS2からムーアの法則がそのまま適用された、
一種のマイナーバージョンアップなのだ。
新CPUの
セル・プロセッサなどは目を見張るべき技術ではあるが、
そういうマニアックな情報は良く解らない宣伝文句として垂れ流されるか、
僕のようなメインストリームでないPCオタクの興味を惹くだけだ。
あれだけ美しくなった画質も、要はNTSCソースからHD画質の720pソースになったという点が大きく、
アナログテレビのままのユーザーには多少綺麗になったかな?程度でしかないだろう。
ネットもハードディスクも既にPS2時代からサポートはされており、それらはゲームを格段に便利にはしてくれても、
形そのものを変えてくれるようなものでない事は解っていた。


これは僕の勝手な予想だが、PS4はPS3より絵が綺麗で音もよくなった、
という進化を歩むようなものではないだろう。
今のゲームは五感に訴える力がどうしても弱い。
まだまだ不自由だし、窮屈だし、冷たいデバイスだ。

だが必ず技術はそれを克服するだろう。
それがいつになるかは解らないけども。


PS3で大事なこと

2010-01-09 09:30:52 | ゲーム
父が新型のPS3を買った。
試しにプレイさせてもらったのだが何だか店頭で見たデモと違い
PS3のタイトルをやっているにも関わらず
やたらに画質が悪い。

これは何かあるのではないかと思い本体設定を確認してみると
予想通り
解像度の設定項目がある。
このディスプレイ設定をしていない人は結構居るのではないかと思う。
現に友人は48インチの大画面に平気でNTSC信号を映し出していた。
HDMIやD端子で繋いでそれで終わりではないので注意してほしい。

PS3のアップサンプリングコンバーターは結構強力なので、
DVDやPS2のゲーム設定もフルHD向けにしておくのを勧める。

ハコから飛び出して

2009-07-23 09:26:31 | ゲーム

「マジコン」が問題になっている。

マジコンは携帯ゲーム機の違法DLソフトウェアをDSでシミュレートできる機器で、
国内でも相当数が売れているようだ。
スクウェアエニックスはマジコン対策でいくつかプログラムを仕組んだりしたが、
どれも一ヶ月もしない内に突破されている状況だ。

これは個人的には技術的な問題が大きいと思うのだが、
各所で意見を見ると情緒的なレスポンスがやたらに目につく。
違法ROMを使わないようみんなで誇りを持とうとか
見せしめにマジコンユーザーを逮捕しろとか、根本的な原因を改善しないまま
結局は最終的な判断を個人に任せているものが多かった。

法的には結構この話題はグレーだ。
個人利用のコピーというのは基本的に認められている。
他人に配布するのは解り易いNGだが、現状の解釈だと著作権の基本は親告罪であり、
交通事故のように人死にが出る訳でもなく
「盗まれた」といっても「現物」が無くなる訳ではない。

ハイ・ディフィニションという悪魔でも述べたが、
デジタルの最大の利点は複製や編集が無限に行えるという利便性こそが本質である。
DLも複製も出来るものを、道徳や情緒によってそれはいけないものだと
声高に言った所で意味が無い。
そこに合理性は無いからだ。

いっそ「ダウンロード」を止める事は不可能だという事を鑑み、
この際ゲームの制作中に資金を一般ユーザーからも集めるのはどうだろうか?
映画制作でプロデューサーがスポンサーを周って資金繰りするのと
同じ事をコンシューマーまで拡大する。
その代わり、一度世に出たらそれはもうフリーデータにしてしまう。
或いは、改竄がしづらいような「ゲーム中のデータ」を「売る」という
オンラインゲームのアイテム課金のようなシステムでも良い。

最初の案の場合は先行課金ユーザーにはなにかしらのプレミアムは
用意しなければならないが、兎に角いま重要なのは
パッケージメディアという販売形態から進歩させることだ。
このweb時代にいつまでもハコに拘泥するのは非効率である。
その点評判が最悪なPSPの2世代目は、
実験的に見ると良い線行っているのではないか。


信用しない大きな子供達

2009-06-21 18:19:25 | ゲーム

少し堅い記事が続いたので、今回は少し小休止して
ちょっと野次馬なTVゲームのニュースの話をしたい。

任天堂の宮本茂さんとCAPCOMの竹内さんが講演を兼ねて
海外の記者からインタヴューを受けている。
メインとなる質問は「現在は日本のゲームが世界中で売り上げが
減少しているが、どうするのか」というものだ。

詳細は見てもらうとして、二人とも至極真っ当な受け答えをしており、
面白みはあまり無いが正しく現状や傾向を分析をしている。

しかし2ちゃんねるでは、特に竹内氏の
「経営と事業の側では、日本でお金になるなら、
欧米で売れるのはオマケだという考え方になってしまいがちで、
これにより日本でお金を稼ぐという戦略に従うことになり、
北米や欧州で成功するようなゲームを制作できなかった」
という発言に噛み付いているレスが相当数あった。
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1276142.html


内容は大体どれも同じで傾向は二つ、
「日本人に売るんだよ外国人に買わせるためじゃない」というものと
「ラストレムナントもStarOcean4もコケまくりだろ」という類だ。

つまり彼らの主張は
日本で売れないものが海外で売れるはずが無い
だから日本人だけ相手にしていればいいという事に集約される。

しかし竹内氏の主張は全文を読めばすぐに解るが
「日本だけ相手にしていると市場が小さく開発費をかけられない。
髪を金髪にしたりするだけの見せ掛けの外国風は無意味で、
日本人でも外国人でも楽しめるような本質的なゲームの面白さに
迫らないと、結局海外でも日本でも失敗してしまう」
と述べているに過ぎない。

第一ゲームはデジタルデータなのだから
複製費用はほとんど無いに等しい。
ローカライズが終われば後は現地の流通に乗せるだけだ。
こんなものはゲーム制作の1/10000の労力で済む。
ウェブのDL販売で良いなら経費は翻訳だけだ
(声の差し替えなんかは微々たる金額に過ぎないし、しなくてもいい)

つまり経営面から考えても、ローカライズが海外販売よりも
高くつくような場合以外は海外販売にデメリットは存在しない。
そもそも大企業の大作ほど制作費がかかるのだから
大きな市場を相手にしないと社員の給料が払えない。

よって上記のような2ちゃんねらー達の主張は意味不明な詭弁だ。
そもそも日本向けだとか海外向けだとかは
コンテンツの面白さという本質とは関係が無いし、あっても薄い。

要するに彼らは経営的視点も無視している上に
メーカーの成功を全く信じていないのだ。
ここまで卑屈になれるのもある意味すごいとは思うが・・・
他人事なのにこんなにも自信が無いのかも僕には良く解らない。

本当に面白いゲームがしたい、と思うなら
ユーザーはメーカーの海外進出を肯定的に受け取るべきだ。
そこでどれほど失敗しようが成功しようが、
その経験は企業やクリエイター自身に蓄積され、
最終的には良質なコンテンツという形で僕らに返ってくる。

竹内氏の「面白さは国境を越える」という言葉は普遍的だと思う。
消費者はもっともっと制作者に好き放題にさせる方がいい。
クソゲーが世界中で乱発されるのはとてつもなく良い事だ。
なぜならそんな中でしか傑作は出てこないからだ。