goo blog サービス終了のお知らせ 

美の五色 bino_gosiki ~ 美しい空間,モノ,コトをリスペクト

展覧会,美術,お寺,行事,遺産,観光スポット 美しい理由を背景,歴史,人間模様からブログします

大阪に大胆なフィンランド・デザイン_東洋陶磁美術館 10/14まで

2019年08月22日 | 美術館・展覧会

大阪・中之島・東洋陶磁美術館で、北欧フィンランドの陶芸とテキスタイルのデザインをダブルで披露する「フィンランド陶芸」&「マリメッコ・スピリッツ」展が行われています。

  • 妖精ムーミンの国・フィンランドのデザインは、中性的でテンポのよいことが魅力
  • 陶芸も妖精を思わせる幻想的な表現が多く、フィンランド文化の個性にすっかりはまってしまう
  • 日本でも著名なマリメッコのファブリックで造った茶室は、不思議なほど日本の伝統文化と調和


フィンランド人は民族的には欧州よりもアジアに近い系統に属します。透き通るような青い眼に金髪という見た目はスウェーデンなど他の北欧の人たちと変わりませんが、文化面ではかなり個性的です。この展覧会はそんなフィンランドの魅力をしっかりと伝えてくれます。



玄関ロビーをマリメッコが“ジャック”

このフィンランド・デザインの魅力を伝えるダブル展覧会は、昨年2018年に茨城県陶芸美術館をスタートして1年以上かけて4カ所を巡回し、フィナーレを飾る大阪にやってきました。日本とフィンランドの外交関係樹立100周年を記念した展覧会でもあり、妖精の国の大胆かつ幻想的な表現を堪能できる又とない機会となります。

ダブル展覧会の展示構成の区別は、正直明確ではありませんが、違和感なく構成されているところが見事です。

【マリメッコ(日本語)公式サイト】

マリメッコは今や日本全国にショップを構え、すっかり定着したアパレルやインテリアのブランドです。花柄など、大胆な色とインパクトのある柄のデザインが強烈な主張をしています。北欧のブランドと言えばスウェーデンのH&Mが世界を席巻していますが、H&Mの世界観とは異なり、大胆ながらもナチュラルな趣きが印象的です。




「マリメッコ・スピリッツ」展では「日本」をテーマに製作された作品が注目されます。この展覧会は写真撮影OKなこともあり、人気の記念撮影コーナーにもなっていました。玄関や館内ロビーも巨大なマリメッコ・ファブリックでジャックされており、普段はシックな館内がとても明るくなっています。

展覧会のためにしつらえたマリメッコ・ファブリックの茶室も、実によくできています。水玉模様をあしらっており、琳派の尾形乾山のような趣きも感じられます。緑と水に囲まれた日本庭園の中にあっても、見事に溶け込むでしょう。どこかに建てられることを期待してしまいます。



マリメッコ・ファブリックで造った茶室

「フィンランド陶芸」展の作品を見ていると、森と湖に囲まれた大自然をこよなく愛するフィンランドの人々のオーラが伝わってきます。展覧会は、世界的に著名なキュオスティ・カッコネン氏のフィンランド工芸のコレクションで構成されています。

フィンランドでは19c後半から陶芸産業が盛んになり始め、イギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動に刺激されながら、優秀な陶工が現れ始めます。

【公式サイト】 ご紹介した作品の画像の一部が掲載されています

アルフレッド・ウィリアム・フィンチは19c末から活躍し始め、フィンランド陶芸の礎を築いた陶工です。「花瓶」は、当時流行していたアール・ヌーヴォーの趣を、フィンランド特有の大胆な色遣いと見事に調和させています。

第一次大戦の際にロシアからの独立を果たし、フィンランド人のアイデンティティを強調する作品の製作がさらに盛んになります。現在も世界的な名窯であるアラビア製陶所が欧州でも有数の名窯に成長し、1930年代から黄金時代を迎えます。

ミハエル・シルキン「彫像(若い女性と悪魔)」は、ロングスカートに包まれた女性の足がかなり長くデフォルメされており、足下に寄り添う悪魔に対して聖母のような包容力を示しています。

アラビア製陶所は第二次大戦後に再び黄金期を迎え、フィンランド陶芸と「アラビア」ブランドが世界に知れ渡るようになります。ルート・ブリュック「陶板《聖体祭》」は、教会の儀式に向かう人々を、青色を背景に幻想的に表現した陶板です。中性的で妖精に見える人物表現がとてもフィンランド的です。




フランスやイタリア、中国といった“歴史と文化の大国“ではない国の文化を紹介する展覧会は、普段見慣れていないだけに、いつ見ても斬新です。世界には国と地域が200近くあります。「次はどの国?」とてもたのしみです。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



展覧会公式図録、北欧の造形の写真集としても目をなごませる

________________

<大阪市北区>
大阪市立東洋陶磁美術館
日本フィンランド外交関係樹立100周年記念 特別展
フィンランド陶芸 芸術家たちのユートピア ―コレクション・カッコネン
特別展
マリメッコ・スピリッツ フィンランド・ミーツ・ジャパン
【美術館による展覧会公式サイト】
【企画会社による展覧会公式サイト】 フィンランド陶芸
【企画会社による展覧会公式サイト】 マリメッコ・スピリッツ

主催:大阪市立東洋陶磁美術館、朝日新聞社
会期:2019年7月13日(土)~10月14日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:9:30~16:30

※会期中に展示作品の入れ替えは原則ありません。
※両展覧会は、2018年7月まで茨城県陶芸美術館、2018年9月まで目黒区美術館、2019年2月まで岐阜県現代陶芸美術館、
 2019年6月まで山口県立萩美術館・浦上記念館から巡回してきたものです。
※この展覧会は、今後他会場への巡回はありません。
※この展覧会は、非営利かつ私的使用目的でのみ、撮影禁止作品以外の会場内の写真撮影が可能です。
 フラッシュ/三脚/自撮り棒と動画撮影は禁止です。



おすすめ交通機関:
大阪メトロ御堂筋線・京阪本線「淀屋橋」駅下車、1番出口から徒歩6分
大阪メトロ堺筋線・京阪本線「北浜」駅下車、26番出口から徒歩6分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:15分
JR大阪駅(梅田駅)→大阪メトロ御堂筋線→淀屋橋駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には駐車場はありません。


________________

→ 「美の五色」とは ~特徴と主催者について
→ 「美の五色」 サイトポリシー
→ 「美の五色」ジャンル別ページ 索引 Portal





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アメリカ有数の浮世絵エイン... | トップ | 今年も大阪クラシックがやっ... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

美術館・展覧会」カテゴリの最新記事