ありったけはげ山の一夜レビュー (前置き文はこちら)
第九弾は2度目となるワレリー・ゲルギエフ指揮、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団より。
本作も展覧会の絵がメインで、はげ山の一夜とコパック(ソンチンスクの市)、
前奏曲(モスクワ河の夜明け)がカップリング曲。全てムソルグスキーの作曲だが、本作では彼の原典版は一つもない。
展覧会の絵はラヴェル、はげ山の一夜はR・コルサコフ、前奏曲はショスタコーヴィチ、コパックはリャードフの編曲だ。
ちなみに2002年度のレコード・アカデミー受賞タイトルであり、
SACD対応の限定版とノーマルCDの通常版がある。(僕の持っているものは通常版)
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Ravel : Philips
Conductor : Valery Gergiev
Orchestra : Vienna Philharmonic Orchestra
Rec:2000年 ホール/ライヴ録音
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指揮者のゲルギエフについては、以前のシェエラザードでのレビューなどを見てほしい。
本作で彼は名門ウィーンフィルを、エネルギッシュにドライヴさせまくっている。
パっと聴きは派手で豪華なサウンドだが、細部にまでコントロールが行き届いており、精緻さも失われていない。
細やかなフレーズに味付けがきちんとされており、迫力で押すだけの単調さが無いのは素晴らしい。
テンポ設定はやや遅めにとってある。その分一歩一歩前へ進む力強さ、重厚さは数多のはげ山の中でもトップクラスだ。
描いている世界観のスケールが非常に大きく、最も男性的な力強さを感じられる、快活な名演だと思う。
HMVでの評価は芳しく無いが、僕はコルサコフ編曲のはげ山の一夜ではこのゲルギエフ盤が最も好きだ。
個人的にはメインの展覧会の絵よりもこのはげ山の一夜の方が出来が良いと思う。
録音も最新技術をふんだんに用いているようで、DSDでの24bitレコーディングだ。
勿論デジタル化前のアナログ機器も最高級のものを使っているのだろう。エンジニアは良い仕事をしている。
大きな音像かつクリアさも高いレベルにあり、ゴージャスな空気を感じさせるライヴ感も一定量残っている。
演奏、録音ともにハイレベルでまとまった、万人にお勧めできる一枚だ。
評価 : ★★★★☆
録音 : A
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